普段の仕事やお客様とのやり取りにおいてもオンライン上で行うことが多い昨今では、教育も「eラーニング」での実施が急速に進んでいます。
本ページでは、「eラーニング」に欠かせないシステムについて、そもそもeラーニングシステムとは何かという概要から最新動向まで紹介いたします。
当社ではeラーニングシステム「Leaf(リーフ)」を提供しており、アクティブユーザー万名以上に利用されております。
eラーニングシステムとは
eラーニング(e-learning)の学習教材を利用する為にアクセスするシステムのことです。一般的には企業が提供するソフトウェアサービスを指します。
システムによって機能は様々で、eラーニング動画を再生する機能しか持たないシステムもあれば、学習の受講状況をリアルタイムで確認することができたり、さらには受講者の学んだ履歴をデータベース化しておすすめのeラーニングを表示させるといったものまであります。
特に各人の学習管理ができるものをLMS(ラーニングマネジメントシステム)と呼びます。LMSはeラーニングの管理に限らないため、リアルでの集合研修やオンライン会議ツールを使用した研修を取りまとめることができます。
こうしたeラーニングの為のシステムについて詳しく解説していきます。
eラーニングとは
(1)eラーニングとは
eラーニングシステムの前に、まずはeラーニングそのものについて見ていきます。
定義としてはICT(Information and Communication Technology:情報通信技術の総称)を利用した学習形態の一つです。
用語としては、eラーニング = electronic resources + learningの略で、PCやタブレット・スマートフォン、などインターネット媒体を介して行う学習として使われています。
インターネット媒体を介してeラーニングシステム(≒LMS)に接続し、配信された動画教材を見て学ぶことはもちろん、オンラインでセミナーを受講したり、WEB上でテストを受けるといったアウトプットも「eラーニング」と言うことができます。
(2)eラーニング学習の例(一般における)
分かりやすい例として、料理のレシピ動画があります。本やテキストと違って動画を載せられるので、料理工程を細かく見て学ぶことができます。分量や作業にかかる時間は文字で確認できるので、eラーニングとして非常に相性のいい教材です。料理名やシーンに合わせた料理カテゴリで検索して見つけることができる便利さも人気の要因と言えます。
(3)eラーニング学習の例(会社組織における)
一方で、会社組織が行うeラーニングに焦点を当てると、料理レシピがあるだけでは不十分です。なぜなら、会社では「教育担当者」と「学習者(受講者)」がeラーニングにおける登場人物となるからです。
「教育担当者」は人事や総務の方だけではなく、上司や先輩、身近な同僚のケースもあるでしょう。
学習を企画・実施・管理する「教育担当者」がいないと多くの「学習者(受講者)」は手探りでレシピを漁ることになり、結果として迷ってしまいます。この点はeラーニングに限らず会社組織における学習一般の特徴でもあります。
学習の目的を持った「教育担当者」と「学習者(受講者)」の関係においてeラーニングが"達成手段"として存在することが重要なポイントです。
具体例として、企業が作る動画教材を紹介します。「教育担当者」をサポートする立場として提供しているビジネススキルや人材育成の教材です。無料でサンプル動画がありますので、実際に視聴したい場合は以下のリンクをご覧ください。
(4)eラーニングの使い方
会社組織におけるeラーニングに目を向けたまま、具体的な利用について触れておきます。
従来の一般的な教育方法であったOJTや集合研修に対し、eラーニングは「いつでも・どこでも学べる」ということがメリットです。集合研修では、半日以上を費やすことになりますが、eラーニングは手の空いた時間や移動時間、また、自分の好きな場所で学ぶことができます。
ですので、余分な時間を減らし、場所の制限にとらわれないことで教育の機会を増やすことが有意義な利用と言えます。学習者(受講者)が集中しやすいように、動画教材であれば1つあたり5~20分くらいの時間に短縮または分割して準備することがポイントです。
(5)eラーニングの最新動向
①従来のeラーニング
・教材CD・DVDを買って社内フォルダにデータを格納する
