2025年3月14日
日本経済が「失われた30年」を過ぎても復調の兆しが見えない。河野龍太郎BNPパリバ証券経済調査本部長は「原因として日本企業の生産性の低さが指摘されるが、むしろ賃金の低さが足を引っ張っている」と見ている。日本経済再生のためには何が必要なのか?
国は中堅・中小企業を含むM&Aによる規模拡大と経営効率化が、日本経済再生のカギと見ている。これに対して河野本部長は「M&Aで生産性を上げることには異論はないが、優先順位としては分配の問題を解決して賃金を引き上げるのが先ではないか」との見方を示した。日本記者クラブの会見でM&A Onlineの質問に答えた。
河野本部長は「アベノミクスの3本の矢は(第1と第2の矢である)大胆な金融緩和と機動的な財政出動まではうまく行ったが、3本目の民間投資を換気する成長戦略が十分でなかったと言われる。だが、先進国の生産性を引き上げる方法は学問的に明らかになっていない」という。
その上で「日本も(この30年間で)生産性は上がっていて、付加価値も増えている。それにもかかわらず賃金が上がっていないところに問題がある」(河野本部長)と指摘した。
非正規雇用の低賃金が話題になっているが、「長期雇用の正社員でも、1人の社員を見れば確かに新入社員の時よりも賃金は上がっている。しかし、課長や部長といった職位別の賃金を見れば、(同じポジションでは)20〜30年前よりも下がっている。唯一、跳ね上がっているのは取締役だけだ」(同)という。
「ベンチマークとなる正社員の賃金が上がらないため、非正規雇用の賃金も低く抑え込まれる負のスパイラルが起こっている。これが日本の賃金が上がらない構図だ」と説明する。
2024年にノーベル経済学賞を受賞したダロン・アセモグル氏とジェームズ・A・ロビンソン氏の著書『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』を挙げ、「富裕層に分配が偏る収奪的な(経済)システムが国家を衰退させている可能性が高い。日本経済を再生するには現在の収奪的な分配を見直し、賃金を引き上げるべきではないか」と警鐘を鳴らした。
一方、日本銀行の利上げについては「日本経済の均衡実質金利(自然利子率)はマイナス0.5%程度で、2%のインフレを加えると1.5%程度となる。半年に1回程度の引き上げが予想されているが、現在の実質金利が低い状況を考えれば3カ月に1回程度の引き上げも可能ではないか」と見ている。
配信元:M&A Online
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