インソース・ビジネスレポート
グローバル・タレント育成のためのフィリピン活用について
2000年ころまでの韓国企業には自社でのんびりとグローバル人材を育成している余裕などはなかった。そこで新卒・中途を問わず、採用においては欧米留学組や外資系勤務者などで、すでに語学に堪能な者をあからさまに優遇し始めた。それを見た国内組が焦り始めると、ベースにある学歴競争社会のマインドともかみ合い、英語教育熱が一気に爆発したと思われる。
国を挙げて英語教育に取り組み始めた韓国は、間もなくフィリピン人の英語力とフィリピン留学のコストの安さに着目する。そして、2000年代に入ったころからフィリピン全国に英語学習学校を設置し始めた。今では韓国系資本の英語学習学校はフィリピン国内に500校ほど存在するといわれている。
こうした学校では、もともと韓国から企業派遣で留学生を受け入れるということが主流ではなかったようである。個人ないしは学校を通して、基本的には自費留学による留学が大半という。もっとも、フィリピンでの語学研修を修了すると、母国大学での所定の単位として換算されるなど、韓国では教育制度上の整備も進んでいる。
韓国では一流企業への就職という関門を頂点に、海外一流大学への留学、それに備える大元外国語高等学校や民族史観高等学校といった米国東海岸のボーディング・スクール張りの私立進学校が台頭している。これらへの進学を目指す流れは、将来への備えを加速させ、日本の受験社会に見られたような低年齢化が韓国でもエスカレートしている。
日本と異なる点は、韓国では英語教育も低年齢化エスカレートの例外ではなく、一気にヒートアップしたことだ。もっとも初期の段階では、国家への不信感から国外脱出の手段としての英語学習という位置付けもあったと聞く。国情が落ち着いた今、そこまでの危機感はないかも知れないが、大学よりも早い段階で海外留学を志向する学生も多数いる。むしろこちらがグローバル・エリートの主流であり、幼少期からきちんと使える英語教育への需要は、過熱することはあっても決して冷めることがないのである。
国家破たん寸前というどん底を経験した韓国人の危機感は、日本人のそれとは本質的に異なり、英語教育も失敗が許されなかったのではないかと推測する。日本のように、使えないかもしれない英語教育導入について、その可否を延々と議論している暇などなく、とにかく使える英語の習得に動いた結果が今日の姿に帰結していると思われる。
今や、韓国の小学生が母親とともに留学するという光景もフィリピンでは日常的となっている。このような状況から、身銭を切って自費で留学することが多い韓国人にとり、「コスト削減」は「英語の質」の次に大きなテーマとなる。こうした流れが、フィリピンに500校もの英語学習学校を開校させた原動力となっていることは間違いない。
フィリピンの韓国系英語学校ではマン・ツー・マンが基本。
1日8~12時間ほど、缶詰で英語に取り組む。なかでもスパルタと呼ばれるコースは、起きている時間のほぼすべてが英語学習で埋め尽くされる。
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