マーケティングを企業活動の中で捉えるにあたっては、その企業が市場をどのように捉え、どのような姿勢で攻略しようとするのかによって、次の2つのパターンに分けられます。
自社が良いと考える「モノ・サービス」を開発し、生産効率の最大化を狙った生産計画を立て、それを市場に展開し販売するという考え方。
市場が何を求めているのかを調査した上で「モノ・サービス」を企画・開発し、売れる数だけ生産して市場に展開し販売するという考え方。
かつての日本の高度成長期のように、大量生産・大量消費が主流の消費環境においては、「プロダクトアウト型」の発想で企業運営を行うことが合理的と考えられていました。
しかし、その後、消費市場の成熟期を迎え、今までのように「作れば売れる」時代は終わり、顧客が本当に求めているものは何か、という顧客ニーズを起点にモノづくりをすること(=マーケットイン型)が必要となってきました。
顧客志向のモノづくりの考え方として、「マーケットイン志向」の重要性がより増してきたことは確かですが、だからといって「プロダクトアウト型」の発想がダメだというわけではありません。
マーケットインの発想でモノやサービスを作っていこうとすると、どうしても市場にニーズが顕在化してからの動きとなってしまうため、「後追い」の商品展開になりがちです。
一方、他社の追従を許さない高度な技術で作られた商品や、高い感性を持つ開発者によって作られたモノ・サービスは、それ自体が新たな市場を作り出す可能性を持っています。 このような市場創造型のプロダクトアウトビジネスは、リスクも高いがリターンも大きいという特徴があります。
「プロダクトアウト型」の代表企業・・・米アップル
「マーケットイン型」の代表企業・・・韓サムスン
お客さまにモノやサービスを買っていただくことを生業とする企業にとって、マーケティング戦略は事業戦略のうえで重要な役割を果たします。
マーケティングの流れは以下のとおりです。
事業戦略であっても、マーケティング戦略であっても、「戦略」を立案するにあたっては、まず「環境分析」が必要です。
その分析結果を踏まえたうえで、自社の立ち位置と進むべき方向性を導き出し、そこから具体的な施策へと落とし込んでいきます。
自社を取り巻く環境は、捉え方によって脅威と感じることもあれば、機会となることもあります。
その環境がもたらす脅威や機会には、市場やお客さまの動向に起因するものと、競合他者の動向に起因するものとがあります。
スポーツ用品メーカーにおける「市場」「競合」の動向と「脅威」「機会」の関係の例で見てみましょう。
【市場】
少子化に伴い国内のサッカーの競技人口が減り、サッカー関連商品の販売額が縮小 →「脅威」
一方、幅広い層でランニングブームが広がり、シューズやウェアの販売機会が拡大 →「機会」
【競合】
ライバル海外ブランドが国内市場から撤退、有力小売店での売り場拡大が期待できる →「機会」
一方、ライバル企業がウォーキングシューズの有力ブランドを投入。
自社のウォーキングシューズ市場を奪われそうである →「脅威」
市場の動向における機会は「パイそのものが拡大するか縮小するか」に関係するのに対して、競合の動向における機会は「パイの分け前が拡大するか縮小するか」に関係しているのです。
ビジネスを行う環境を規定するものとして、内部の課題である内部環境も重要な要素です。すなわちそれは、自社にはどのような「強み」や「弱み」があるのかを理解することです。
ただし、この「強み」「弱み」は捉え方によっても変わります。
例えば、商品ラインナップが豊富になれば、品揃えの提案の幅が広がるので小売店に喜ばれるという「強み」があるという一方で、多くのアイテム数を取り扱うことが前提となるので在庫負担が増えるという「弱み」にもなります。
外部環境分析から導き出した「脅威」と「機会(チャンス)」、内部の課題分析から導き出した「強み」と「弱み」を踏まえて、自社がどうすればこの環境下で勝っていけるのかを考えます。それがSWOT分析です。
SWOTとは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)のそれぞれの頭文字を取ったもので、この4つの切り口でマトリックスを作り、それぞれのクロスする枠内において戦略を考える分析手法です。
よって、以下の4つの枠における戦略を考え、分析することになります。
このようにSWOT分析を行い、どうすれば勝ち残っていけるかを考えることが大切です。
SWOT分析によって、どのような方向でビジネスを拡大していくかが決まったら、次にそれを戦略として組み立てていきます。 その時、自社が「誰」に対してどのような価値を提供するのかを明確にする必要があります。
