銀子の一句インタビュー 女性管理職研修を訪ねる~|シルバーWEBライター銀子さんの研修川柳

女性管理職の課題


銀子

女性医師、女性歌手などと同様、ことさらに管理職に「女性」を付けることに対して、不要な区別ではと女性から反論が出やすいと思いますが、いかがですか?


I氏

それが研修に関しては、「共学より本音で意見が言いやすい」と、好評なんです。研修では和やかな雰囲気の中、力強い活発な意見が多く出ます。「女性の意見」のデータとしても、飾らない生の声として精度が高いと思います。

銀子

なるほど。女性のための研修があるくらい女性の管理職が増えているということでしょうか?

I氏

いいえ、そうでもありません。女性の上級管理職には経営視点をもった、管理能力が非常に高い人材も多くいらっしゃいますが、絶対数としてはまだは少ないと思います。
研修参加者の多くは、管理職候補~初級管理職です。「組織における役割やワークライフバランスに悩んでいる」「部下の指導や自身の決断力に自信がもてない」など、実務面またはメンタル面で課題をもつ方が多いですね。研修では、長期的なキャリアの視点、家庭との両立のノウハウ、不安を解消するスキルなどを具体的に学びます。「気持ちが落ち着き、前向きな覚悟がもてた」というご意見を多く聞きます。

求められる女性管理職


銀子

俗にいう中間管理職の悲哀、上からの締め付け・下からの突き上げは、相当なストレスと聞きます。女性は感情的になりやすいともいわれますが、私は身近な女性管理職がヒステリックになるのを見たことがありません。言いにくいことも穏やかに根気強く冷静に伝える姿は、管理職にふさわしいと感服しています。


I氏

あはは。ものは考えようで、上からの締め付けは期待を込めた激励、下からの突き上げは信頼から生まれる本音として理解すれば、より良い解決策が見えそうですよね。ソフトな当たりは女性ならではの利点、問題を必要以上に大きくしない知恵かも知れません。本質的には男女で分けられる話ではないんですけどね。もちろん、男性でも多くの管理職はそうしていますし。

女性の進出を阻むのは女性自身?


銀子

令和6年版の男女共同参画白書によると、日本の就業者に占める女性の割合は45.2%であり、諸外国と比較して大きな差はありません。一方、管理的職業従事者に占める女性の割合は、諸外国ではおおむね30%以上であるのに対して日本は14.6%と低い水準に留まっています。日本も諸外国並みになるのは難しいでしょうか。


I氏

う~ん、難しいのが現状のようです。働く女性の多くが管理職になりたくないと思っているのが現実です。責任をもちたくない・出世に興味がない・他にやりたい事がある、などの理由もありますが、圧倒的に「プライベートな生活(家庭)に支障があるから」という人が多いのです。仕事と家庭の両立は女性だけの問題ではないのに、女性だけが「家庭をもちながら仕事をすること」に負い目を感じているようです。今は独身でも、いずれの結婚や出産などを想定して「偉くなりたくない」女性も多いんです。

銀子

「仕事をすることには賛成だけど、家事に響くほど忙しいのはダメ」ということですか?プロとして仕事をする人に、まるで遊びのアドバイスのように「楽しむ程度にしておきなさい」というのは、おかしいですね。

I氏

そうですね。加えてもう一つの問題は、女性自らが「私なんかには無理です」「自信がありません」などと謙遜という形で辞退することです。頭ではわかっていても、表立つのは男性、陰で支えるのは女性という、長く続いた男社会の価値観から男女ともに抜けきれないのかも知れません。どちらかが悪いという訳ではなく、政府が躍起になっても、こうした社会通念が大勢を占めている間は、女性管理職の飛躍的な増加は難しいのかなと思います。

急がず休まず諦めずに発言する


銀子

過日別件でハラスメント研修についてお話を伺ったのですが、同じパターンに思えます。立場の強い者は弱い者の我慢や不満に気づかない。弱い者は改善よりも、摩擦が起きない環境づくりに専念する。仕方ない部分もありますが、能力のある女性がチャレンジもせずに辞退するなんて、残念ですね。


I氏

歴史的背景という長い時間が生み出した通念ですから、一朝一夕にはいきません。でも時間がかかっても諦めてはダメですね。細かな不都合を抱えながらも、仕事に喜びを持って、力を尽くす女性管理職の存在そのものが、少しずつでも社会の意識改革を促していると私は思っています。対立するのではなく静かに声を上げ続けていくことで、誰でも自己実現を目指すのが当たり前になる日が来ると思っています。

銀子の眼

かつて、女性の仕事は結婚前の「腰掛け」で良いとされていました。今は、財産があろうと無かろうと、誰でも自分で自分を養う程度の仕事をするのは当たり前です。もう一歩踏み出して仕事に本腰を入れ、自己実現を図る女性に大いなるエールを送りたいと思います。

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