インソースグループは、ESG+P経営を中期経営計画に盛り込み、社会的価値を提供する事業や取り組みを拡大させながら、持続的な業績(Performance)向上を進めています。気候変動が社会や当社グループに大きな影響を及ぼす課題として認識し、2021年2月にTCFD※提言への賛同を表明しました。気候関連財務情報開示の重要性を認識し、TCFDが提言するフレームワークに沿った情報開示に取り組んでいます。
※ The Task Force on Climate-related Financial Disclosures の略。G20からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立。 気候変動によるリスク及び機会が経営に与える財務的影響を評価し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について開示することを推奨。
インソースグループは、2022年7月に取締役執行役員常務が議長を務めるサステナビリティ委員会を設置しました。 当委員会は、代表取締役執行役員社長から任命された組織であり、機動力をもってESG視点での経営を推進し、気候関連課題を含むサステナビリティ全体のリスク管理、戦略の推進に対し責任を負っています。
サステナビリティ委員会の下部組織には気候変動に関する組織横断的なタスクフォースであるCO2削減部会が存在し、取締役執行役員常務は当タスクフォースの議長も務めています。
CO2削減部会は原則、毎月開催しており、社内節電プロジェクトや紙削減によるCO2削減プロジェクト、温室効果ガス排出量のレビュー、再生可能エネルギー調達の拡大などの施策の進捗報告、環境目標に対する実績の進捗度合いの確認、事業に関連する気候変動トピックスやイニシアチブの動向などの報告や議論がなされています。
取締役執行役員常務は当タスクフォースに参加し、気候関連課題を含む各プロジェクトの報告を基に、サステナビリティ委員会にて施策実行などの判断を行い、四半期に一度、サステナビリティ委員会の活動内容を取締役会へ報告を行っています。また必要に応じて事業部門の責任者や社外取締役の出席を要請することで、サステナビリティ施策の有効性および実効性を担保します。
気候関連のリスクは、TCFD準拠の物理リスク(気候変動の物理的影響に関連するリスク)、および移行リスク(低炭素経済への移行に関連するリスク)の2つに分類しており、当社ではいずれのリスクにおいても事業活動に関連のあるものとして評価対象とし,リスク軽減にむけて検討を進めています。
当社グループは気温上昇を1.5℃未満に抑制することの重要性を認識し、1.5℃~2℃及び4℃の気温上昇時の世界を想定し、全事業を対象としてシナリオ分析を行いました。その結果、1.5℃シナリオでは市場、評判等の移行リスクが、4℃シナリオでは物理的リスクの影響が大きいことがわかりました。リスク低減のため、リスク・コンプライアンス委員会と連携し、具体的な対策および実施検討を進めてまいります。
また、 物理的リスク、移行リスクへの顧客ニーズの変化 および社会からの対応要請の高まりは、当社グループにとって機会になると考えています。SDGsやESG関連等知識付与型コンテンツや組織変革・DX等事業変革・行動 変革型の教育コンテンツ開発と提供により、民間企業および官公庁組織のサステナビリティに関する取組への支援、価値向上に向けた継続的な教育支援を行ってまいります。
TCFDの分類 | 主なリスク | リスクが顕在化したときの影響 | 影響度 | 対策 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
4℃シナリオ | 物理的リスク | 急性 | ・洪水等自然災害の増加 ・異常気象の激甚化 |
■売上減少・ボラティリティの増加
|
中 | 事業所及びサーバ設置地域の損壊、水没に対するモニタリングの開始、一定リスクを越えないエリアへの移転検討 |
慢性 | ・海面や気温の上昇 ・気象の変化 ・水供給不足等の資源の枯潟 |
■売上減少・ボラティリティの増加
|
中 | 顧客ニーズに応じたコンテンツ開発及びオンライン研修、eラーニング等の複数教育手段提供と柔軟な切替体制構築 | ||
1.5℃シナリオ | 移行リスク | 政策と法 | ・環境関連の規制強化 ・炭素税導入 ・気象開連の訴訟増加 |
■コスト上昇 CO₂排出量削減義務の規制強化やカーボンプライシング制度への対応コスト上昇 |
小 | 社内節電の強化 再生可能エネルギーへの切替 |
技術 | ・エネルギーやIT技術の発展 ・脱炭素技術の進展 |
■生産性低下 新技術への対応遅れによる生産性成長の鈍化 |
小 | 外部環境の定期的なモニタリング | ||
市場 | ・顧客行動の変化 ・環境配慮サービスの需要増 |
■売上減少・ボラティリティ増加 現在当社で提供している紙テキストを利用した研修、教育の競争力低下および需要減少 |
中 | 研修事業における電子テキストの提供 | ||
評判 | 気候変動対応への社会及びステークホルダーからの要請増大 |
