近時、役員のインセンティブ報酬のあり方にますます注目が集まっています。コーポレートガバナンス・コードでは、経営陣の報酬に
関する補充原則4-2①を始め、企業価値向上に対する経営陣と株主の利害の一致を図るためのガバナンス施策として、役員報酬の設計、
管理が重要視されおります。さらに、2021 年 3 月の施行が見込まれる改正会社法では、取締役に対して株式報酬を付与する際に報酬
等として決議すべき事項が明確化されており、改正法施行後に株式報酬の付与を検討している会社や定時株主総会を迎える会社では、
報酬決議を改めて得る必要があるか点検するとともに、事業報告での開示拡充に向けた準備を行うことが必要となります。
税制の観点でも、平成 29 年度税制改正により新しい役員報酬税制が施行され、一定の退職給与や新株予約権が役員報酬税制に取り込
まれることとなったほか、業績連動給与の要件が柔軟化され、令和元年度・2 年度税制改正においても一定の改正がなされました。こ
のほか、国税庁による文書回答事例などもあり、役員のインセンティブ報酬を取り巻く環境は大きく変わっています。
各種制度の整備により役員報酬の選択肢は豊富になっており、役員報酬を設計する上では、複雑な法務・税務上の取扱いを統一的に検
討することが不可欠です。いかに役員のインセンティブに資するとしても、法的安定性に欠ける、あるいは、会社や役員に対して課税
上の不利益が生じるリスクがあるというのでは、中長期的な企業価値向上という最終目的を達成することはできません。
そこで、本セミナーでは、近時の税制や税務実務の動向、改正会社法の施行対応、最新の実務動向や実例の内容を踏まえ、インセンテ
ィブ報酬の全体像や役員報酬設計に関する税務上の基礎的なポイントも解説した上、法務と税務を統合した視点でメリット・デメリッ
トを検証し、インセンティブ報酬設計の実務上の留意点の最新動向について解説いたします。