【クレーム事例】工事の音がうるさい!【インフラ・建設工事】
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今回のクレーム対応エピソード
僕が勤務するガス会社に、先日、ある一般の男性からお怒りの電話がかかってきました。
「ここ数日間、あんたのガス会社の工事が朝から晩までうるさすぎる。今すぐ中止してくれ!」
調べたところ、この男性がお住まいの地域では、
老朽化したガス管を取り替えるため、数日間にわたる集中工事をしていることがわかりました。
しかし、工事は急を要するもので、中止はできません。
ある程度の防音対策はしていますし、あらかじめ「騒音が発生しうる旨をお知らせするチラシ」もお配りしていたのですが、
ご納得いただけなかったご様子です......。(ガス会社勤務)
(1)まずはお詫びし、心情を理解しつつお話を聴く。
クレームの背景には、何らかの「隠れた事情」がある場合がほとんどです。
たとえば今回なら、お子さまが受験勉強をしているとか、ご家族が病気で療養されているとか......。
想像力を働かせながら、お話を伺いつつ、お客さまの心情に対して共感の意を示しましょう。
▼心情に寄り添い、お詫びする時は
●「この度は、弊社のガス設備工事でご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。」(復唱しつつお詫び)
●「(特に、日曜の朝も工事がうるさいのが)おつらいのですね。(ゆっくりお休みになりたいところ、)工事の音が気になるのもごもっともです。ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。」(心情理解の一言)
(2)事実確認を行う。
お客さまの心が和らいできたら、クレームの原因となっている点について、さらに詳しく聞き取っていきます。
現場の正確な位置や、騒音の原因など特定ができないと、こちらも具体的な対策を取れません。
「それについて、もっと詳しくお話を伺わせていただいてもよろしいですか?」などと声をかけ、「話させ役」に徹します。
(3)「工事を行う意義」を説明する ~「こちらの立場・状況」の説明は慎重に
お客さまのご要望(今回のケースでは「工事を中止する」という対応)が現実的でないときは、
要望に応えられない理由を、ご納得いただけるまで慎重に説明します。
今回ならば「工事を行う意義」を、「クレームを寄せた方にとってのメリット」についても触れながら述べると、
さらにご理解を得やすくなります。
ただし、こちらから釈明を行うタイミングは、お客さまのお話を十分に聴いてから!
いきなり「こちら側の説明」を始めると、「反論」や「言い訳」、
「対応者の態度が冷たい」などと受け取られ、二次クレームにつながりかねません。
(4)負担を軽減するための「代わりの案」を提示する。
「要望に応えられない」ことだけを一方的に伝えるのは、あまり望ましい対応ではありません。
本来のご要望に近い「代替案」を提示し、ご納得をいただけるまで真摯に寄り添いましょう。
たとえば、今回のケースは「工事がうるさい」のがお怒りの原因。
工事自体を中止せずとも、大きな音の出る工事機械の設置場所を変える、防音対策をさらに手厚くする、
音の出る工事の時間帯を調節する......といった対策が可能かもしれません。
とはいえ、その場ですぐに判断を下し、お返事ができない場合も多々あるでしょう。
そんなときは、「いったん、関係者間で対策を検討させてもらいたい」ということ、
そして詳細が決まり次第、かならず折り返しお客さまに連絡さしあげることをお伝えしましょう。
【まとめ】今回のクレーム対応のポイントは......
●まずは、お詫びから。お客さまの心情を理解するために、じっくりお話を聴く。
●対処に動くためにも、「事実確認」はきっちり行う。
●「こちらの事情」を語るのは、十分にお話を伺ってから。
●負担を軽減するための方法を考え、対処に動くことを約束する。
こんな態度や一言はNG!
●「それは、現場で工事をしている建設会社の問題ですので、そちらに連絡してください。」
●「そう言われましても......。工事に騒音はつきものですから、仕方ないです。」
●「騒音の発生は、あらかじめチラシでお知らせしてあるはずですけど......」
●「そうですかー、すみません。本件については、担当者に伝えておきますのでー。」