クリティカルシンキングの「先」とは?~3つのポイントで、クリティカルシンキングを実際のビジネスに役立てる

クリティカルシンキングの「先」とは?~3つのポイントで、クリティカルシンキングを実際のビジネスに役立てる

当たり前と思い過ごしそうなことに対して、「本当にそうか?」などと疑問を投げかけ、分析し、新しい結論を導き出すのが「クリティカルシンキング」です。

▼クリティカルシンキングのプロセス

クリティカルシンキングのプロセス

常識や偏見に囚われない思考法を身につけることは、例えば非効率的な前例踏襲から脱する業務改善や、表面的には見つけにくいリスクの発見など、様々な場面で役立ちます。しかし実際のところ、ただ「クリティカルシンキング」ができるだけでは不十分です。

そこで今回は、クリティカルに考えて結論を出したその先にある、「クリティカルシンキングで考えたことを活かして実際のビジネスに役立てる」ことについて、詳しくお伝えします。

クリティカルシンキングをビジネスに役立てる3つのポイント

クリティカルシンキングは、これまでのやり方に疑問を持ち、新しい意見や考え方などを生み出すための思考法です。しかし、クリティカルシンキングで良いアイデアを思いついたところで、周囲を動かして実現させられるかどうかはわかりません。

クリティカルシンキングで考えたことを"机上の空論"で終わらせず、実際のビジネスで活用していくためには、以下の3点を習得することが大切です。

(1)考えたことを論理立てて整理するロジカルシンキング

(2)周囲の感情に配慮し、巻き込んで人を動かすコミュニケーションスキル

(3)新しいことを実行する際に必要な広い視野・高い視座

(1)考えたことを論理立てて整理するロジカルシンキング

そもそも、ロジカルシンキング(論理的思考)は、クリティカルシンキングのプロセスにも必要となる大前提のスキルです。

▼ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの関係性

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの関係性

しかし、クリティカルシンキングで論理的に答えを出すことと、それを周囲に説明するのは別の話です。周囲に説明し納得してもらうためには、「ロジカルにアウトプットする力」も磨く必要があります。

例えば「自社の財務会計フローにおいてヒューマンエラーが絶えない」という現状があるとします。

「そもそも人力のチェックには限界がある。システム化すべきだ」と思いついても、ただ主張するだけでは組織は動きません。なるべく多くの客観的事実やデータに基づき、「システム化すると具体的にこれだけ手間が省けて、生産性が上がる」という根拠を論理的に組み立てることが必要です。

伝える内容を整理し、相手に分かりやすく話す・書くスキルは、何度も実践してみて初めて身につきます。このスキルを磨くのであれば、自分の主張を誰かに聞いてもらったり読んでもらったりして、結論が順序良く導き出されているか、話の論点が途中でずれていないか、納得性があるか、などをチェックしてもらうとよいでしょう。

(2)周囲の感情に配慮し、巻き込んで人を動かすコミュニケーションスキル

ロジカルシンキングで自分の主張に理があることは説明できたとしても、すべてのビジネスは「相手があってのこと」です。周囲の気持ちを想像しながら、自分の主張に巻き込んで人を動かすための「コミュニケーションスキル」を向上させることが、クリティカルシンキングを有効に活用するための重要なポイントです。

(1)のような事例でいえば、「財務会計フローのシステム化」が論理的に正しい主張でも、これまでチェック業務に尽力してきたメンバーにしてみれば、ミスのない仕事を心掛けてきた「プライド」があるかもしれません。これに対して「人力は信用できない」「システム化すればすべて上手くいく」というような言い方をしてしまうと、これからも同じ組織でともに働くメンバーとの間に軋轢が生じかねません。

こういった「人が相手」の仕事では、様々な立場で感情に配慮するスキルが必要です。上記の例であれば、これまでの功績をねぎらったうえで、「培った知見を他の業務に活かしてほしい」「空いた時間でこんな業務ができる」など、自分の都合だけではなく組織全体や本人たちにとってのメリットも語ることで、変化を受け入れてもらいやすくなります。

▼ひとつの物事・事象に関わる様々な立場の例

ひとつの物事・事象に関わる様々な立場の例

他にも、相手を嫌な気持ちにさせない「アサーティブ」な言い方や交渉術を身につけることも、巻き込んで人を動かすコミュニケーションスキルの向上に有効です。新しいことにはそれ相応の労力が必要ですので、周囲との調整や交渉を投げ出さずにやり抜くマインド、変化に向けてメンバーを導くリーダーとしての振る舞い方を身につける、といったことも役立ちます。

(3)新しいことを実行する際に必要な広い視野・高い視座

それまでの古いやり方を変えて新しいことに挑戦する際には、必ず何かしらのリスクが伴います。目先の手間やコストを削減したいという意識だけでやり方を変えようとすると、そのリスクを見落としてしまうことがあります。

