組織にあわせたカスタマイズで女性活躍を加速する
人的資本経営を背景に重要度が増している「女性活躍推進」への取り組みですが、組織によってもその進み具合は異なっています。日本では、女性活躍推進の一つの指標とされるジェンダー・ギャップ指数は146か国中116位と低い水準が続いており(2022年 内閣府 男女共同参画局「女性活躍・男女共同参画の現状と課題」)、また課長相当以上の管理職に占める女性の割合は12.7%(厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」)と、女性活躍推進の取り組みは道半ばの状態です。
今後、女性活躍を進めるにあたっては、各組織が抱える課題に応じた対策を講じる必要があります。インソースでは組織に即した内容とするため、組織内での女性活躍の推進度や抱えている課題をお尋ねし、研修内容をカスタイマイズしております。今回は一例をご紹介いたします。
- 目次
事例1 女性管理職がなかなか増えない
(製造業、従業員数100名以上)
<本事例の背景と課題>
本事例では、女性管理職が増えない背景として、女性社員自身の管理職への意欲の不足と上司側の理解不足という双方の問題がありました。女性社員が管理職になることに対して抵抗があり、管理職になり得る人材であっても管理職を目指そうとしない傾向がありました。職場にロールモデルとなる女性管理職が少ないことも影響しています。
一方、上司(管理職)も女性の管理職が活躍するイメージが持てず、女性の管理職登用に積極的ではないという状況がありました。
<施策内容>
本事例では、女性社員向けと管理職向けに意識醸成の研修を実施しました。
①女性自身が無意識に感じている思いこみを打破する
女性社員は、「自分は管理職になることは難しいのではないか」「管理職にはハードワークが必要、だから私には難しい」など自分自身が持つ思いこみを打破することが必要です。
研修内ではそのような先入観や自身に対する評価を低くとらえてしまう傾向など、陥りやすい考え方を紹介し、自身にも同じような考えがないかを確認する内容としました。思いこみの気づきを得ながら、自身の強みに目を向け、今後のキャリアを前向きに考えていただく内容を実施しました。
②管理職が部下を理解し、誰もが活躍できる職場を作る
女性活躍を支援することはもちろん、誰もが活躍できる職場づくりを率先して行うことが管理職としての役割です。
管理職には女性を含めた、部下を知ることの重要性を理解して、上司自らが部下と積極的にコミュニケーションを取るように促す内容を盛り込みました。女性社員がキャリアや育児との両立などについて、管理職となかなか話ができないなど、組織内での悩みもうかがい、コミュニケーションパートを厚く実施しました。
研修内では課題に対する解決策として、「理」と「情」で部下を動かす、上司からの自己開示の重要性などを取り扱いました。
事例2 女性活躍の次なるステップとしての女性役員登用の課題
(製造業、従業員数3,500名以上)
<本事例の背景と課題>
本事例の組織は、これまでも女性活躍推進には力を入れてきていました。まずは第一ステップとして女性管理職登用を増やすための施策を行ってきており、組織内での女性管理職は増えてきていました。そこからさらに女性活躍を進めるとなった際に、さらなるステップアップとして女性管理職から役員として活躍する人材を増やしていくことが課題でした。
<施策内容>
女性管理職が役員を目指すために、役員のメンターと女性管理職のメンティとのメンター制度を導入し、キャリア支援を行いました。スタートにあたっては、事務局メンバーへの研修も実施しました。
①役員メンターにはメンタリング前の事前理解を深める
メンティを受け入れるにあたり、経営層がメンターを担うことで、組織内外に女性活躍推進の取り組みに対する本気度を示すことができるなどのメンターとしての意義をお伝えしました。また、経営陣候補人材を育成するためにメンタリングを通してメンティを勇気づける、サポートを目的として実施していることを理解いただけるような内容を盛り込みました。
また、メンティ側も女性がさらに活躍することに対して好機と捉えて、主体的に今後のキャリアについて考えてもらえるような内容としました。
②合同研修によりお互いを理解する
メンター・メンティともにマインドセットを行った後に、メンター・メンティ合同での研修を行いました。お互いを知るだけでなく、普段、経営層の考え方に直接触れる機会が少ない中で、5年後や10年後の自社の姿など、今後のありたい姿について話し合うことで、お互いの理解を深めていきました。
③メンタリングをより効果的なものとする
メンタリング実施後に、メンター・メンティへのフォロー研修を実施しました。メンターには実施してみての課題点や工夫点を他のメンバーに共有することで、より効果的なメンタリングにしていただく機会として実施しました。また、メンティは今後の改善について、日本における女性活躍に関する現状についての資料を提供し、自身は今後どのように対応すべきかを考えていただく内容としました。
他にも様々な課題に対してご支援を行っております
<事例1>子育てをしながら働く人が管理職になりたがらない
課題
子育てを理由にリーダーを退くこともあり、子育てと仕事の両立へのイメージが沸いていない。
研修内容のカスタマイズ
育児休暇前と比べ、どのように仕事への取り組み方や考え方が変わったか、時短勤務体験談を紹介しました。また、突発的な休みに対応するための業務管理方法など時短勤務者の仕事の進め方の内容を盛り込み、仕事と子育ての両立への不安を払拭する効果をねらいました。
<事例2>男性育休などのテーマで働きやすい職場を考える
課題
男性社員の女性活躍に対する意識が低い。
研修内容のカスタマイズ
男性社員、女性社員ともに研修を受講することでお互いの理解を深めました。その際、男性の育児参画の内容に触れ、多様な人材が働きやすい環境について考えるワークを盛り込みました。
<事例3>キャリアのイメージがしにくいことでの離職を防ぐ
課題
子育てや介護をしながらの仕事が離職の原因となってしまいがちなので、仕事と両立しながらキャリアを形成してほしい。
研修内容のカスタマイズ
自社で今後の活躍できるイメージを持ってもらうために、人事制度を確認するなど、自社の制度理解を深める演習を取り入れました。