3つの要素(「Segmentation(セグメント化)」「Targeting(ターゲット選定)」「Positioning(ポジションの確立)」)で分析するマーケティング手法を、各要素の頭文字をとって、「STPマーケティング」と呼びます。
セグメンテーションとは、顧客のニーズを踏まえて市場を様々な切り口で分けることです。複数の切り口を軸に立ててマトリックスにすると、より市場の全体像が見えるようになります。
例えば、「製品グレード×顧客分類」でセグメント化するのであれば、製品グレードを「普及品」「中級品」「高級品」、顧客を「法人」「官公庁」「個人」に分け、それぞれの市場を考えます。
ただし、従来通りの市場分類の中で勝負を挑む場合、すでにそこにいる競合他社との激しい戦いは避けられません。
そこで、これまでとは異なる概念で市場を分け、競争相手のいない独自の市場として捉え直すことで、その市場での優位な事業展開が可能となります。
セグメント化した市場のいずれかに、自社の参入すべきセグメントを選択します。このセグメントの選択を「ターゲッティング(ターゲット選定)」といいます。
まずは自社の強みが活かせるところ、次に他社との競合が少ないところ、という視点でターゲットを選定することがポイントです。
選んだターゲットの顧客に自社を選んでもらうための立ち位置を決めます。具体的には、対象顧客のニーズを満たしつつ、競合他社との明確な違いを打ち出し、自社の独自性を確立することです。
自社で取り扱っている主要な商品・サービスから一つ選び、その商品を購入する人とは具体的にどんな人で、その商品・サービスと競合する商品・サービスにはどのようなものがあるかを検討します。
さらに、その商品・サービスの販売戦略を考えるうえで、どのように市場をセグメンテーションすれば良いか、そのうち自社がターゲットとするべきセグメントはどこかを絞り込みます。
その際、「現在ターゲットとしているセグメント」と「これから進出したいセグメント」とに分けて表現したり、あるいは、「第一優先セグメント」、「第二優先セグメント」のように、優先順位をつけて表現しても構いません。
お客さまの嗜好やライバルとの比較などを踏まえて、「選んだセグメントに商品・サービスを投入し、そこでの競争優位を獲得するためには、どのような違いを打ち出していけばよいのか?」を考えるのが「STPマーケティング」という戦略です。
ブランドとは、商品・サービスを象徴するもののことです。狭義には、シンボル・マーク、デザイン、名前などであり、広義には、商品・サービスを思い起こさせるイメージ全てを指します。
自社ブランドが、顧客に名前を覚えられ、他ブランド、他社製品と異なるものと認識されることは、商品の購買につながる重要なポイントとなり、ひいては自組織の事業にもっとも大切な信頼を勝ち得ることにつながります。
結果として商品そのものが力を持ち、商品企画・開発や、販売に余計な費用をかける必要もなくなり、ライバルの他社より高い価格で販売できるようになります。多くの顧客に良いブランドとして記憶され、さまざまな人から注目をされ、求心力をもっているブランドこそ、強いブランドといえ、その力は企業の規模・業種に関係なく重要です。
ブランドの導入を判断するうえでまず必要となるのが、マーケットの規模を予測することです。全く新しいジャンルの商品・サービスを投入する場合でも、潜在顧客のいるマーケットを想定し、そこからどのくらいの顧客を引き込むことが可能かを測ります。
また、マーケットはブランドの拡大・浸透や他社の参入などに伴い、その規模も中身も変化するため、予測は常に動的に捉える必要があります。
特に、新しいジャンルの商品・サービスをマーケットに投入する際には、まず地域など、範囲を一部に限定したうえで試験的な市場投入を試みて先行販売で市場の反応を見ます。
そこでのマーケットからの反応を踏まえて戦略を修正することにより、本格展開の成功確度を高めることができ、投資リスクの軽減を図るのです。
同じ商品でも、「全く新しいコンセプトの商品」として打ち出すか、「既に認知度のある商品の改良版」として位置づけるのかによって、そこからのリスクとリターンに大きな違いが出ます。
投入する商品・サービスを、マーケットの中でどのようなポジションに置くかは、ブランド戦略において特に重要な視点です。
企業組織の構造に呼応する形でそれぞれにブランドも形作られます。
企業に対するブランドイメージを高めることで提供する商品・サービスに対する支持を高めようとする戦略を「コーポレートブランド戦略」、個々の商品そのもののブランドイメージを高めることによって顧客の支持を得ようとする戦略を「商品ブランド戦略」といいます。製品の企画・開発に始まり、マーケティング戦略の立案、販促手段の選定、発売後のメンテナンスに至るまで関わり、一貫して特定ブランドの価値の維持・向上をミッションとする責任者がブランドマネージャーです。
