皆さんは、マナーと聞いて何をイメージするでしょうか?
マナーは従うべきルールや「しきたり」ではありません。
マナーとは、相手を敬う心であり、相手に気持ちよく感じてもらうための作法です。
「相手の視点に立ち、相手に心地よく感じてもらうおもてなしの心」こそが重要になります。
自分を中心に置いて、「自分が、自分が」という気持ちではお客さまの心は離れてしまいます。
マナーとは、「あなたのことを考えています」という姿勢を伝えるメッセージであり、自分自身にその意識を刷り込ませる動機づけでもあります。
マナーがしっかりしていると、「この人は私のことをしっかり考えてくれる」「私に配慮してくれる」と相手に安心感を感じて貰えます。
その結果、良好な関係を築くことができ、ひいては営業の結果にもつながっていくのです。
マナーにおいて注意すべき点は、実は非常に多岐に渡ります。身だしなみ、姿勢、話し方、表情など、全てにおいて「相手に気持良ちく接してもらう」ための意識を張り巡らせる必要があります。
とは言え、単にマナーの型を覚え、上辺だけ見繕うだけでは不十分です。
常に相手の心情に気を配ってこそ、相手にも伝わる気持ちの良いマナーになります。
最初に悪い印象を与えてしまうと、その後、ささいなことも悪くとられがちになるものです。
なぜなら、第一印象が与えるインパクトは大きく、第一印象を払しょくするのは難しいからです。
特に営業先の担当者など、接触頻度の低い相手だとなおさらのことです。
営業担当者にとって、第一印象を良くするために心がけるべきことは、組織を代表して営業しているという意識を忘れないこと。また、「自分」ではなく「相手」に快いと常に感じさせることです。
第一印象が与えるインパクトは大きいため、最初に悪い印象を与えてしまうと、それを払拭するのは難しいもの。営業担当者にとっては、大きなマイナスとなります。
第一印象はどのように決定づけられてしまうのでしょうか?
それは視覚と聴覚です。視覚は、表情(笑顔・暗い顔)、態度(しぐさ)、身だしなみ(清潔感のある服装・髪型)をとらえます。
一方、聴覚は声の質(明るい・暗い・発音)、話す速さ(ゆっくり・速い)、声の大きさ(大きい・小さい)に加え、話す内容、言葉遣い(敬語・若者言葉)でも大きく変わります。
表情は言葉以上に色々なものを伝えます。状況に相応しい表情を心がけましょう。ただし、基本的には笑顔で対応します。
また、あごの角度で表情が変わります。5度の違いが印象を変えることもあります。お客さま応対においては水平より5度くらい下にして、控えめな印象を与えましょう。
目線は相手とそろえるのが基本です。適度なタイミングでお客さまと目を合わせます。ただし、目線を合わせすぎるのは禁物です。
<ポイント>
クレーム対応時は、当然ながら笑顔は相応しくありません。
そのようなケースでは、うつむいて顎を引き、目線を下げます。相手の一言一言を噛み締めがら、うなづきをすることも重要です。表情、姿勢にも、TPOが求められます。
立つときは、両足に均等に体重をのせることが基本です。
両足の踵をつけ、つま先は少し(約60度)開きます。膝と膝の間に隙間ができないように内側を合わせると、足がまっすぐに見えてスマートに見えます。
椅子に座る時は、重心を少しずつ後方へずらしながら、ゆっくりと座りましょう。
背もたれに寄りかからず、少し浅めに腰をかけ、背筋を伸ばすと美しく見えます。机と体の間は、こぶし一握り分が入るようにしましょう。
<書類やペンなどのモノの授受>
営業先で、笑顔がない人は印象が悪いのは当然ですが、意外に多いのが、笑顔だが良く見ると目は笑っていない、またはふとした瞬間(特に去り際など)に真顔(無表情)に戻る人です。目を合わせない人も営業としては失格です。逆に初対面なのに馴れ馴れしいと緊張感がないと受け取られてしまいます。
もちろん、営業のマナーとして身だしなみにも気をつけるべきです。背広にしわが寄っていたり、靴が磨かれていなかったり、昼食の匂いがしたりなど、人を不快にさせる要素がひとつでもあれば、即座にダメな営業と印象づけられてしまいます。
外見やまとっている雰囲気に、その人がどの程度その道のプロであるかが滲み出てしまうものです。服装も含めた身だしなみが、あなたと、あなたの会社の能力とレベルを推し量る材料となるのです。
例えば、あなたが高い物を売る営業であるなら、高い物を売っているような見た目や立ち居振る舞いが必要であるというわけです。
また、いつ相手方のトップに会っても恥ずかしくない身だしなみを常に心がけること、服装だけでなく、目に見えない口臭、体臭などにも注意しましょう。
営業として好感をもってもらうためには、身だしなみは自分の常識を基準にするのでなく、お客さまの評価を基準にしなければなりません。 基本的に好感をもたれる服装は以下の3つがポイントです。
・清潔感がある
・上品かつ控えめである
・常識的である
職場における身だしなみは「お客さまはどのような営業担当者を求めているか」「お客さまにどのように思われたいか」という視点から考えましょう。
近年はクールビズの普及により、訪問先でお客さまが上着を脱いでいることが少なくありませんが、クールビズ期間は訪問先で上着を脱いでも良いのでしょうか?
