ビジネスコミュニケーションにおける『やり過ぎ』とは、何を伝えるにしても、常に「相手に良い気持ちになってもらう」ことです。 ですので、コミュニケーションを取る相手のタイプや状況に合わせて、注意すべきポイントも変えていかなければいけません。
【大前提】
(1)対お客様:常に相手をたてて恥をかかせない/指摘しない
(2)対上司:何を言われてもムッとせず素直に受け止める
(3)対同僚や対後輩:公私混同をしない
本シリーズでは、様々なシーン別に、レベルに合わせた動き方をお伝えいたします。ご自身がどこまでできているか確認してみてください。「自分は周囲より頑張る必要がある」と思われた方は、周囲より気をつけるべきことも多いものです。
基本、新人の仕事はお世話係です。常に周りの方々に目を配り、お皿やグラスなどの不足にも注意します。ここには無礼講というものはないものと思ってください。 また、新人は、飲み会の機会を利用して、普段はお話できない上司の方々と積極的にコミュニケーションを取るように動くべきです。
もし手持ち無沙汰の方が近くにいらっしゃったら、積極的にお話をうかがいに行きましょう。また、新人は下座をキープするべきです。しかし、お互いに上座の譲り合いを延々と行う振る舞いなどは控えてください。 レベルごとに言い換えますと、次のようになります。
レベル1:ビジネスパーソンとして気をつけるべき事項(当たり前)
レベル2:普通より頑張る必要があると思う人が気をつけるべき事項
10名程度の課内の宴会などは、指示がなくても新人が幹事を引き受けます。その際、上司・発言力のある先輩の好みを総合して店を決めます。 帰路を考慮した店選びも必要です。味や雰囲気が良く、なるべく安価であることも考慮しましょう。
いずれにしろ、概要を決めたら、上司・発言力のある先輩に説明し、承認を得ます。可能であればネット検索だけで決めず、実際に下見もしておくとなおよいでしょう。 さらに上級を目指したいのであれば、店の責任者と名刺交換をし、支店全体の忘年会など宴会の趣旨を伝え、席などの便宜を図っていただきます。
あわせて、店のオススメ、メイン料理、お酒の種類、当日の料理の順番などを確認しておけば、当日は万全の仕切りで臨めます。 先輩が幹事の場合でもお手伝いさせていただくような姿勢で臨みましょう。レベルごとに言い換えますと、次のようになります。
レベル1:ビジネスパーソンとして気をつけるべき事項(当たり前)
レベル2:普通より頑張る必要があると思う人が気をつけるべき事項
20人以上の新年会、忘年会など大規模な宴会の幹事を受け持つ際は、前回の幹事役からまずは情報収集しましょう。 そして、参加者のなかで一番偉い方の好みや意向を把握したうえ、宴会場・日時、内容を決めることから始めます。これは、若手にとって自らのプロジェクト管理能力を試される場面だという事を意識してください。
宴会の案内、出欠確認、宴会本番の仕切りなど、幹事はしっかりとしたマネジメントが求められます。 トラブルが起こると、幹事の準備不足という印象を参加者に与えてしまいます。
【大前提】全体のフロー
(1)前述の「宴会の幹事のマナー【小規模編】」の手順に従い、店を決める。
(2)開催日に関しては、参加者のうち最も偉い方を中心に決定し、参加すべき人の
大多数が参加できる日を選ぶ。役職の高いトップ5が揃うことが望ましい。
(3)宴会開催の案内をメールなどで約1ヶ月前に出し、再度2週間前に出す。
あわせて、宴会開催の連絡を朝礼などで行う。
(4)参加を要請すべき人にモレがないか、上司などにも相談し何度も確認する。
(5)メールなどで出欠を確認し、あわせて、電話や対面で再度確認する。主要な参
加者に関しては、急に欠席することがないようにお願いする。
(6)1週間前と当日も、場所、時間などを再度案内する。最も偉い人には当日朝、
ご案内にあがる。
(7)当日の不参加、遅刻者の対応策を事前に考えておく(同期の仲間などに応援し
てもらい、対応する)。
(8)宴会の進行案(式次第、席次など)、予算、宴会費用のご請求案などを決め、
上司に報告し、アドバイスももらう。
(9)出席者から参加費を徴収する。
レベルごとに言い換えますと、次のようになります。