ブランドエクイティとは、ブランドが持つ資産価値を意味します。ある特定のブランドが、そのマーケットにおいて他よりも圧倒的に強い支持を受けて有利にビジネスを行っている場合、「ブランドエクイティが高い」と表現します。
早期にマーケットに参入したり、マーケットそのものを生み出したような先駆的なブランドや、既存ブランドを圧倒するクオリティによって支持を確立したブランドなどが、高いブランドエクイティをマーケットの中に構築することが多く見られます。
既に特定の商品・サービスで確立されているブランドを、他の商品・サービスにもつけて販売の拡大を試みることを「ブランドの拡張」といいます。「ブランドの拡張」の主なメリットは以下の3点です。
自社の戦略が明確になったら、それを具体的にどのように実行していくかという戦術を考えます。この時重要になるのは、マーケティングにおける4つの視点です。
(1)Product(商品)
(2)Price(価格)
(3)Place(流通)
(4)Promotion(販売)
これはそれぞれの頭文字をとって「4P」と呼ばれます。4Pは、市場から望ましい反応を市場から引き出すためのツールの組み合わせであるマーケティング・ミックスとして、ジェローム・マッカーシーが提唱した理論です。
まず「何を商品として売るのか」を考えます。商品のデザインや品質、ブランド、さらにそれに付随するサービスなどを含めてどのような商品であれば、お客さまに支持されるのかを考えなくてはなりません。
例えば、「夕張メロン」は高い基準値を設け、それに満たないものは一切流通させないという徹底した品質管理により、高くても売れるブランド果物の地位を確立しました。
企業がより利益を出そうとする場合、環境に応じて戦略も変える必要があります。戦略策定の際に一つの有用なガイドラインになるのが「商品ライフサイクル」の考え方です。
商品が市場に導入され、市場から姿を消すまでの寿命段階を売上高によって示し、赤字→黒字転換→利益拡大→減少へと変化していく以下の4つの段階に分けられます。
商品が市場に導入され、時間が経過するとともに消費者も変わります。その変化を、製品ライフサイクルの段階と照らし合わせてマーケティング戦略を少しずつ修正していくことが重要です。
商品が新しく市場に導入されたばかりのころは、ほとんどの消費者が商品に関する十分な情報を持っていないので、その商品の価値も十分には判断できません。
その中で、消費者は商品の存在に気づき、情報を集め、評価し、試用し、採用するのです。このいくつかのステップを登り、採用への時間を短縮できればマーケティング効率は極めて高いものとなります。
採用を決める時期によって、顧客層を分類すると下記のようになります。
企業のサービスや事業が、どのような段階にあるかを知るためのマトリックスです。ボストン・コンサルティング・グループや、GEが開発したものがあります。
価格(Price)に重点を置いている代表的な例が、近年流行りのファストファッションブランドです。一定レベルの品質を確保した商品を、他社の同種の商品よりも圧倒的に安い価格で販売することにより、大量生産・大量販売を実現しています。
価格戦略は、以下のような企業の市場における地位つまりシェアによって変わります。
価格は、マーケティング戦略全体の中のひとつとして決定されるため、市場環境との関連やチャネル等と常に連動しています。まずは価格の上限と下限を確認し、価格の基本方針を決めます。
(1)高価格参入
上位顧客層を狙う方式です。この層には、高価格でも高品質であれば買ってもらえる可能性は高いといえます。かつその後安価な競争が参入した場合でも値下げで価格を合わせていくことが可能です。
(2)低価格参入
安い価格で入ることによって、その後に続く競合相手をあきらめさせる効果があります。また、先行して安価で数量を伸ばせば、規模と経験の効果によってさらに費用は低減し、市場シェアの拡大と、大きな利潤になる可能性があります。
(3)中価格参入
一般的な消費者が「だいたいこれが相場だろうな」と納得する程度の値段に設定します。
「価格」は極めて重要な要素です。ただし、全ての商品が低価格である必要はありません。価格戦略は「廉売」を中心に考えず、利益確保を重視した価格戦略をすることが大切です。
次に、価格設定のテクニックを解説します。
マーケティング・チャネルとは、製品・サービスの入手または消費を可能にするための組織集団のことです。たとえば、流通チャネルであれば、卸売業者、仲買人、小売業者などがそれにあたります。
