事業継続計画(BCP)の作り方・見直し方

事業継続計画(BCP)の作り方[3]目標復旧時間(RTO)を設定する

事業継続計画(BCP)の作り方[3] 目標復旧時間(RTO)を設定する

それでは次に、目標復旧時間(RTO)を考えます。

 

業務の中断が与える影響の大きさを評価する

まず、不測の事態が起きた際に業務の中断が顧客などに与える影響を具体的に推定します。これは、「ビジネス影響度分析(BIA:Business Impact Analysis)」といい、5つの観点(売上・利益、信用、雇用、法令違反、復旧コスト)から影響を評価します。

例えば、不測の事態が発生してから12時間後、売上・利益は何の損失もなかったとします。しかし、顧客からすると12時間後にはクレームが発生し、1日も経てば強い復旧要請、1週間後には損害賠償請求、1ヵ月後には他社への切り替えが行われてしまうでしょう。1ヶ月後にもなれば、売上・利益は5億円の損失が考えられ、非正規雇用の社員は解雇しなければならないかもしれません。このように、時間経過と5項目の影響の大きさを相対させて、影響の大きさを想定します。

 

業務停止の影響が許容されるタイムリミットを設定する

上の作業と同時に、顧客はどのくらい復旧を待ってくれるのか、という許容範囲(=「目標復旧レベル」)内のタイムリミット(=目標復旧時間(RTO))を考え、設定します。

例えば、安否確認(・人命救助)は1日で全員安否確認を終わらせると設定します。(この場合、「目標復旧レベル」が「全員安否確認」、目標復旧時間(RTO)が「1日」ということになります。)

電力が、100%復旧するのには、6日かかる。
取引先への商品供給が、8割可能になるのには、7日かかる。
在庫が、供給の50%になるのには、7日かかる。
取引先からの注文が、80%になるのには、10日かかる。

このように考えていき、復旧目標を「10日」と設定します。

目標復旧時間(RTO)の設定例

 

それでは皆さん、先ほど挙げていただいた3つの重要業務それぞれについて、業務停止の影響が顧客などの許容範囲(=「目標復旧レベル」)内のタイムリミット(=目標復旧時間(RTO))がどの程度か、考えてみましょう。

 

 

 

◆ インソースの「BCPの作り方・見直し方」シリーズ 記事一覧
  1. 東日本大震災での気付き
  2. BCPの作り方[1] 基本方針を作成する
  3. BCPの作り方[2] 重要業務を選ぶ
  4. BCPの作り方[3] 目標復旧時間(RTO)を設定する
  5. BCPの作り方[4] リスク分析・ボトルネックを把握する
  6. BCPの作り方[5] BCPの決定・文書化
  7. BCM(事業継続マネジメント)のすすめ
  8. BCP作成研修 わかりやすくご紹介
  9. BCP作成研修 公開講座のスケジュール

 


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