レベル1:ビジネスパーソンとして気をつけるべき事項(当たり前)
レベル2:普通より頑張る必要があると思う人が気をつけるべき事項
職場の上司・先輩・同僚が結婚した場合、お祝いをどうするかは悩ましいものです。 まずは、いの一番にお祝いのお言葉をおかけします。お祝いの気持ちは積極的に伝えるのが常識です。 あくまでプライベートの話題であり、大事にされたくない方もいるので、就業時間外に個人的にお声がけします。
また、披露宴に招かれた場合、お祝い金は新札を用意して祝儀袋に入れます。3万円、5万円といった奇数にするのが一般的です。
「平服で」とは、カジュアルでもOKという意味ではなく、礼服でなくてもOKという意味。 レベルごとに言い換えますと、次のようになります。
レベル1:ビジネスパーソンとして気をつけるべき事項(当たり前)
◆上司・先輩・同僚の結婚の場合
◆披露宴に招かれた場合
レベル2:普通より頑張る必要があると思う人が気をつけるべき事項
◆上司・先輩・同僚の結婚の場合
◆披露宴に招かれた場合
葬儀の場合も、お悔やみの言葉は特に目立たないようにかけましょう。ご当人の心情に配慮して、あれこれ詮索してはいけません。 もう一歩上を目指すのであれば、先輩に相談のうえ、必要であれば弔電を打ったり、香典などのとりまとめの諸雑務を引き受けたりすると頼れる人材だと思ってもらえます。
訃報の連絡を受けた場合、通夜・葬儀の日時・場所や電話番号・喪主の氏名、喪主と故人の関係などを正確に確認したうえで、会社の総務担当に連絡を入れます。 場合によっては、喪主が香典や供花を遠慮されることがありますので、よくお話をうかがいましょう。
レベルごとに言い換えますと、次のようになります。
レベル1:ビジネスパーソンとして気をつけるべき事項(当たり前)
◆職場の身内のご不幸の場合
◆通夜弔問・葬儀参列する場合
レベル2:普通より頑張る必要があると思う人が気をつけるべき事項
◆職場の身内のご不幸の場合
結婚はプライベートな事柄である反面、会社への届出を要する報告事項でもあります。例えば、結婚後も引き続き勤務する場合は転居に伴う通勤定期券の変更、苗字の変更に伴う名刺の変更、社会保険の取扱い変更などが必要になるケースがあります。
また、結婚披露宴に会社関係者を招くときは、まず口頭で日取りを伝えて予定を入れていただき、2か月前までを目途に招待状を出します。上司や先輩にスピーチをお願いするには、仕事上の信頼関係があるかどうかがポイントです。 周囲に迷惑をかけずに新婚旅行に行くことができるように、不在時の担当業務は前倒しで処理を済ませておいたり、代理対応いただける方に確実に引き継ぐなど、しっかりマネジメントします。
レベルごとに言い換えますと、次のようになります。
レベル1:ビジネスパーソンとして気をつけるべき事項(当たり前)
レベル2:普通より頑張る必要があると思う人が気をつけるべき事項
暑中見舞いや年賀状はお世話になった感謝の気持ちを表すものなので、送ってはいけないものではありません。 しかし最近は、暑中見舞いや年賀状を葉書で送る風土のない組織も増えています。
そのため送る際は、必ず上司・先輩に年賀状を送ってもよいかを確認します。 また、プライバシーを気にする人もいるので、会社名簿があっても必ず本人に住所を教えてもらいます。 送る許可を得たら、所属部長、直属上司には必ず送ってください。ただし、便利だからといって電子メールで送ってはいけません。 一括で印刷した葉書にも自筆の文章を一筆添えると、誠実な印象を抱いてもらえます。
さらに上級者は、毛筆で年賀状を書き、封書でお送りします。 レベルごとに言い換えますと、次のようになります。
レベル1:ビジネスパーソンとして気をつけるべき事項(当たり前)
レベル2:普通より頑張る必要があると思う人が気をつけるべき事項
「ソーシャルメディア」においては、直接個人名が書かれていなくても、プロフィールや発言内容、他のソーシャルメディアの情報との掛け合わせなどにより、発言者を特定することが可能です。
たとえ、個人的に使用しているアカウントでの発言だとしても、その内容から○○社の従業員であると推測されれば、当然組織側の責任が問われる問題となってしまいます。(※1)