卸売業者は次のような役割を果たしています。
(1)情報ギャップを埋める
市場にどんな商品が存在するかという情報と、どんな商品が実際に小売り現場で売れているかという情報を持ちます。
(2)需要量と供給量のギャップを埋める
メーカーと小売業の中間バッファとして、卸売業は各々の小売店需要に即した小分けを行います。配送の発達や決済手段の多様化がすすみ、この役割は縮小しています。
(3)地域ギャップを埋める
卸売業は流通拠点のひとつとして、メーカーや市場などと地域需要とを橋渡しします。こちらも配送網の発達や決済手段の多様化で縮小傾向にあります
小売店では卸を経由せずにメーカーから直接商品を仕入れることが増え、卸売業のウエイトが相対的に低下しているため、医薬品など一部の商品においては業界の再編がすすめられています。
インターネット販売や通信販売が普及し、膨大な数の消費者への販売機会が生まれています。
店舗運営コストや代金の決算に関するコストも大幅に削減できます。さらに画像・音声・映像なども提供できるので、消費者はより安心して小売店で購入するのと同じような感覚で商品を手に入れられるようになりました。
商品の中身・コンセプトが明確化された時点で、プロモーションの計画は始まります。プロモーション活動の主な目的は、直接・間接的に「買ってもらう」ことです。
まず、明確な販売目標があることが大切です。そこから商品のコンセプトや顧客層を決定し、プロモーションの目的が生まれ、予算や実施計画が順次決まっていきます。
広告効果で、一般的に言われているのがAIDMA(アイドマ)モデルです。これは、消費者の購買行動に至るプロセスを表したものです。
(1)Attention(注目)
お客さまの注目を集めることが、認知度を向上させるための第一歩です。(2)Interest(興味)
「知ってはいるが興味がない」というお客さまには、いかに興味を持たせるための手段を考えます。注目を集める宣伝・広告とは別に、中身に興味を抱かせるための店頭POPなどがその役割を果たします。
SNSなどを活用した対策を講じる企業も増えてきています。
(3)Desire(欲求)
「興味がある」という段階から「欲しい」という段階へと進めるためには、試着、試食、試乗など、試すことや体験する機械の付与が有効です。
(4)Motive(動機)
欲しいと思うが購入する動機がない顧客に購入動機・きっかけを提供します。いわゆる「背中を押す」ことです。
例えば割引クーポンを配ったり、ポイント増量キャンペーンのように、期間限定の企画を打つことで購買動機を提供することができます。
※AIDMAのMをMemory(記憶)とするモデルもあります
(5)Action(購買)
買う動機のあるお客さまには、購買機会を提供することで購買が成立します。
これまで近くに店舗が無いために商品を購入できなかったお客さまにも、インターネット販売サイトの開設を通じて商品の入手機会を提供できるようになります。
商品が市場に導入され、時間が経過するとともに購入する消費者は変わっていきます。その変化を、製品ライフサイクルの段階と照らし合わせてマーケティング戦略を少しずつ修正していくことが重要です。
商品が新しく市場に導入されたばかりのころは、ほとんどの消費者が商品に関する十分な情報を持っていないので、その商品の価値も十分には判断できません。
そういった中で、消費者は商品の存在に気づき、情報を集め、評価し、試用し、採用するのです。このいくつかのステップを登り、採用への時間を短縮できればマーケティング効率は極めて高くなります。
商品を買っていただくにあたっては、お客さまが商品を受け入れる際の姿勢を考慮します。
イノベーター理論とはイノベーション普及に関する理論で、商品購入の態度を新商品購入の早い順に5つに分類するもので、分類比率はモデル化されています。
(1)イノベーター(革新者)・・・2.5%
新しい物を真っ先に取り入れる姿勢を持つ消費者のグループ。自分の価値観に絶対の自信を持ち、世間一般の価値観には興味を示さない。
(2)アーリーアダプター(初期採用者)・・・13.5%
流行に敏感で、新しいものを早い段階で採用する消費者のグループ。世間一般の価値観は共有しており、そのうえでオピニオンリーダーになることを好む。
(3)アーリーマジョリティ(前期追従者)・・・34.0%
まわりに新しいものを採用する人が増えてきた段階で、自分もそれを採用しようと考える多数派の消費者のグループ。
(4)レイトマジョリティ(後期追従者)・・・34.0%
まわりに新しいものを採用する人が増えてきてもしばらくは懐疑的で、大半の人が採用した段階でようやく自分も採用を決める多数派の消費者のグループ。
