クレーム対策は組織で対応
クレームを受けたのが自分じゃなくて良かった~!?
私が働いていたコールセンターは、お客さまからの簡単な質問にお答えする一次対応、お答えできなかった質問に対してお調べして折り返す二次対応があり、私は二次対応の部署にいました。一次対応のコール履歴は、画面上の一覧で見ることができます。質問内容も難しく、「お怒り気味」「怒鳴られた」などとお客さまの様子を書いたものもあります。
そうなると、だれもその案件に「折り返し連絡しない」・・・ということが度々ありました。時間をおけばおくほどお客さまをお待たせすることになります。ついに責任感の強い人が「エイッ!」とばかりに勇気を出して応対にあたりました。いつもはコール音が鳴り響くセンターが、なぜかその時ばかりはコールも少なく・・・
シーンとしたフロアに、
「おっしゃる通りでございます。」「はい、大変申し訳ございません・・・はい。はい。」といった謝罪の言葉だけが響き・・・席が近いので、周囲の人間もいたたまれない気持ちになったものでした。
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オペレーターを孤立させないために組織ができること
「クレーム対応している人間の運が悪かった・・・」という雰囲気は、センター全体のモチベーションを下げます。オペレーターそれぞれが保身にまわり、クレーム対応の電話を押し付けあうようになります。
組織がオペレーターをバックアップすることで、対応した個人が孤立することを防ぎましょう。
クレーム対策は組織で対応(例)
・すでにクレーム対応になりかけている電話に折り返すときなどは、周囲の人やSV(スーパーバイザー)に一言断ってから電話応対を始める
・応援を頼むときの合図などを全員で決め、フォローするメンバーは資料を探すなど、積極的に協力する
・時間を決めてクレームに対応する
対応に責任を持つことは大切なことですが、一向に解決しないようでしたら、時間を区切って対応者を変えることも有効です。
・長期化するクレーム予備軍には
「あの(難しい)お客さまは○○さんが担当」など、本人も周囲の人も暗黙の了解になっているケースはありませんか?この場合、本人がストレスを感じていないかをSVや周囲が気を付ける必要があります。組織内で情報を共有して、誰でも対応できるようにしたほうが結果的にはお客さまにも良いのです。
組織で対応する最大のメリットは、オペレーターを孤立させないことです。バックアップが万全だからクレームに挑戦してみよう、と思える環境を整えましょう。
クレーム対策会議を開こう
即効性のある対策として、職場内でクレーム対策会議を開くという方法があります。会議の目的は以下の3点です。
・クレーム情報の共有
・改善策の検討
・クレーム対応のスキル強化(ロールプレイング等)
会議に向けて日々のクレームの記録をしっかりとることは、日常業務にも緊張感を与えてくれます。
どんな風に大変だったか。どう対応したら切り抜けることができたか。マニュアルでは学べない実務記録をシェアしましょう。クレーム対応の経験が積み重なってスキルになります。
ここでもポイントは、クレーム対応者を責めないことです。対応者を孤立させないために共有している会議ということを忘れないようにしたいですね。
クレーム対策会議の効果は三か月で出る
・どんなクレームの発生が一番多いか数を数える
シニア層からのクレーム
納期に関するクレーム など
・どんなクレームの対応が一番難しいか
商品知識がなくてお待たせしている など
・どう対応すればご納得いただけたか
担当者を変えたことで納得してもらえた など
毎回問題になる要素は、個人の問題とは言えません。組織として解決することで件数を減らしましょう。
・知識不足で答えられないオペレーターが多い
→研修・勉強会を開く
→営業に説明会を開いてもらう
→営業が受けている研修の資料をイントラネット上で閲覧できるようにする
・お客さまから決まった質問がある
→定型文例を作成して回覧する・イントラネット上で閲覧できるようにする
→商品説明書を工夫する、お客さまに宣伝するなど、売り方のしくみを変える
まとめ
人が嫌がる仕事をやっている人は精神的に負担が大きいものです。個人の問題ではなく、組織の問題としてとらえることで、働く人のメンタルヘルスを守りましょう。職場の問題としてチームで対応できることはたくさんあります。責任感の強い人ほど一人でなんとかしようとしがちです。重要なことは、一人で抱え込ませないということです。
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