※1 参考1:令和元年版:ネット上での炎上を巡る議論(総務省) 個人的な発言による炎上トラブルは、2011年を境に急激に増加しています。(最終アクセス:2021年4月9日)
Twitter、Facebook、Instagramなど多くのソーシャルメディアが普及し、個人の情報発信が大きな影響力を持つ時代になっています。 長い間、ネットへの書き込みはその匿名性の高さゆえに、誹謗・中傷なども含めて自由度の高いものとして利用され、また黙認されてきました。
そこに登場したソーシャルメディアは、ネットへ書き込むという行為そのものは同じとなります。ただそこに、特定された個人や組織に所属する一員という社会的繋がりが発生します。 そのため、発言に対する責任が問題視される様になったのです。普及の背景には、利用環境・利便性の拡大があげられます。特にスマートフォンの普及により、ソーシャルメディアの使われ方についても、PCと携帯の境界がなくなってきています。
メディアリテラシーとは、メディアを読解・活用し、読み手と適切にコミュニケーションする力です。(※2)炎上した事例は、ITリテラシーはあっても、メディアを適切に利用・活用する力としてのメディアリテラシーの欠如が招いたものと言えます。
※2 参考2: 30年版:ICTリテラシーの向上(総務省) (最終アクセス:2021年4月9日)
ソーシャルメディアとうまくつき合う為には、良い面ばかりでなく、リスクについても理解を深め、適切に利用する必要があります。
個人の発言、組織の発信など、ネット上で共有される全ての情報が、いつ炎上のきっかけとなるかわかりません。ソーシャルメディアの活用に早くから取り組んでいる企業や組織では、広報やマーケティングなどの担当者に向けて、考え方・行動指針の作成や勉強会の実施などを行っています。
しかし最近では、組織に所属する一個人としての発言が炎上のきっかけとなっているケースが増え初めて久しいくらいです。 情報が様々なメディアを介して瞬時に共有される現在、「プライベートだから」「フォロワーが少ないから」などといった理由は、無責任な発言をしてもいいという言い訳にはなりません。
組織としては、従業員個人による炎上の防止まで考えて対応していくことが求められるのです。 例としてあげますと、フォロワー数の少ない個人のつぶやきが瞬時に拡散される流れは次の通りです。
炎上を招きやすい話題についてつぶやく
→ネット掲示板でその問題を取扱うスレッドが立つと一気に騒ぎが拡大
・口汚い言葉、不穏当・不謹慎な発言
・有名人などの目撃情報
・イデオロギーが関わる話題
・人を見下す言葉、発言
・犯罪自慢、武勇伝を語る
・価値観の否定、押しつけ
ネットの個人情報は、散らばっている断片の情報を見つけ、照合することで個人が特定されてしまいます。
・アカウント名~@名前_苗字の子音(例:田中ならtnkなど)
よく似た名前の場合、Facebookの検索で実名・顔写真が判明する場合もある
Twitter、Facebookなど、ソーシャルメディアを積極的に活用する組織は増えています。 ソーシャルメディアの特徴をうまく使えば、より人と人、組織と人を結びつけることが出来ます。
しかし一方で、従業員などの一個人発でソーシャルメディアを通じた組織トラブルが生じています。 ソーシャルメディアでのトラブルを未然に防止することはリスクマネジメントの一環と言えます。
ソーシャルメディアの利用によるトラブルを未然に防止するため、様々な組織が独自のソーシャルメディアポリシー(ガイドライン)を策定しています。 公式アカウント担当者向けのルールや心構えのほか、個人的なソーシャルメディア活用まで想定した行動指針を下記に示します。
・身分を明かして一人称で語る
・免責文を使う(組織を代表する意見ではない旨)
・著作権および公正使用に関する法律の遵守
・機密情報の保護
・組織の財務状況や事業計画に関する言及禁止
・取引先の名前を勝手に出さない
・喧嘩をしかけない
・仕事に支障をきたさないように注意
・誤りは率直に認め、早急に訂正
・この投稿内容に危うさがないか?
・この投稿が大勢の人に共有されても差し支えないか?
・特定の人・層について言及している場合、該当者が見ても問題ないか?
・上司、取引先など仕事上の関係者が見ても問題にならないか?