(1)(2)と同じく「財務会計フローのシステム化」の事例で考えてみましょう。システム化すればミスが減るのは明らかだとしても、システム稼働時には不具合が発生して、かえって混乱が起きるかもしれません。その場合は、しばらく人力チェックとシステムを並行して稼働する試運転期間が必要となります。

また、システム開発を外注する場合は、機密漏えいのリスクも考えられます。長期的にみた際に、社内の基幹システムを外部システムに頼るリスクなどを考慮すると、簡単には決断できません。他にも、人力による作業を完全になくすことは、チェックできるスキルを身につける機会の損失でもあります。自社のビジネスを理解するうえで役立ったり、人力による相互チェックが部内のコミュニケーションを活性化させたり、といった効果もあるかもしれません。

このように、一見みえにくいリスクや効果を考えられるどうかは、5年後10年後の組織を見通せる広い視野・高い視座を持っているかにかかっています。具体的には、リスク管理やコンプライアンス遵守といった観点を持つ、あるいは自社の経営理念(会社が向かうべき方向性)を理解するなど、つまり「経営者としての視点」を持つことを日頃から意識するとよいのではないでしょうか。

クリティカルシンキングが活かされる職場づくり

最後に、これまで述べてきたことを個人レベルで実践したとしても、組織全体に新しいことを受け入れる風土ができていないと、前例踏襲の脱却は難しいものです。

クリティカルシンキングを有効に活用するためには、組織をあげてクリティカルシンキングを学ぶ機会を設けるだけでなく、クリティカルシンキングを受け入れる職場の雰囲気づくりを進めておくことが必要です。管理職には「部下が新しい提案をしやすい」関係を築くこと、若手や中堅には「見て見ぬふり」をせず当事者意識を持って関わっていくマインドを醸成することが求められます。

このように、クリティカルシンキングを実際のビジネスに活用していくためには、思考法そのものを学ぶだけでなく、様々なコツやスキルを習得する必要があります。クリティカルシンキングにご興味をお持ちの方は、それ単体ではなく、横断的なスキル向上による組織の改善について、検討されることをおすすめいたします。

<関連サービス>

【公開講座】クリティカルシンキング研修~本質を見抜く力を養う

【講師派遣】ロジカル・プレゼンテーション研修(1.5日間)

【公開講座】人を動かすコミュニケーション研修~キーパーソンへ働きかける編

【公開講座】アサーティブコミュニケーション研修

【公開講座】調整力発揮研修

【公開講座】リスクマネジメント研修~未然に防ぐ方法を学ぶ

【公開講座】コーチング研修~部下の主体性を引き出すスキルを習得する

【公開講座】オーナーシップ研修~当事者意識をもって、周囲に働きかける存在になる

【ラインナップ】クリティカルシンキング研修

【コラム】思考力の使い方~クリティカル・ラテラル・ロジカルシンキング入門

記事が⾯⽩ければこちらでシェアをお願いします

似たテーマ・関連テーマの記事一覧

似たテーマ・関連テーマの商品・サービス一覧

下記情報を無料でGET!!

無料セミナー、新作研修、他社事例、公開講座割引、資料プレゼント、研修運営のコツ

メールマガジンのご登録はこちら

登録は左記QRコードから!

※配信予定は、予告なく配信月や研修テーマを変更する場合がございます。ご了承ください。

配信をご希望の方は、個人情報保護の取り扱いをご覧ください。

最新作・ニュース

新卒採用募集中

各種コラム

人材育成関連

  • 人材育成ノウハウ ins-pedia
  • 人事・労務に関する重要語辞典 人事・労務キーワード集
  • 人気のメルマガをWEBでもお届け Insouce Letter
  • インソースアーカイブス
  • 全力Q&A インソースの事業・サービスについてとことん丁寧にご説明します
  • インソース 時代に挑む
  • 全力ケーススタディ 研修テーマ別の各業界・職種向けケース一覧
  • 新入社員研修を成功させる10のポイント
  • 研修受講体験記 研修見聞録
  • 人事担当者30のお悩み

仕事のスキルアップ

  • 上司が唸る書き方シリーズ ビジネス文書作成のポイントと文例集
  • はたらコラム はたらく人への面白記事まとめました
  • クレーム対応の勘所
  • 人事のお役立ちニュース

銀子シリーズ

  • 七十代社員の人生録 銀子の一筆
  • シルバー就業日記 銀子とマチ子
  • 人気研修で川柳 銀子の一句

開催中の無料セミナー

  • WEBins
  • 読み物・コラム

    • インソースレター

    • Gambatte

    • 人事のお役立ちニュース

  • モンシャン

PAGE TOP