不当で過剰な主張をする「悪質なクレーム」対処のために知っておきたいこと
クレームの中には、主張に妥当性がなく要求も過剰、かつ主張の仕方がきわめて「悪質」なものも存在します。
対応を誤ると大きな損害につながるため、組織を挙げての注意が必要です。
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「悪質なクレーム」の主な特徴は?
●大声を出す・モノを叩くなど、暴力的な威嚇行為がある
●補償として、過剰な金品を要求してくる
●しつこく言葉尻をとらえたり、揚げ足を取ったりして、対話を混乱させる
●執拗かつ反復的
●暴力団・政治団体などとの関係をほのめかす
●「どうすればいいか(何を求めているか)」をはっきり言わない
●個人名・住所・勤務時間・家族のことを尋ねるなど、「対応者個人」への脅迫的発言が見られる
こういった度の過ぎたクレームは、
警察や裁判所などを介した「紛争処理」として解決するのが、安全かつ簡単です。
「悪質なクレーム」は、法的手段で解決するのが安全
悪質なクレーマーにかんたんに屈してしまうと、執拗かつ反復的に「標的」にされる可能性があります。
こちら側が警察・裁判所などの第三者を交えた解決に臨むと、
「まさか裁判沙汰にはしないだろう」と高をくくる相手をひるませることができます。
そして何より、公平性・客観性が保たれるメリットがあります。
相手方がこうした対処にひるまないようなら、それこそ法廷での対決を図るのがベストです。
刑事事件としては警察が動いてくれない場合も、
民事訴訟で「名誉毀損による損害賠償請求」などの判決が下ることもあります。
「裁判所に訴えること」自体に、悪質なクレーマーを牽制する効果があるのです。
とはいえ、まずは「通常のクレーム」と同じ対応フローで
ただし注意すべきは、感情的になっている方のクレームを「悪質なもの」と決めつけて対応してしまうこと。
「クレーマー扱いされた!」と思わせ、事態をさらに悪化させてしまいます。
相手がどのような人であっても、まずは心情理解、事実確認......という「基本手順」のフローを踏みます。
そのうえで、「おかしい」と判断したら、迷わずにSOSを発信しましょう。
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「悪質なクレーム」への対応で徹底したい、9つのこと
(1)とにかく、冷静に。挑発に乗らない!
まず、「悪質」なクレームが1回で解決することはまれだ、と考えましょう。
ひとりではなく、職場一同で知恵と力をあわせて、冷静に対応することが必要です。
必要以上に恐れないこと、安易な妥協をしないことが重要です。
(2)書類の作成・署名・捺印は絶対にしない。
どんなに危機的状況に立たされても、この3つだけは絶対に拒否することを意識しましょう。
(3)ひとりきりでなんとかしようとしない(「数」で負けない)。
クレームに「悪質さ」を感じたら、早めに上司や同僚にSOSを発信し、
連携しながら、できる限り相手方よりも多い人数で対応するようにします。
(4)簡単に「上の者」に代わらない。
「社長を出せ!」等の要求にすぐに屈すると、「弱みを握らせる隙」をつくってしまいます。
上司や別の担当者にバトンタッチするのは、事実確認をある程度おこなってからにします。
(5)あいまいな発言・行動をしない。
ちょっとした発言や行動のブレから、こちらの不手際を指摘してクレームを上乗せしたり、
発言の挙げ足を取ったり......といった事態を、なるべく起こさないようにします。
「その場しのぎ」の返答は避け、すぐに返答できないときは、日を改める提案をします。
どうしても無理な要求には、きっぱり断る姿勢を見せましょう。
重要なのは、「つけ入る隙を見せない」ことです。
(6)相手のテリトリーに入らない。
先方の事務所など、密室で話をすすめるのは危険です。
なるべく、他者の目があるところでの対応をするようにします。
(7)記録はなるべく正確にとる。
「記録役」に徹する人物を置くのがベストです。会話の録音も、なるべく残すようにします。
その際には、
「ご意見を間違って認識することがないよう、録音をさせていただけますか。」
など、相手を納得させる一言を述べましょう。
記録を取る姿勢を見せることで、相手がひるみ、事態がおさまることもあります。
ただし、もし相手の同意が得られなかった場合はプライバシー侵害(人権侵害)として損害賠償責任を負いうること、
相手の罪状を問う決定的な証拠になるとは必ずしも言い切れないことを、理解しておきましょう。
(8)違法行為があれば、迷わず警察と連携する。
どんな理屈を並べていても、金品の要求があれば「恐喝罪」に問うことができます。
また、たとえば意味なくクレーム電話を繰り返す行為も「威力業務妨害罪」となります。
「自分たちで対応しなければ......」と抱え込まず、早いうちから警察と連携をとりましょう。
(9)クレームの「傾向と対策」を、関係部署内で共有する。
悪質なクレームに何度も悩まないためにも、事例と対策は共有し、
万が一の事態には「部署全体で」備えましょう。
このように、悪質なクレームへの対応には、通常のクレームに対する以上に「組織力」が問われます。
個人レベルでは、常に毅然とした対応をするよう、心がけましょう。