ダイバーシティ・マネジメント
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時代の変化
かつて、典型的な家族像は決まっていました。サラリーマンに専業主婦、2人の子どもという4人家族です。ところが、ここ30年間で、この家族像は大きな変化を遂げました。高齢化社会の影響を受けて単独世帯が急速に増え、トップになったのです。4人家族の世帯は傍流(マイナー)になりました。
一方、女性の意識の変化も顕著です。結婚や出産で仕事を辞め、子どもが手を離れたあとに再び働きに出る「再就職型」、結婚や出産に関わらず働き続ける「就職継続型」が約73%です。結婚や出産を機に仕事を辞める「専業主婦型」は約20%に過ぎません(国立社会保障・人口問題研究所調査2015年)。
ダイバーシティ・マネジメントとは
この例に限らず世の中の変化をあらわすキーワードとして、「ダイバーシティ(diversity、多様性)」が聞かれるようになりました。社員一人ひとりが持つ多様な特性を受け入れ、多様性を活かすことで、企業・組織の力を高めようというのが、ダイバーシティ・マネジメントです。
一般的には、性別、人種、国籍、宗教、キャリアなど多様な価値観を認め、人材活用をはかることをいいます。特に、前述のとおり、女性の社会進出を背景に、女性の力を引き出す点に注目し、ダイバーシティ・マネジメントに取り組む企業が次第に増えてきました。女性的な視点での商品開発などが代表例です。
典型例は子育て中の女性
ダイバーシティ・マネジメントが試される典型例は、子育て中の女性です。通常の社員と同じような勤務形態では、困難です。管理職の腕の見せ所は、ホワイトカラー的な仕事について、その女性の力を引き出し、かつ生産性を上げながら、残業にならないように仕事の指示・フォローをすることです。要は、ダイバーシティをマネジメントする条件は、ホワイトカラー的な仕事について、残業をゼロにできるかどうかに関わってくるといってよいと思います。
前提はタイムマネジメント
ということで、ダイバーシティ・マネジメントには、タイムマネジメントが不可欠です。それも、残業ゼロを制約条件とするタイムマネジメントです。結局は、組織的にタイムマネジメントができていない職場では、ダイバーシティ・マネジメントは困難です。
なお、ダイバーシティに関連して「ワークライフバランス」がよく言われています。確かに、一人ひとりがもつ特性や価値感を認める点で共通です。しかし、「ダイバーシティ・マネジメント」は、「ダイバーシティ」とは様相が違ってきます。後者は理念であるのに対して、前者は仕事上のプロセスだからです。
いずれにしても、ダイバーシティ・マネジメントには、最低でも、業務をこなす標準時間の設定がされていることと業務量の把握が必要です。皆さまの職場はいかがでしょうか?