内定者研修のポイント~時期・バリエーションを解説
就活を経て得た待望の内定。しかし意外にも内定者の多くは、今後の職場環境・人間関係・実務の程度・将来の展望などに対して、不安な気持ちを育てています。このままの状態で入社時まで放置すると、内定者の不安な気持ちは憂鬱へと変化し、内定辞退や早期離職につながる場合も少なくありません。
内定後から入社までの期間は、内定者のモチベ―ションが低下するといわれるため要注意です。
入社までの間に内定者との関係を切らさず、充実した研修を実施することは、内定者の不安解消やモチベーションの維持向上、早期戦力化、企業への定着などに有効です。内定者にとっても、自社を理解して好きになる、同期生との横のつながりができる、自身の将来像に希望がもてるなどの機会になります。
同様の効果は「内定者アルバイト」などによっても得られますが、新社会人としての基本的なスキルを総合的に学べる内定者研修を企画すると、内定者の不安を解消できることに加えて、入社後の新人教育がスムーズに運びます。
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社会人デビューへの準備
内定者の多くは新入社員になると同時に、新社会人にもなります。仕事への意欲と不安を抱えながら、卒業と新生活の準備やプランニングに忙しい時期です。
研修の実施に際しては、受講後の時間経過による心理変化も踏まえて戦略的に目的を考えます。目的に合わせて研修内容・順番・時期なども考慮するようにしましょう。
入社までの期間に学んでほしいことは大きく下記の4点です。
入社までに学ぶべきテーマ | 実施時期 | 目的 | 効果 |
1. PC操作スキル | なるべく早いタイミング | PC操作の基本習得とスキルアップ | スムーズな仕事開始 |
2. ビジネスゲーム(チームビルディング) |
なるべく早く 10月~12月 | チームワーク・コミュニケーション力の向上 |
内定者間の相互理解と連帯感が増幅 |
3. 社会人としての心構え | 10月~1月(以外も可) | 学生から社会人への気持ちの切り替え | 社会人としての自覚 |
4. ビジネスマナー・ビジネス文書 | 入社直前1月~3月 | 失敗しがちなマナー、過不足ない文書の基本を習得 | 常識あるビジネス対応 |
・PC操作のスキルアップ
近年スマホ世代のPC離れで、多くの新入社員のPCスキルが低下していると問題になっています。しかし現在、ほとんどの企業のほとんどの業務は、PC抜きには進みません。
Microsoft OfficeのWord、Excel、PowerPointの基本操作程度は、できれば入社までに習得してもらうのがベストです。企業側でPCスキル研修を実施することも多く見られます。
なるべく早いタイミングで、内定者に時間的な余裕があるときに設定しましょう。eラーニングでも可能です。
・ビジネスゲーム(チームビルディング)
仕事場面を想定した課題をゲーム形式で楽しみながら、チームワーク、コミュニケーション力、客観性などを駆使して解決していくグループワークがよく利用されます。成果として内定者同士の相互理解と連帯感が生まれ、雰囲気を明るくします。
10月~12月またはそれ以前、内定式後なるべく早い時期に開催して同期とのコミュニケーション活性化を促しましょう。
・社会人としての心構え
全ての仕事には必ず前後のつながりがあります。職場では、組織として高い成果を得るために、チームの一員として個人の力を最大限に発揮して貢献することが求められます。新人には、先ずチームの一員として働くための基礎、考え方・姿勢・行動を身に付けてもらいましょう。
また、社会には遵守すべき「決まり」、法令だけでなく社会規範や業界の自主ルールやマナーが、社内にも内部規範や会社のルールがあります。自社の信頼や業績の向上に直接影響する「決まりを守る姿勢」も、社会人として欠かせない心構えです。頭で知っているだけでなく、しっかり身に付けて落ち着きある社会人としてのスタートを切ってもらいましょう。
どの時期に実施しても良い研修ですが10月~1月に行う、またはeラーニングでの勉強でも良いでしょう。
・ビジネスマナー・ビジネス文書
ビジネススキルの基本中の基本「電話応対」は簡単にできると思いがちですが、実は失敗しやすいスキルです。その他、商談以前にクリアしておかなければならないマナーは、ロールプレイングで学ぶのが効果的です。
メール文や議事録など、ビジネスでは端的でわかりやすい文書が求められます。過不足のない礼を失しない文章は、訓練によって上達します。
実施時期が早すぎると忘れてしまいます。どちらも入社直前の1月~3月の実施が適切です。
研修担当者のガンバリ時
内定者にとって、入社までの期間をただ漫然と過ごすのではなく、時に研修で実社会を身近に感じることは、モチベーションの維持に効果的です。
研修担当者にとっては多忙な時期ですが、内定者の順調な成長を促す研修を準備することで、内定辞退の防止や内定者たちの新入社員としてのスムーズなスタートに貢献できます。