(5)ラガード(遅延者)16.0%
最も保守的な姿勢を持つ消費者のグループ。流行に関心が薄く、最後まで新しいものの採用を拒み続ける。
企業が新しい製品やサービスを市場に投入するにあたり、まず越えなくてはならないのがイノベーターとアーリーアダプターの壁です。
この2つは合わせて普及率16%にしかなりませんが、ここのラインを超えたあたりから、普及が急激に加速し、アーリーマジョリティへの普及につながります。
イノベーターとアーリーアダプターの特性を調査し、この層に絞ったマーケティングを展開していくことが望まれます。
ここからはお客さまの視点でマーケティングを考える「4C」について解説します。
その製品やサービスがお客さまにとってどんな価値があるかという視点で考えます。
アメリカのマーケティング学者のセオドア・.レビットは「顧客は1/4インチのドリルが欲しいわけではない。1/4インチの穴が欲しいのだ」といいました。
1/4インチのドリルを売るというのは企業の視点で、1/4インチの穴が欲しいという顧客のニーズを満たすにはどうすればいいかから考えるのがお客さま視点であるということを表しています。
その価値を手に入れるためにはどれだけの費用がお客さまにかかるか、そのためにはどれだけのコストなら負担できるかを考えることです。
製造原価に利益を乗せて販売価格を決めるのではなく、その価値にはお客様はこれだけ支払うことができる、従って必要な利益を確保するには製造原価をこれだけに抑えなければならないという考え方になります。
利便性とは入手しやすさです。深夜営業の店舗、あるいは24時間注文可能なインターネットショップなど、お客さまのライフスタイルに合わせた販売体制の構築が利便性にあたります。逆に入手を難しくすることで、顧客価値を高めるという考え方もあります。
企業の声(メッセージ)がお客さまに正しく届いているか、またお客さまの声が企業にきちんと届いているか。つまりお客さまと企業との間で双方向でのコミュニケーションがとれるようにします。最近ではSNSが双方向のコミュニケーションツールとして活用されています。
企業視点の4P、市場(お客さま)視点の4Cといえます。どちらが優れているかという議論ではなく、視点の違いがあることを理解し、マーケティング・ミックスを考える際に混乱しないようにすることが大切です。
「マーケティング」と聞くと、商品開発をする部門や、企業戦略を立てる部署の人たちが携わるもの、と思いがちですが、日々お客さまの声に直に触れ、またマーケティング戦略を実際に展開する立場にある営業部門こそ、マーケティングと日々格闘している部署といえます。
モノやサービスを売りたいと思うならば、まず、どこにそのモノやサービスを買ってくれる人がいるのかを知る必要があります。
販売エリアや販売チャネルを調査し、販売活動のターゲットを決めることがその具体的な活動であり、主としてその活動には営業部門が携わることが効果的です。
「モノ・サービス」を販売するターゲットが決まれば、次はどのように売るかが課題です。他社のモノと比べて、お客さまにその商品やサービスをより魅力的に思っていただくためには、自社のモノの特徴をうまくアピールする必要があります。
また、実際に選んでもらうためにはその価格も重要な要素です。
自社のモノ・サービスを認知してもらうための広告・宣伝活動や、価格政策を含めた販売促進策を展開するために、「販売促進部門」と「営業部門」とが連携しながらこの活動に携わります。
実際にお客さまのもとにモノやサービスを届けるためには、需要に合わせてモノ・サービスを安定的に供給することが重要です。お客さまが欲しいと思うモノが欲しい時に供給できなければ「売り逃し」になりますし、売れないものをどんどん作ってしまうと「不良在庫」になってしまいます。
「営業部門」は商品の動きを「製造部門」に伝え、「製造部門」は製造計画を調整する、といった動きをします。
モノやサービスを提供する際には、お客さまから様々なモノ・サービスに対するご要望を聞く機会が生まれます。そこからお客さまのニーズを汲み取り、新たな商品開発に生かすことで、さらに売れるモノづくりへの循環が生まれます。
「営業部門」は顧客のニーズを「企画・開発部門」にあげ、「企画・開発部門」はその情報をもとに新たな商品・サービスの企画・開発を行うというサイクルを回します。
このように、営業部門をはじめとする組織の中のあらゆる部門がマーケティングと関わりながら、結果として一体的に機能するで、組織的なマーケティング戦略が成功するのです。
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