上着を脱ぐか脱がないかは、基本的にはお客さまに従います。お客さまが「暑いでしょうからおくつろぎください」などとお声かけをいただいたら脱ぐようにしましょう。受付などで「クールビズ期間中につき、お客さまもお気軽な服装でお越しください」などの記載がある場合も、脱いで失礼になることはありません。
ただし、お客さまが夏でもキッチリ上着を着る人の場合は、こちらも上着は着用しておくべきです。あくまでも、相手に合わせることが重要です。
(1)約束の5分前に受付に到着する
先方へは約束5分前に到着するようにします。遅刻は厳禁です。
ただし、早すぎても相手のスケジュールを乱すことになりますから、5分前をメドにしましょう。
コートやマフラーは建物に入る前にはずすことが常識です。
(2)自分の会社名、氏名、約束の時間と相手を伝え、取次ぎを依頼する
受付や取り次ぎに出た人に自分の会社名・氏名を名のり、アポイントの相手の名前を告げます。
初めて訪問する場合には自分の名刺を渡しながらの方が相手もわかりやすくなります。
「○○○会社の△△と申します。▲▲部の**様と午後2時のお約束で伺いました」
その後は、ご案内くださる方の指示に従いましょう。
待っている間は、落ち着きなく動きまわったり、軽薄な話はしないこと。
お茶を出されたらお礼を言いますが、相手が現れて、勧められるまで手をつけずに待ちます。
(3)相手が応接室に入ってきたら、すぐ立ち上がって挨拶をする
相手が入ってきたらすぐに立ち上がり、
「本日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます」
と丁寧に挨拶をします。
(4)名刺交換は上司が先に
初対面なら名刺交換をします。既にお取引のあるクライアント先へ上司に同行して訪問した場合には、上司に紹介されてから挨拶をして名刺交換します。自分は既に面識があり、初めて訪問する上司を紹介する場合は、まず先に相手に上司を紹介します。
(5)相手に椅子を勧められてから着席する
相手に勧められてから「失礼します」といい、着席します。
訪問の用件がすべて済んだら、
「本日はお忙しいところありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします」
とあいさつをして辞去します。
【退出時のドアの開閉マナー】
退出時は、スペースの問題などで、自分がドアを開けざるを得ない場合を除き、お客さまに開けてもらうのを待ちます。
来客応対時は、自分でドアを開けます。ドアが廊下側に開く場合は自分が先に出てお客さまを待ち、部屋側に開くドアであればお客さまに先にお進みいただきます。
【玄関先がきれいか】
玄関先が整理整頓されていない、ゴミが落ちている会社は優良企業ではない可能性が高い
【備品類に記載されている企業名】
客先がどういう企業と取引があるか確認
【チラシ・ポスターなどの掲示物】
社内のイベント・キャンペーンなどを確認、商談時の話題づくりや、社内ニーズを収集の材料に
【ビルに入っている企業】
1件の訪問のみに終わらせず、良い企業が入っていれば飛び込み訪問。顧客とのつきあいも確認
営業はスポーツや芸事、武道などに似ています。会った瞬間に「できる」「できない」が見えるものです。みなさんも会った瞬間に「この人できる!」と思ったことはないでしょうか。これが、営業にとって、「表情」、「身なり」は極めて重要と言われるゆえんです。
来客応対をする際は、お客さまは上座に案内するのが常識です。
訪問した場合は、特に席を指示されなければ下座に座ります。通常は訪問者が上座に座ることが多いですが、あえてお客さまに上座に座っていただき、気持ち良く商談に臨んでもらうこともあります。
一般的に「出入り口から遠い席が上座」と考えられます。また、一人掛けの椅子より、二人以上座れる長いソファの方が上座になります。
