このような嘆きのご相談を数多くいただきます。部下全員の活躍は、リーダーにとっての悲願です。一体どこに問題があるのでしょうか。" />
管理職

「なぜコーチングが上手くいかないのか?」95%以上のリーダーが答えられない質問

「部下の育成に『コーチング』を取り入れたが、部下が思うように育たない」


「若い部下には『ティーチング』を実施しているが、効果がなかなか出てこない」


このような嘆きのご相談を数多くいただきます。部下全員の活躍は、リーダーにとっての悲願です。一体どこに問題があるのでしょうか。

目次

"実施すること"が目的になってしまっている

実は多くのリーダーが、知らず知らずのうちに「コーチングの目的化」「ティーチングの目的化」に陥っています。コーチングやティーチングを "実施すること" が目的になってしまい、「これで自分は部下をしっかりと育成できている。彼らは活躍していける」と錯覚してしまうのです。

具体的に挙げてみると、例えばコーチングでは、「自分で考えることが大切だ」と部下に促すだけで、肝心の「どのように考えれば上手く解決できるのか」についてはサポートしません。これでは、部下の成長に時間が掛かるばかりです。

また、ティーチングでは、若手対象者への「ルールや知識の詰め込み」に終始していて、「習得したルールや知識をどう活用し、成果に結びつけていくか」の指導まで至りません。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」―― という山本五十六の有名な言葉を改めて噛みしめたいものです。

大切なのは、"求められる人材像"の定義・発信

さて、それでは「コーチングの目的化」「ティーチングの目的化」を防止しつつ、「部下を成長させ、活躍させる」を本当に実現するためには、どのように対処すれば良いのでしょうか。その答えは、"我がチームで求められる人材像" を最初に定義し、発信することにあります。

この点、管理者研修などでリーダーの皆さまに「"求められる人材像" を定義し、発信されていますか」とお尋ねすると、95%以上の方が「していない」と答えるのです。続いて、「今 "我がチームで求められる人材像" を自ら定義することができますか」とお尋ねすると、ほとんどの方が怪訝な顔をします。

リーダーの皆さん、"求められる人材像" の定義・発信を無くして(つまり、お手本を示すこと無くして)、本当に価値あるコーチングやティーチングを実施できるのでしょうか。 "求められる人材像" が定義・発信されているからこそ、部下に適切な指導ができ、部下にスピード感ある成長が確保され、その成長が目標達成へと結び付いていくのです。言い換えれば、この定義・発信こそが、コーチングやティーチングの効果を高める最も重要な要件です。

リーダーの中には、"求められる人材像" をどのように導けば良いか分からないという方も大勢います。これを導く方法は「逆算思考」です。チームの目標達成のために必要となる能力を棚卸して、"我がチームで求められる人材像" として整理し、まとめれば良いのです。

部下育成、とあるリーダーの成功事例

法人向け営業を担当している、とあるリーダーは、この "求められる人材像" を次のとおり定義・発信しました。

① 販売する商品・サービスを熟知している
② 顧客のニーズを理解していて、潜在的なニーズを顕在化するのも巧みである
③ 上記に基づき、自ら提案書を策定できる
④ 本部の開発セクションと協同し、高度な提案を実施することもできる
⑤ 顧客の満足を引き出し、契約をクロージングすることができる

このリーダーは、上記に基づき、部下一人ひとりと面談し、各人が抱える成長課題を明確にしたうえで、各人の指導方法を決定しました。指導方法は基本的に、コーチングかティーチングかのいずれかが選択されました。中には「①②③はコーチングで対応するが、④と⑤についてはティーチングで対応する」という部下もいたそうです。

こうして部下の育成を実際にスタートしてみると、思わぬ効果が表れたそうです。若い部下が諸先輩に「①のコツを教えて下さい!」「⑤の勉強のために帯同訪問していただけませんか」とお願いするなど、チームの中に様々な相互作用が生まれ、各人の成長はもとより、チームの目標達成に向けて、全員で切磋琢磨する態勢が自然と出来上がったそうです。

もちろん、リーダーご自身の目標達成への不安が解消したことは言うまでもありません。

リーダーの皆さん、本日の記事を機に、ぜひ "求められる人材像" を定義・発信することの効果(含む相乗効果)を確認してください。そして、コーチングとティーチングの最初のステップとして、ぜひ、この定義・発信を取り入れてくださいませ。

加えて、「逆算思考」もぜひ習得していただければと存じます。ビジネスでは様々な場面で、達成すべき目的を起点とし、そこから逆算して何を確保し、何を実践するのかと考えることが不可欠になります。一つひとつ考えながら、また一つひとつ実践しながら試行錯誤的に前に進めるのでは、目的に到達出来るかどうか、期限内に間に合うかどうか覚束ないものです。「逆算思考」を取り入れて、ぜひ、貴組織の目的を効果的・効率的に達成していってください。

ご参考:インソースの関連研修

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