また、自組織に起こり得る不祥事を洗い出し、そのような不祥事が生じた場合のアクションプランを用意します。 具体的な危機管理マニュアル、お詫び文面のテンプレートなども用意しておきます。
ソーシャルメディアポリシーは組織によって様々です。「~を認識する」「~してはならない」など、具体的な禁止事項を挙げ、社員・職員の行動制限を主な目的としているものが、多くの企業・組織で一般的に普及しております。
それに対し、ソーシャルメディアの有用性を積極的に活用することを奨励し、自分達の行動規範を宣言するような工夫が凝らされているものもあります。 また、外資系企業に多いのはバランス型のソーシャルメディアポリシーです。身分を明かして活動すること、一人称で語することなどソーシャルメディアで積極的に発信していくことを奨励する一方、自覚を促す項目も明記しています。
ソーシャルネットワークの特性を最大限に活かすためには、それぞれの組織に合ったソーシャルメディアポリシーを策定するところから始めましょう。
出張で新幹線の東京と大阪を往復した際、エスカレーターの乗る位置に違和感を覚えたことがある人は少なくないでしょう。 東京が向かって左側に立つのに対して、大阪は右側に立ちます。実は、グローバルスタンダードは大阪の右側です。
1970年の大阪万博の際に、海外からの観光客が訪れるということで、エスカレーターの乗る位置は右側であると広宣しました。 関西の方が持つ「東京に対する対抗心」の意識も手伝って、現在に至っているとも言われています。 この場合、自己の主張はひとまず脇に置き、郷に入っては郷に従えが、社会人としてマナーです。
郷に入っては郷に従えをマナーの原則とするものとして、他にも歩行者の通行があります。 道路交通法では歩行者は右側通行が原則です。しかし、現実には法律違反が横行しています。 例えば繁華街などでは、自然と左側通行になっているところが多いと言われています。 ほかにも、電車などの乗り換え道などでは、「ここでは左側通行」という表示を見かけます。
ちなみに、1949年までは歩行者は左側通行でした。さらに言えば、江戸時代、武士の作法として、歩行は右側通行でした。 武士は左側に刀を差していたため、前方から来た武士に抜き打ちに切られないようにするために、右側通行が守られていたようです。 ところが、明治時代になり、文明開化の影響を受け、左側通行になったとされています。
逆に、法律が根拠となったマナーもあります。それは、和服の前合わせです。 男女とも「右前」です。自分から見て左右どちら側の布地を先に自分の肌に密着させるかという意味で、右前なのです。
根拠は、奈良時代の719年に出された衣服令(えぶくりょう)という法令の中にある「初令天下百姓右襟」という一文です。 「庶民は右前に着なさい」とされ、これ以降、着物を右前に着ることが定着したものと考えられています。
「左前」は死に装束といわれ、「会社が左前になる」という言葉もあります。 ちなみに洋服は男性用が右前、女性用が左前が正式と古くからは言われていますが、ダイバーシティの時代では、そのくくりも近年あいまいになってきています。
そもそも、欧米ではrightが「右」とともに「正義」の意味を持ち、このように右上位の世界です。 例えば、キリスト教の献花の花は、花が右に来るように持ちます。この根拠は、右は「正しい」の意味があるから、花を正しい位置=右になるように持つといわれているからだそうです。
これに対して、日本は、左右と書くくらいですから、左上位の世界だといわれています。 左大臣のほうが右大臣より格上だというのも、左上位の証拠だと言います。
いや、左遷、右腕という右優位の言葉もあるのではないかという人もいらっしゃいますので、政治の左翼・右翼と同じで、左右の争いはイデオロギー的な一面があります。 かの中国でも、孔子などの儒教は右が尊ばれ、老壮は左といいますから、好みの問題かもしれません。
それはともかく、右利きの方が左利きより多いというのは、内外問わず事実です。 そのため、基本的に、社会はテーブルマナーなど右利きの文化が前提になっています。ただし、最近は、左利きにも配慮するマナーが一般的です。このあたりは、左利きのマナーとしてよく説明されていますので省略します。
もっとも、右利き文化の勢力はまだまだ、いろいろなところで根強く見られます。例えば、握手は右利きが一般的です。左利きの人も右手を差し伸べます。 インドなど左手を不浄とする国では、左手で握手をすると相手を嫌っているという意味もあるということから、右手の握手が無難です。