しかし、奥に窓があり、景色の良く見える席は入口側であっても上座、また絵画がよく見える席も上座です。このほか、事務所内にある応接コーナーに通された場合では、事務机に近い席が下座となると考えられます。
4人乗りのエレベーターで考えてみましょう。ボタンを押せる場所が下座、その奥が上座となります。ボタンから一番遠い奥が2番目に上、その次が入り口に近いボタンの押せない場所です。
自身がボタンを押す場合もお客様に背中を向けないように横を向くのが常識です。
基本的にはお客様や上司の希望を優先します。また、相手がより座りやすい場所をすすめます。
一般的には、運転手がいる場合と上司やお客さまが運転する場合では上と下が全く変わります。前者の場合は助手席が下、後者の場合は助手席が上です。後部座席に三人座る場合は真ん中が下と考えたらよいでしょう。
基本的に窓側が上座、通路側が下座となります。3人掛けの場合は真ん中が一番下です。また、列車などボックスの席の場合は進行方向に向いている方がより上となります。
名刺交換の良しあしで「できる」営業かどうかを見分けられてしまいます。
あらかじめ名刺入れを手にもって準備しておきます。
複数対複数で名刺交換する場合、立場が上の方から順次行うものなので、上司より先に行ってはいけません。
また、空いているからといって相手の一番役職の低い人と最初に交換をしてはいけません。上座にいる方から役職順が一般的な並びです。
自分の順番が来たら、お客さまより先に名乗り、名刺を差し出しましょう。
「○○の◆◆と申します。よろしくお願いいたします」
【注意すべきこと】
・文字に指がかからないように名刺を右手で持ち、左手を添える
・自分の胸のあたりに持って構える
・お辞儀をしながら、自分の会社名、部署名、名前を名乗って差し出す
・相手の名刺入れに、相手が字を読める向きで渡す
受け取るときは、自分の名刺入れをクッションにして受け取ります。
「□□さま、頂戴いたします。」
【注意すべきこと】
・右手で差し出しつつ、左手で受け取る。受け取ったら右手を添える
・相手の会社名や名前の読み方を確認するこのときも、名刺は胸のあたりの高さで持つ
・名前の読み方が難しい方の場合は復唱する
いただいた名刺はしまわず、テーブルの右側に置いておきます。
【並べ方】席次順(顔と名前が一致しやすい)
※分からなくなった場合は縦に置く
【置き方】
1枚の場合は名刺入れの上に乗せ、2枚以上の場合は全て机に並べるか、名刺入れの上に一番役職の高い方の名刺を乗せ、それ以外の名刺は机に並べます。辞去する際に、周りのタイミングに合わせて名刺入れにしまいましょう。
名刺交換には、様々なルールやマナーがあるので、それらをすべて覚えるのは大変です。しかし、名刺は「その人の顔」であると考えると、自ずとルールが分かってきます。
・相手の名刺は相手の顔・・・大切に丁寧に扱うべき
・自分の名刺は自分の顔・・・人に渡して恥ずかしくないものか事前に確認
<常に心がけること>
<やってはいけないこと>
名刺交換は同時(片手での受け渡し)が一般的ですが、両手で行われるケースもあります。相手が両手で差し出してきた場合は相手に合わせましょう。
名刺入れを中指と薬指で挟み、親指と人差し指で相手の名刺を受け取ります。自分の名刺を渡す時は、親指と人差し指で自分の名刺を持ち、名刺入れは中指と薬指で挟んで渡します。
口をしっかりと開けることを意識し、相手の表情を見ながら、全員に聞こえる大きい声量で話しましょう。また、声に強調をつけると説得力が増します。
言葉のクセには十分注意します。語尾は強すぎず、伸ばさないように注意しましょう。
また、無意識に出るクセのひとつに「ノイズ」があります。ノイズとは意味のない「え-」「あのー」「まあー」などのことばを指します。これらが多いと自信がない、不正確なことしか言わない人という印象を与えます。
要点、重要事項をお伝えする直前や直後、質問を投げかけた後、意図して間を置くと効果的です。
