銀子の一句インタビュー 新人研修を訪ねる~|シルバーWEBライター銀子さんの研修川柳

事前の「注意喚起」で高まる研修効果


銀子

新人研修は、社会常識やビジネスマナーなどが中心になると思います。しかし入社早々の受講者にとっては、仕事というより通過儀礼的になりませんか?


S氏

たしかに、何となく楽しい「行事」になってしまいがちですね。でも新人研修の意義はちゃんとあります。常識やマナーやルールは社会人として受け入れてもらうための最初のドア、第一印象で外されないための最小限、いわば共通言語になります。また同期生が一堂に会する機会なので、結束力も芽生えるようですし。

銀子

あ~、そうでしょうね。実際のところ、教育効果はありますか?

S氏

はい。世の中のルールの話ですから、情報として素直に受け入れられるようです。それに受講者の約半数は、先立って会社から「研修は君たちの初仕事。軽い気持ちで聞き流さずに、しっかり今後に活かすように」などと言われて来ていますから。
面白いことに、何も言われずに参加した人たちより、注意喚起があった参加者の方が知識の吸収も研修効果も上がるんです。近年の若者像としてよくいわれる「素直で真面目だが、自発的には動かない」という傾向を象徴しているようですね。

するべきことをクリアする


銀子

へぇ~。せっかく予算を使うなら先に一言いっておいて、効果を上げなければもったいないですね。では、新人がもつ苦手な部分や手薄なところに対する研修はあるのでしょうか? 最近はどこの企業でも、先輩・上司が新人の指導に十分な時間が取れないと聞いていますが。


S氏

そうなんです。インソースの場合、新人研修を実施された企業の約80%が、その後のフォローアップ研修やPC基本操作・ビジネス文書といったスキル研修についても引き続きご相談くださいます。
最近の新人は、最初の段階で「自分のすべき仕事」との向き合い方をしっかり学ぶと、憂鬱期(五月病・六月病など)に気分が腐りにくく、挫折しにくい傾向があります。なので企業側としては、「すべきこと」を明確にしてあげて、新人の早期戦力化を図る訳です。新人の間はまだ仕事を主体的にとらえられず、迷いも多くて自信が持てない時期ですから。

銀子

あら、いいですね。給与を得ながら新鮮な勉強ができて楽しそうです。勉強だけで一人前のビジネスパーソンになれる訳じゃないでしょうが。新人が落ち着くまでは、先輩や上司もいろいろ気づかって大変ですね。

S氏

本人の努力次第でしょうが、多くは現場で失敗や成功の経験を積むうちにだんだんビジネスパーソンになっていくんです。また先輩や上司との相性が良ければ、刺激になってさらに成長できます。媚びへつらうことも自説に固執することもなく、率直な意見が言える関係が理想的ですね。
実は新人の受け入れは、先輩や上司にとっても人材育成の経験を積む良い機会になっているんです。若い世代の発想や行動は社会ニーズの反映だし、部下からの発言・反論は成長の証でもあります。先輩・上司の立場から見れば、新人は新鮮な情報源として勉強になるはずです。そのように先輩・上司に対しても意識づけしておくことは、研修担当者として新人教育と同じくらい大事ですね。

すべきこと~できること~したいことの好循環


銀子

ところで、物事は「すべきこと」「できること」「好きなこと」の順で進めるのが筋道だと私は思っていますが、「すべきこと」を増やした新人の次のステップは何ですか?


S氏

まさしく。上司や先輩に教えられた「すべきこと」をきちんとこなす経験を積んだ次は、「できること」を増やし、専門性を高めたり仕事の幅を広げていくことが大事です。そうすれば自然と達成感のある「好きなこと」「したい仕事」に指名されたり、手を挙げるチャンスが来るものです。

銀子

なるほど。新人の成長は、段階ごとの仕事に集中することで進むんですね。新人研修が成長に果たす役割は、どの程度なんでしょう。

S氏

米国のリーダーシップ研究機関 ロミンガー社の調査結果に、有名な「70:20:10の法則」があります。同社の「Model for Learning and Development」によると「人の成長に何が役立ったか?」の調査結果は“研修”が約10%、他者からの“薫陶(くんとう)”が約20%、そして“経験”が70%だったというものです。
当然、インソースの研修も実務優先です。具体的なスキル対応・メンタル準備・参考書にもなるテキストなど、新人がこれから現場で遭遇する実務に役立つように作られています。研修+経験によって、できることがだんだん増えていきます。

銀子

経験によってできることが増えれば仕事は楽しくなる、楽しくなればもっと成長できる、と好循環になりますね。でもそれってやっぱり、経験に勝る研修はないということですか?

S氏

あはは、いやいや。良い研修とは、参加者の今後の良い経験につながる道標のようなものです。あくまでも良いスタートを切るためのきっかけに過ぎません。が、スタートの良し悪しが、その後の経験を毒にも薬にも変えてしまいます。
最初の「すべきこと」「できること」の段階をしっかり押さえないと、新人が「したい仕事が好きにできない」と屈折してしまいかねません。そうなると次第に仕事自体が重荷になり、気分も腐ってモチベーションが保てず、できることもできなくなってしまう悪循環に陥ります。最初の押さえが肝心、新人研修の最大の目的でもあります。

銀子の眼

なるほど納得のお話でした。するべきこと・できること・したいことの順をきちんと自覚してクリアしていくのが仕事の成長ですね。その辺の整理がつかずに、希望に燃えた新人がぐったり腐っていくのは、周囲にとっても悲しいことです。銀子もまた新人。お陰様で成長途上です。

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