さらに、電話も右利きの方用を前提に受話器は電話本体の左側についています。左手で受話器を持ち右手でプッシュボタンを押し、右手でメモを取るのが便利です。 最近は左利きの方専用の道具類も増えてきましたが、この点、不便なものがまだまだ多いようです。
左利きの方に聞くと、ハサミ、がま口、電卓・パソコンのテンキーの配列、マウス・カーソルの印の向き、カメラ、缶切り、包丁・バターナイフ、洋服やワイシャツのボタン、自動販売機のコインの投入口、ウォシュレットトイレの操作ボタンの位置、三角定規、カッターナイフ、クリアケースなど、左利きを貫こうとすると大変だそうです。
よく話題にのぼる話として、コーヒーのカップとスプーンの置き方があります。 皆さんの組織で来客があった場合、行きつけの喫茶店などはどのようにしているか観察してみるのも面白いでしょう。 「カップは左向き、スプーンは右向き」というのが従来は主流のようでした。茶道の作法にならってカップを180度回転させたことの影響ではないかと言われています。
これに対して、右利きが多いはずだから、「カップは右向き、スプーンは左向き」というのが正しいのではないかという人もいらっしゃいます。
ちなみに、ある老舗のホテルでは、「カップは左向き、スプーンはすくう部分を頭にして縦向き」というルールで徹底しているそうです。理由は、これがお客さまにもっとも使いやすいからとのことです。椅子に座るとき、一般的なテーブルマナーでは、椅子の左側から入って着席し、椅子の左側から退席するのが正しいとされています。 では、上司などと面談する場合、椅子の座り方はどうしたら良いでしょうか?
「テーブルマナーと同じだ」と言う人もいれば、「下座、すなわち扉に近いほうから着席・退席するのが良い」と言う人もいます。 「いや、こんなところにこだわるなら、着席や退席における動作の美しさのほうが重要だ」という人もいらっしゃいます。
首脳会談で思い出しましたが、サミットなどで、よく各国首脳が記念写真を撮ります。 実は、これは国際儀礼というマナーに基づいて配列が決まっています。適当に並んでいるのではありません。
議長国首脳を中心に国家元首(国王、大統領)から首相へ、同等なら在任期間の長いほうが上位ということで序列を決めたうえ、1番は最前列中央、2番・撮影される方から見て、その右隣、3番・1番の左隣...というように並びます。
そのため残念ながら、日本の首相は国王・大統領ではありませんし、さらに近年は在任期間が短い人が多いので、中央近くにおさまりまらないケースが多くなります。 もっとも、我が国の組閣時の記念撮影は、ある程度自由に立ち位置を決めてよいことになっています。
東日本大震災における日本人の対応に対して、海外のマスコミから、非常事態にも関わらず冷静で礼儀正しいという評価を受けました。 意外に思われるかもしれませんが、多くの国から好意的な目で、日本人の立ち振る舞いは評価されました。
最近の日本の風潮では、日本でも自分勝手な人間が増え、ゆゆしき事と嘆いているケースも一部見受けられます。それとはだいぶ様相が違っています。 確かに、阪神淡路大震災の時、米国のあるコラムニストが「日本語には英語にはない我慢という言葉がある」と指摘していました。 地震国としての互助の精神、集団主義のDNAが活きているのかもしれません。
いくら危機管理が重要だといっても、危機管理を担うのは人間です。 社会や組織を構成する人々が、我も我もと自分勝手な行動を取るのと、冷静で礼儀正しい行動を取るのとでは、間違いなく危機管理の対策が違います。
前者は暴動を抑えることに意を注ぎます。これに対して後者は、組織全体なかんずく弱者救済への対応が重視されます。 東日本大震災当日は、首都圏でも交通手段が麻痺しました。しかし、街中は暴動や略奪とは無縁で、マスコミは帰宅難民と称していましたが、20キロの家路を黙々と歩いている人も少なからずいらっしゃいました。
何事もそうですが、緊急時や非常事態時に人間の特性や性格が出るものです。 市民生活や企業活動でも同じです。この点で、冷静で礼儀正しいと評価されたことは、我々日本人の危機への対処力の強さだと自信を持ち、誇りにしたいものです。
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