CSとはCustomer Satisfaction(=顧客満足)の略です。
最近は、単なる「スローガン」や「キャンペーン」となってしまい、「供給側の勝手な思い込み」でサービスを提供しているケースが目立ちます。
CS活動は「どうすればお客さまに喜んでもらえるか」が出発点であることをしっかり頭に入れて、「顧客と顧客の期待からスタート」という考え方をベースに企画し実施しましょう。
CS推進は「顧客の事前期待」を超えることが大切です。ですから、まだサービスを「期待されていない」時こそ最大のチャンスなのです。それは、次のような式で表現されます。
CS推進は三現主義が基本です。「現場」で、「現物」を観て、「現実」を確認することが大事なのです。
問題が発生したときに、机上で判断するのではなく、「現場」で不具合の起きた「現物」を観て、どのような状態であるのかという「現実」を確認することで解決を図るということです。この3つの「現」を重視しなければ、物事の本質を捉えることが難しいと言われています。逆に、三現主義を重視すれば、より正しい判断に近づくことできるのです。
こうして、顧客の「不満」「不快」を解消させることがCS推進の原点です。
また、1人ひとりが「できる範囲」で部署・全体の代表としてCSを推進し、「顧客の喜び」を導くこともできます。
成功すると、仕事の「やり甲斐」をも増加させてくれるので、「顧客」と「現場」両方における不満解消が実現します。
ホスピタリティとは、まず相手の価値観を想像し、相手の求めるものを推し量る「想像力」から始まります。
相手の背景を読む力こそが、ホスピタリティのスタートといえます。
お客さまから想像できる内容を、お客さまへのサービスに反映して、お客さまに最適なサービスを提供します。
そうすることでお客さまに喜んでいただくことが、ホスピタリティのあるサービスです。
お客さまに応じた最適なサービスを提供するためには、考慮すべき要素がたくさんあります。
ホスピタリティでサービスの質は格段に変わります。
様々なサービスや生活環境の発達に伴い、クレームが増加する社会となっています。
そして、あらゆる業界でCS意識が高まっており、多くの企業でCS向上のための取組みが行われています。
サービスレベルの高い企業とそうでない企業との差が大きくなっています。
企業のCSへの取り組みの度合いによって生まれた「差」により、相対的にサービスレベルの低い企業の問題が目に付くようになり、クレームが増加しやすくなっています。
現場指導を担うべき中堅層が大幅に減り、組織としての人材育成に支障をきたすようになりました。
その結果、一部企業・組織において顧客対応力が個人の能力に委ねられるようになり、クレームを受ける社員が増加しています。
社会的ストレスの増加が、クレームの原因となります。
景気悪化に伴い、失業率が高まった地域の自治体からは、強硬なクレームに対応するための研修へのご要望が特に増加しています。
また、「○○は~をすべきだ」「○○はおかしい、納得がいかない」など、時間と能力を注ぎ込んで自らの正当性を主張する人々が増える傾向にあります。
権利意識の肥大化により、非難することが正しいかのような社会的風潮が広がり、クレームを言いやすい社会になってきているようです。
インターネット、携帯、スマートフォンなどのツールの出現により、メールでのクレームが大幅に増加しています。
また、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の普及などによって、個人が気軽に発言できる環境が整っています。
SNSの影響範囲は大きいため、クレームなどの発言が一気に広がりやすいという特徴もあります。
クレームは突然発生します。頭がパニックになり、思っていた通りの対応ができないものです。
その理由は下記の通り、3つ考えられます。
①お客さまが困っていることに対して、心情理解が出来ない
心情を踏まえた対応を取ることができないと、対応が悪いという印象を与えます。
これは、継続した訓練・練習で克服が可能です。
②お客さまのクレームを我慢できず、言い訳をしてしまう
クレームが自分への攻撃のように感じられ、心が防戦してしまいます。
これは、お客さまの神経を逆なでしてしまいます。
③どんなクレームが発生しているのか、「事実の確認ができない」
クレームから逃れたいと思うあまり、事実確認が不十分なうちに解決策の提示をしてしまいます。
そのことによって、さらに大きなクレームに発展してしまいます。
応対者の接遇・マナーに問題があると、本来起きなかったはずのクレームを起こしてしまったり、お客さまのお怒りを増幅させてしまったりする可能性が高くなります。
お客さまから「なんだその態度は!」と言われないように、まず接遇・マナー面をしっかりと整えましょう。
第一印象は身なりなどだけでなく、声、態度、表情など様々な要素で構成されます。
「この人は信頼できる」という印象を持っていただくことが、その後のスムーズな対応に繋がります。
お客さまの心情を察しながら聴くことで、「あなたを大切にしています」というメッセージがお客さまには伝わります。そして、心をこめて礼儀正しくお客さまに接するのです。
表情は言葉以上に色々なものを伝えます。状況に相応しい表情を心がけましょう。激昂した相手を前にして、無表情や軽薄な愛想笑いをせず、堅苦しくなく、神妙な顔付きで聴くことが大切です。
