「仕事の標準化」で業務改善とリスク管理の両立
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仕事の標準化
誰がいつやっても同じ手順という「仕事の標準化」が重要であることは言を待ちません。最近は、ベテランが少なく、若手や非正規社員で構成された職場も増えており、仕事の標準化が大きな課題になっています。標準化を徹底することで、リスクは間違いなく軽減し、さらに業務改善にもつながります。また、合併を経験した職場では、ルールを統一することでリスク管理と業務改善が同時に実現できます。
加えて、類似業務を「共通手順」にしたほうが良い場合があることにも注意が必要です。時には社会的なリスク削減を考え、組織を超えて「共通化」したほうが良い課題もあります。
例えば、最近まで水道栓の止水方法(上げ下げ)がメーカーによって違っていました。大手のX社はレバーを下げると水が出て、上げると止まるのに対して、ライバル会社Y社はこれと真逆でした。このことは、社会的にリスクになりかねない事象といえるでしょう(現在は、下げて止まるという方式が国際標準・国内標準化して統一されています)。
組織全体で同様の標準化をしないと、効率が悪いばかりか、ミスを誘発する原因になります。この点で、標準化という業務改善策がリスク軽減策にもなります。世の中の標準になっている色の使い方(例:赤・黄・青)や、スイッチ(例:右回しがオン、左回しがオフ)、配置(例:水と湯の蛇口はそれぞれ右・左)など、人間工学的についても知っておくと便利です。
機械化・システム化のすすめ
当たり前に行っている現場業務のごく一部を機械化・システム化するだけで、ミスを大幅に防止することもできます。それだけでなく、劇的に効率が向上することがあります。特に連続処理は「機械化・システム化」のチャンスです。
同じ仕事や処理を連続して行うことは、人間よりも機械のほうが圧倒的に向いています。具体的には、機械なら人間が行う作業時間を10分の1にまで短縮できます。計算業務(書類、紙幣の枚数を数える)、印刷業務(顧客名の印刷)、連絡業務(自動送信メール)などは、簡便にシステム化できる分野です。
ただし、システム化には、抵抗がつきものです。現場社員が努力してできるようになったことは機械化・システム化の埒外に置かれ、リスク軽減策や業務改善の盲点になる場合があります。
"分業"を見直す
分業は「単純」「大量」の作業を効率化するうえで有効です。しかし、良いことずくめではありません。実は分業が引き起こす不経済は随所に見られます。実際、分業は、工程が短い業務や複雑な業務には不向きです。それは作業分担する際に伝達・調整に多くの時間を割かないと正しく分業できないからです。さらに、責任の所在が不明確になり、分業者の仕事に対する責任感も希薄化します。
実際に仕事をしている現場の社員自身も、「昔から決まっているため分業しているが、自分で全部やるほうが早い。人に仕事をまわすのは嫌」「どうせ、またこちらに戻ってくる」と考えている場合があり、分業の見直しも大きなポイントとなります。
まれな業務は"集約"すべき
集約といえば、一般に大量の業務を集約することが多いですが、1ヶ月に1~2日しか行わないまれな仕事を集約することで、リスクが軽減し、業務効率がアップすることがあります。また、各部署で同じような仕事があれば、それを集約して一定の仕事量を確保し、その仕事を専門の部署が特化して行うことでも業務が効率化し、リスクも一元管理できます。社内全体で、そのような仕事の洗い出しを行ってみるのも良いかもしれません。