従来、上場会社が開催する株主総会は、物理的に存在する会場において、取締役等と株主が一堂に会する形態で行われてきましたが、2020 年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機として、近時、IT を活用して、電子的手段により遠隔地から株主総会に参加又は出席するいわゆるバーチャル株主総会への関心が高まっています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の終息が未だに見られない2021 年においては、2020 年よりもハイブリッド型バーチャル株主総会を開催する上場会社が増加しており、アフターコロナにおいても、この傾向は変わることはないものと思われます。さらに、いわゆるバーチャルオンリー型株主総会を解禁することを盛り込んだ産業競争力強化法の一部改正が2021 年6 月16 日に公布・施行され、改正産競法に基づき、実際にバーチャルオンリー型株主総会を開催した上場会社が登場しておりまた、バーチャルオンリー型株主総会を開催するための定款変更を行った上場会社も存在し、今後、バーチャルオンリー型株主総会を開催する上場会社も増加していく可能性があると思われます。
もっとも、実際にバーチャル株主総会を開催するにあたっては、株主構成等の自社が置かれている状況や、リアル株主総会のみを開催する場合と異なる法的論点、運営実務の見直し、新たなシステムの導入等検討すべき事項が多数あるため周到な事前準備が必要であり、実務的には、一朝一夕にバーチャル株主総会を開催することができるわけではありません。
そこで、本セミナーでは、バーチャル株主総会の意義及びバーチャル株主総会を取り巻く内外の議論状況を概説するとともに、来年度の定時株主総会に向けて、バーチャル株主総会の類型ごとに法的論点と実務対応について整理を行い、法的な議論に裏付けられたバーチャル株主総会の新たな実務のあり方を解説します。