・eラーニング配信サービスに契約する
・専用に動画を撮影して編集してもらう など
教材を準備すること自体が負担であるとともに、後から修正が効かない不便なものでした。
②現在のeラーニング
・オンライン会議ツールでの集合研修を撮影・録画して教材にする
・スマホで撮った動画を教材にする
・PowerPointを投影しながら、要点を口頭で説明し、録音したものを教材にする
・PowerPoint/PDFデータをそのまま教材にする」
などの方法で、eラーニング用の教材を作る時間やお金を抑えて、現場で行われているやりとりや実際の資料をそのまま教材にするのがトレンドです。
これらを可能にしているのが、インターネット通信技術の普及であり「eラーニングシステム」の発達です。教材を配付する時間や手間が限りなくゼロに近い状況だからこそ、「自分たちで簡単に作成する」ことが費用対効果を考えた際に最も良いeラーニング教材だと言えます。
ただし、自組織に新しい知識や考え方を取り入れるのも学習の目標ですので、外部で作成された教材が適する場合もあります。内容によって使い分けられることが求められます。
(6)スマホ、タブレット(スマートデバイス)での利用
従来は、eラーニングといえどPCの前まで出向いて受講する、ということが必須でしたが、スマホの普及によって「いつでも・どこでも学べる」特性がさらに強化され、スマートフォンやタブレットで実施することが主流となっています。そのため、それが仕事上の教育であっても、会社支給のスマホに限らず、個人のスマートフォンで受講するケースも増えています。
eラーニングシステムの標準機能
(1)eラーニングシステムがなぜ必要なのか
そもそもなぜeラーニングシステムが必要なのでしょうか。システムがなくとも、eラーニングはできないのでしょうか。「eラーニング」は教育担当者(発信する人)と、受講者(受信する人)に分かれています。それが1対1であれば、普段のメールやフォルダ保存のやりとりでデータを渡してしまえば済むかもしれませんが、1対複数人になると、誰に案内済なのか、誰が実施済なのか管理できなくなってしまいます。
そこで、ツールやアプリサービスによって発信と受信をスムーズにすることが不可欠です。次からはeラーニングシステム(≒LMS)の一般的な機能を紹介しつつ、具体的に見ていきます。
(2)動画配信機能
①eラーニングシステム(≒LMS)の最低限の機能
(3)eラーニングの受講管理機能
①受講状況を把握する
例えば、各受講者が動画教材を再生したら、その時間が管理画面で確認でき、何月/何日/何時/何分/何秒といった単位で記録が残ります。
②受講態度を把握する
再生時間だけでなく、ブラウザを開いている累計時間もあればより徹底的です。10分間の動画に対してブラウザを30分以上開いている人がいれば、「ひとまず流しっぱなしにして、動画の再生が終わったことを気づかなかった可能性が高い」ということも判別できます。受講者に「教育担当者側で厳しく閲覧管理をしている」ことを伝えれば、いい加減な受講を抑制することに効果的です。
(4)テスト配信機能
①eラーニングの中核となる機能
今でこそeラーニングは動画のイメージが強いですが、動画配信機能ではなくテスト配信や採点がメインのシステムもあり、CBT(Computer Based Testing)システムと呼ばれています。 機能としては、紙面のテストをそのまま画面上に再現していると言えます。
②回収から採点まで全て自動
設問順をランダム出題にしたり、10問中から5問出題するというシャッフル出題を行うこともできます。
(5)リマインド機能
①受講漏れを防ぐ
(6)受講後アンケート機能
①受講後の成果物も楽に回収
(7)受講履歴の取得機能
①自分の学習を振り返る
②部署や部下の学習を振り返る
eラーニングシステム導入のメリット
(1)管理者から見たメリット
①社員の学習管理が容易
eラーニング(動画の受講や、テストの受験)を、行ったという履歴が残るということは、eラーニングシステムにおいては、「人」で検索することができるようになります。例えば、「山田さんは、AとBとCの研修を受講した」といったようにです。そうすると、教育のコースに合わせて、誰がどこまで進んでいるかを管理することができるようになり、キャリアやそれに必要な教育の道筋を終えるようになっていきます。