■売上減少・ボラティリティ増加 気候変動への対応が遅れた場合、社会的評価に影響を与え、企業価値低下および顧客から選ばれなくなるリスク |
中 | サステナビリティ活動の推進及び開示によるステークホルダーエンゲージメント向上 |
インソースグループの売上約50%を占める研修事業では、講師が顧客研修会場もしくは自社セミナールームにて登壇しています。異常気象や台風の激甚化に伴い、受講者もしくは講師の移動、集合が困難の場合、研修延期もしくは中止が予想されます。
2020年3月よりオンライン研修(オンライン環境での研修)の提供を開始しました。その結果、通信回線に影響がない限りは対面型(研修会場へ集合して実施)からオンライン型研修に追加コスト無しで切り替えることができるようになりました。あわせてオンライン研修への切替を想定した顧客との日程設定や、顧客へ受講環境整備の提案を行い、円滑な研修が実施できるよう努めています。
研修事業において、当社はこれまで紙テキストを用いて研修サービスを提供してきましたが、CO2排出量削減の観点および顧客ニーズの変化からペーパーレス化を進め、2022年4月より電子テキストサービスを開始しました。講師派遣型研修とオンライン公開講座で導入し、研修の受講スタイルに沿って従来の紙テキストと電子テキストから選択できるようになりました。
これによりCO2削減および顧客ニーズを満たすだけでなく、社会情勢によるテキスト配送の遅延を未然に防ぐことができ、輸送コストの削減も見込んでおります。研修事業での受講者は年間人()であり、2024年9月期は6万7千人の利用、紙利用によるCO2削減量10.0tとなりました。
当サービス対応は講師派遣型事業および公開講座事業にて担当し、そのモニタリングをサステナビリティ委員会の下部組織であるCO2削減部会にて実施、サステナビリティ委員会等を通じ取締役会に報告しています。
インソースグループでは自社コンテンツ開発部門を持ち、で種類以上のコンテンツIPを保有しています。また外部環境や企業ニーズにあわせて年間約300研修を新規で開発しています。その中で、近年はサステナビリティに関する研修開発を強化しています。具体的にはサステナビリティやESGを学ぶテーマ(SDGsやリスク管理研修、コンプライアンス研修など)やサステナビリティ経営に求められる企業変革、企業の課題解決を支援する内容(管理職研修、DX研修や企画力研修など)です。
今後、企業のサステナビリティに向けた関心や関連法案への対応要請が高まるにつれ、これらの人材育成ニーズは高まると想定しており、サステナビリティや気候変動分野の研究を継続し、新作コンテンツの開発および迅速なWebページ化、顧客へのメールや訪問を通じた積極的な提案を進めていきます。
業務改善サービスを提供する企業であるためそのノウハウを活かし、率先して実践することを心掛けて、全社で積極的な節電を行うなど、必要最小限のエネルギーで活動しています。
2021年9月期の本社機能移転および自社ビル取得の際に、設備改修(高効率で省エネ効果の高い空調機器、LED化)を実施しました。あわせて、社内にて節電意識の向上を図っています。窓ガラス面への遮熱カーテン貼付、帰宅時のデスク上の電源タップオフ声掛け、扇風機の積極的な利用、エアコン空調設定チェックシートの記入などを実施しています。
インソースグループでは、ESG+P経営を中期経営計画に盛り込み、社会的価値を提供する事業や取り組みを拡大させながら、持続的な業績(Performance)向上を進めています。今後、当社事業全体への気候変動の影響確認を目的に、シナリオ分析を実施し、気候関連のリスクと機会の整理および財務的影響の分析を実施し、優先度を踏まえて対応方針を検討していきます。
気候変動に関わるリスクの「特定」・「評価」は、代表取締役執行役員社長から任命された組織である「サステナビリティ委員会」およびその下部組織である「CO₂削減部会」で実施しています。
特定は短期・中期・長期のすべてを含んで外部情報の変化を踏まえて更新し、売上と費用への影響度(大中小)と発生可能性のマトリックス(大中小)で検討して、都度評価しています。 また長期目標を掲げているCO₂排出量の削減に関しては電力使用量の目標を据えて年2回以上の評価を行い、年次進捗を評価しています。リスクおよび機会の特定・評価の状況は、年に一度以上、取締役会に報告されています。
気候変動に関わるリスクの「管理」については、代表取締役執行役員社長が委員長であるリスク・コンプライアンス委員会と連携し、気候変動以外のグループ全体に関わるリスクと統合し実施しています。
当社は自然資本への依存度や大規模な生産装置を持たないため、他業種と比較しCO₂排出は高くないものの、毎年20%成長を掲げ、人員増加および拠点拡大を進めています。そのためエネルギー利用量は毎年増加傾向にあります。気候変動リスク及び機会への対応および長期的視点に基づく環境負荷の低減活動を進めるため以下の目標を設定し事業活動を推進しています。
サステナビリティデータよりご覧ください。
E(環境)
S(社会)
事業を通じた社会との繋がり
人的資本の向上
地域社会との共創
G(ガバナンス)