また、聞き手の理解にあわせて、間をあけるのもよいでしょう。休みなく話してしまい、相手を疲れさせないように気をつけましょう。
ビジネスパーソンにとって適切な敬語を話すことは、周囲との人間関係を築いていくための基本です。その敬意の示し方によって、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類に分けられます
公私を区別して、職場では「~です」「~ます」「~でございます」を使います。
「~いただく」と「~くださる」は、使用場面が多い反面、間違いやすいので注意が必要です。「~いただく」は「~もらう」の謙譲表現、「~くださる」は「~あげる」の尊敬表現です。ですので、相手がした行為に対しては「~くださる」が、自分の行為に対しては「~いただく」を使用しましょう。
自社の紹介を上手く理解していただくためには、説明のシナリオ作りが必要です。自分の望むゴールに導くために、こちらからの「質問事項」などに対する相手の反応などを予測して、想定問答を事前に作っておきます。
ステップ1【雑談】話の前に「人」と「人」との触れ合いがある
「敵ではない」を明確にすること
↓
ステップ2【論理性】話の内容が理解できる
「腹に落ちる」ということ
↓
ステップ3【プレゼン】話の内容に賛同できること
あなたに強制された訳でなく、自発的に「賛成しよう」と思うようにすること
聞き手は「なぜ」自分はあなたの話を聞いて、賛同しなければならないのかを理解させて欲しいと考えています。そのため話し手は、まず聞き手がよく理解できるように努力する必要があります。
雑談ネタはさまざまありますが、注意を要すべきテーマもありますので、気をつけましょう。
例えば、好き嫌いが分かれる、選挙など党派に関係してくるなど回避すべき内容や、機密事項や触れるべきではない、または大丈夫か確認が必要な内容もあります。相手の気持ちを考えながら、雑談をすすめましょう。
雑談ネタ「キドニタテカケシ衣食住」の例
キ 季節 「今年の夏は異常に暑いですね」
ド 道楽・趣味 「お手入れが行き届いた立派なお庭ですね」
ニ ニュース 「税金がまた上がるらしいですね」
タ 旅の話 「先月○○に行かれたんですか?いいですね」
テ テレビ 「先週の大河ドラマは面白かったですね」
カ 家族 「お嬢様はお元気ですか?」
ケ 健康 「毎日ジョギングされているのはすばらしいですね」
シ 仕事 「随分ご盛況のようですね!」
衣 衣料 「素敵なネクタイをお召しですね」
食 食べ物 「○○はお好きですか?いいお店があるんですよ」
住 住まい 「○○のご出身ですか。実は私も○○の出身です」
時間を浪費するプレゼンテーションは嫌われます。社長や大企業の幹部などは特に、時間がないことに加え、要点だけを端的に伝えて欲しいと考えています。なので、説明に関しては、「1分」「5分」「10分」と時間を決め、短時間で話せるように練習しましょう。
自分では何度も話している内容でも、相手にとっては初めての内容である場合がほとんどです。よって、分かり易さを考えると比較的ゆっくり話すことが必要です。ただし、ゆっくりなだけではこちらの意図が伝わらないことがあります。強弱・繰り返し・スピードを意識しましょう。
ワンセンテンスを30~50字で区切るように話すと、相手は、聞きやすくなります。点・丸・句読点を意識して話しましょう。
自分では使い慣れた専門用語も、お客さまにとってはわかりにくいことが多々あります。なるべく業界用語・カタカナ語を避け、意識的にひらがなで平易なことばを多用しましょう。
いいたいことを徹底的に絞り込めば、アピールしやすいのです。シナリオを作る段階で、言いたいことは徹底的に絞込みます。
「弊社開発陣が10年の歳月をかけ開発した、絶対の自信作です」
「給与計算ソフト○○は業界でトップの売上げです」