eラーニングシステムは、単純に動画配信を効率的に行うシステムではありますが、その履歴管理を丁寧に行うと、キャリアや資格に合わせた教育の管理ができる、という副次的なメリットがあります。
②手間とコストの削減
eラーニングシステムを導入しない場合は、都度、受講者にメールを送ったりして進めることになるので、eラーニングを行うのであれば、システムを導入した方が、効率が良いと思います。eラーニングシステムを導入しても、メールは送ることになるのですが、そのメールも簡単に送れるようにしているeラーニングシステムもあります。 eラーニングシステムを導入すると、テストや受講管理、またアンケートや提出物管理ができるようになります。単純に、紙面で行うと例えば紙面の印刷・配布・回収・集計など、手間とコストが掛かるので、それだけで見てもインターネット上でできるほうが手間とコストの削減になります。 eラーニングシステムは、「eラーニングを行うためのシステム」ではありますが、テスト、受講管理、アンケート、提出物管理などをやり始めると、集合研修の際も、このシステムを使った方が良いのではないか、はたまたキャリアマネジメントの主要システムにもなるのではないか、など範囲を広げて考えられるようになっていきます。そうするとeラーニングシステムの範囲にとどまらない、便利な使い方をして、さらに手間とコストを削減させることができます。
③教育の質の均一化
eラーニングを場当たり的にやっていると、勉強熱心な人は受講し、勉強が苦手な人は受講しない、というように差ができてしまいます。もちろん、そういった教育の方針であれば、問題ないですが、「次期リーダー」や「新入社員」などの階層全体に向けて行う教育や、コンプライアンス研修などのような全員に理解してもらいたい教育などの場合、人によって差ができてしまうことは、あまり好ましくないと思います。受講管理のしっかりできるeラーニングシステムを導入していると、教育の質を均一化することができます。 例えば、グループ会社によって教育の頻度が違う場合でも、eラーニングシステムを導入することで、差が見える化し、均一にしやすくなります。 また、教育の履歴管理とアンケート集計が簡単にできるようになりますので、どのeラーニングの質が良いか悪いかが明確化され、eラーニング教材の質を上げていくことができます。
(2)受講者から見たメリット
eラーニングシステムが無い場合、例えば研修の案内メールを受信して、そこから受講することになりますが、メールボックス内で埋もれてしまったりメールが届かなかったり、結果的に確認が煩雑になり、受講忘れにつながったり、受講までの手間がかかることがあります。それでなくても実務で忙しい時間の中で受講しなければならないので、手間がかかると受講できなくなってしまいます。 eラーニングシステムの良いところは、受講までの手順が常に一定なので簡単に受講できることです。実務でPCをよく使う会社組織であれば、シングルサインオン(※)を導入すれば、システムに入るためのパスワード入力すら必要なくなります。また、eラーニングシステムを使って受講することで受講履歴が残りますので、過去の受講実績を遡ってみることができます。自分への励みにもなりますし、上長に学習状況を把握してもらいやすくなります。 (※) 1つのユーザー認証によって複数のシステムを利用することができる仕組みのことです。例えば始業時に社用PCへログインするだけで自動的にeラーニングシステムにもログイン可能になります。
①いつでも、どこでも、何度でも
eラーニングシステムが、レスポンシブ対応されている場合は、パソコンの前に座っていなくても、スマートフォンやタブレットで受講することができます。そのため、移動中や隙間時間など、いつでも、どこでも、何度でも受講できるので、その点も、忙しい受講者には便利になります。
②視覚的に学習することができる
主流である動画形式のコンテンツは人物の動きやアニメーション、図表によって視覚を使って学ぶことになり、文字だけのテキストに比べて理解のスピードを速めることができます。特に、作業マニュアルなど動きの内容を正確に伝えたい場合は圧倒的に便利です。
eラーニングシステム導入のデメリット
(1)管理者から見たデメリット