また、険しい目つきや眉間の皺は、非常に悪い印象を与えます。逆に、キョロキョロ・オドオドした視線は「上司を出せ」につながりかねません。
かといって、下を向いたままで目を合わせないのはNGです。要所要所で40%ほど、視線を合わせる程度にしましょう。
あごの角度で表情が変わってみえるものです。5度の違いが大きな違いとなります。上を向けば、軽蔑・自信、下を向けば控えめ・疑惑などの印象を与えます。
お客さま応対においては水平より5度くらい下にして、控えめな印象を与えましょう。
激昂した相手を前にしても、黙ったり、逆になれなれしい言い方をしたりしないようにします。あくまでもおだやかに、神妙な声で話しましょう。
クレーム対応時の立ち居振る舞いの基本は、相手に失礼のないよう、「誠実に」対応することです。
それを表す立ち方、座り方をマスターしましょう。立ち方・座り方に共通して言えることは、「体の力は抜くが、腹筋・背筋を意識する」ということです。
立ち方、座り方などを具体的に下記に記します。
①立ち方
まず、意識して「きちんと立つ」ことを心がけます。
正しい姿勢とは、身体のどこにも余分な力が入らず、適度に筋肉を使っている状態をいいます。
腹筋、背筋、膝が適度に緊張している感覚を意識しましょう。
②座り方
まず、意識して「きちんと座る」ことを心がけます。
背筋を伸ばして座りましょう。座る際には、重心を少しずつ後方へずらしながら、ゆっくりと座りましょう。
③モノの授受(書類など)
授受を片手で行うのは、雑な印象を与え相手に失礼です。両手で行いましょう。
モノの授受のポイントは、片手を軽く添え、笑顔でアイコンタクトを取ります。
④指差し
書類や場所を指1本で指し示すのはマナー違反です。
「こちらへ・・・」「あちらに・・・」と指し示すときは、指ではなく手のひらを使いましょう。
指し示す方向に向って、指をそろえ、ピンと伸ばします。
クレームは決してなくなりません。これはあらゆる業界を通じて共通しています。
日常的に発生するクレームの多くは、一定の手順を覚え、お客さまの心情を理解し、冷静に対応すれば、必要以上にあわてる必要のないものです。
それどころか、しっかりしたクレームの「作法」を身につければ、クレームを自分の味方にすることもできます。
自社の責任があるかないかに目がいきがちですが、まずはお客さまの体調を心配すべきです。
「現在、お体の具合はいかがですか。大丈夫ですか」
と声をおかけします(心情理解)。
そして、お客さまの話を聞きながら事実確認をし、徐々に経緯などを明らかにしていきます。
自社の商品が病気の原因になっているかがはっきりしない段階で、「うちの商品のせいではない」と主張するのは得策ではありません。
冷静にお客さまの話を聞き、事実経過について詳細に把握しましょう。このようなケースでは、とくに慎重に対応することが必要です。
医師の診断をうのみにせず、リスク管理の観点から、自社でも即座に調査を実施します。
場合によっては、大規模な食中毒の危険性も考えられます。
「当社の責任であるはずがない」「当社が原因である証拠がない」と現場担当者が安易に判断した結果、大きな被害が出たケースも見られました。
事実の確認がきちんとできた段階で、お客さまに経緯を説明します。できれば数時間以内に訪問して説明すべきでしょう。
●事例● 他社が原因のクレームが寄せられた建設会社のケース
当社とB社の夜間工事が近隣で同時に実施されていました。
その際にB社が原因の騒音苦情が寄せられました。
その方はかなり感情的になっていたため、当社の工事をしばらく中断せざるを得なくなりました。
当社には責任がありませんが、B社にも連絡し、その夜、当社とB社の現場責任者が一緒に先方にお詫びに行き、ご納得いただきました。
今回取った対応でおおむねよいと思います。
ほかの会社や他部署など、管轄外のクレームがきた場合であっても、苦情の内容を、相手が納得されるまで、話をさえぎらずに聞くのが望ましい対応です。
何か事情があって「うるさい」とおっしゃっているわけですから、その理由をよく聞くことが最大のポイントです。
お客さまの事情に共感することなしに、他社の工事に責任があることを説明しても、すぐに納得していただくことは困難です。
今回のクレームの特徴は、他社への苦情であるため、お客さまに要求されても、すぐに応じられないことです。
このときに必要なのが対応のスピードです。事例では、「自社のことではない」とせずに、即座に対応したことがクレーム解決に好影響を与えたと思います。
また、自社へのクレームであっても、複数の部署がかかわっているクレームについては、どこか一部署が対応にあたるのではなく、
お互い連携を取ってともにお客さまに謝罪をするなど、協力してクレームの対応にあたるほうが得策です。
最も避けるべきは「うちに言われてもね・・・関係ないですから」などと対応をしないことです。
また、「責任がないから、忙しいから」と言って、形だけの対応はしないようにしましょう。
形だけの対応はクレームを大きくし、さらに忙しさを招いてしまいます。
忙しいときほど、心情理解、迅速の対応を心がけ、一つひとつのクレームに誠実に対応しましょう。
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