まず費用が発生するということでしょうか。eラーニングシステムを導入していない場合の手間やコストなどと比較して、自社に合ったeラーニングシステムを導入する必要があります。特に、従量課金制という、動画を載せれば載せるほど費用が上乗せされるタイプのeラーニングシステムは、実際に使うと思ったように利用できなかったりするので、よく見ていただくことが必要です。また、多くの人数が一気に受講すると止まってしまうシステムなどもあるので、どのくらいの人数を許容量として考えているか、という部分も見ていただく必要があります。このような自社にとって何がデメリットになり得るか、それに合わせたeラーニングシステムをご検討いただくのが良いと思います。
(2)受講者から見たデメリット
eラーニングシステムを導入されたことによって、受講しなければならなくなる、管理が厳しくなる、などのデメリットがあります。勉強好きな方にとっては朗報かもしれませんが、勉強が苦手な方にとっては逆効果も...。しかしeラーニングシステムによっては、勉強が苦手な方も、やる気になるような仕掛けや機能がある場合もあるので、そこを見ていただくと良いと思います。
eラーニングシステムの選び方
(1)教育のどこに力を入れるかを考える
「eラーニング」と言っても具体的に見ていくと内容は様々です。年に数回、全社員向けにコンプライアンス研修をする、階層別研修を社員どうしで学びを深めるオンライン研修で行う、資格取得のためにコースにして通信教育したい、など。自社が、この中で何・どういう点に力を入れたいのか、をまず考えます。
(2)画面の使いやすさを確認する
eラーニングシステムは、星の数ほどあり、それぞれに使いやすいとうたっているのですが、実際に使ってみたら使いづらかった、という声もあります。まずは無料体験やデモを活用して、実際に操作してみて、自社のやりたいことがスムーズにできるか、細かいマニュアルを見なくても、直感で操作できるか、などを確認した方が良いと思います。
(3)従量課金制か、定額料金制かを確認する
導入する際に最も大きな検討材料となるのは、運用コストかと思いますが、最も注意すべきは、「基本料金にどのような機能が含まれるかどうか」です。一般的なLMSは、格納するeラーニング教材の本数や、動画の再生回数などによって、料金が変動する「従量課金制」であるケースがほとんどです。実際にeラーニングを始めてみると、思った以上にこの従量課金のコストが高かった。という話も聞かれます。eラーニングの教育機会を増やしていきたいとお考えの方は、できる限り定額料金としてeラーニングが含まれるようなeラーニングシステムをおすすめします。
eラーニング教材作成について
(1)eラーニング教材内容のポイント
多くのお客さまが「手間とコストがネックで、教材を量産できない」というお悩みを抱えています。よくあるお悩みとして、「講師の講義を撮影して配信しており、撮り直しも度々ある」「テロップを付けるなど編集作業が発生している」「少し文言を編集したいだけなのに、動画だとすぐに編集できない」「多言語でコンテンツを作る必要がある」などがあります。思い切って「手を加えない」方向に舵を切ってみるのがポイントです。例えば、
- ①オンライン研修を撮影して教材にする
- ②スマホで撮った動画を教材にする
- ③PowerPointを教材にする
- ④オンライン会議ツールの録画モードで撮影して教材にする
- ⑤オンライン会議ツールの録画モードで撮影して教材にする
などがあります。動画編集ソフトを導入しなくても、動画教材を作る方法を探してみてはいかがでしょうか。
(2)SCORM(eラーニング共通化のための標準規格)
従来のeラーニングシステムでは「SCORM」(スコーム)という、eラーニング共通化のための標準規格が使われていました。「SCORM」が何かというと、PowerPointやWordなどで作られたファイルや、自社制作の動画などを、効果音やナレーションを入れ、アニメーションや、紙芝居のようにして、eラーニングシステムにアップロードできる動画にするための規格です。従来のeラーニングシステムは、アップロードできるファイルが限られていて、PowerPointやWordや自社制作の動画などを載せられなかったので、それらのファイルを「SCORM化する」という一手間が発生していました。「SCORM化」するのも、一つの技術なので、そのために外注する、ということもしていました。しかし、最近のeラーニングシステムは、PowerPointやWordや自社制作動画がそのままアップロードできるので、あまり必要がなくなってきています。