このようなセールストークばかりでは、「自慢話ばかりだ。もっと、役に立つ情報が欲しいのに!」と、お客さまはうんざりしてしまいます。お客さまを主語にして、話題を形作ってみると、活きたセールストークができます。
「御社の作る半導体の製造スピードが30%早くなる製品です」
「御社の事務職の方々が30分早く帰れる給与計算ソフトです」などです。
お客さまの関心は多様です。ですから、その方それぞれの関心に応じて、トーク内容を変えていかなければ、効果的なセールスとなりません。自分の言いたいことではなく、お客さまの聞きたい話が好ましいセールストークなのです。
(1)コスト重視のお客さまの場合
「この商品は、昨年のモデルより、価格性能比半値になっております。昨年パソコンを購入されないで良かったですね」
(2)サポート重視のお客さまの場合
「この商品は3年間保証となっております。一般的には1年保証ですから、3倍安心ですね」
(3)デザイン重視のお客さまの場合
「この商品はイタリアの有名なデザイナー○○××の作です。飽きのこない商品です」
相手が話やすさを感じ、気分良く話をさせるスキルこそが「聴くスキル」です。ここからは「傾聴力」のポイントについてお話します。
「はい」
「なるほど」
「よくわかります」
あいづちを打つことで、それを受け取る相手に「承認された」という意識が芽生えます。
「なるほど、○○ですね」
「それはつまり○○ということですね」
「あなたのご要望である○○という点については・・・」
相手の話をスムース(これがポイント)かつ正確に理解します。そして、それを反復したり、言い換えたりすることで、相手は「理解された」という気持ちになります。
「○○様はよくご計画されていらっしゃいますね」
「○○様のおっしゃる通りですね」
「○○様は大変上手に活用されていらっしゃいますね」
「それは大変お困りなのですね」
声をかけたり、状況に気づいたりすることで、相手は自分に関心があることを確認できます。また、名前を呼ばれるたびに相手は自分の存在を認められているのだなと安心感を得ます。相手の名前を一度うかがったら、その後は名前で呼びましょう。
疑問が湧き上がったり、発言したくなっても、相手の話を最後までしっかりと聴きます。自分が話すのはその後です。相手の話が終わらないうちに自分が話し始めたり、質問すると相手は「話を聴いてもらえていない」という不満感を持ちます。
ソリューションとはお客さまのビジネス全体に対して提供されるべきもので、お客さまの担当者が組織全体の課題を把握しているとは限りません。
たとえば担当者から上がってきた要望がシステムに関するものに特化していたとしても、お客さまの業務、情報の流れ、人員の配置や役職・権限の種類等の「全て」を把握しておかないと、提案内容にズレや無駄が発生してしまいます。
お客さま以上に、お客さまの事を知ろうとすることが大切です。
クライアントA社のシステム部より、業務効率化のためのシステムX開発案件があり、めでたく受注した。
しかし、いざA社内に入ってみると、問題はシステム化がされていないことではなく、複数部門で業務が重複していることに起因していることが分かった。
A社内で業務再編となれば、システムXそのものが不要となることは必定であったが、そうなれば発注者であるシステム部の面目も丸つぶれであるため、システム部主導で開発はとりあえず進行していった・・・。
お客さまは、「自社に本当に必要なもの」に、ほとんどの場合、気づいてないものです。よって、発注者の要求が、お客さまの全社で見た場合の最適解であるとは限りません。事前のインタビューをしっかりしていれば、より有用で、包括的な案件となったかもしれません。
また、お客さまの全社で見て「全体最適」であっても、世の中の標準から見ると「遅れている」という場合もあります。
クライアントB社の営業企画部より、顧客管理システム開発の案件をもらった。
先方窓口のM次長を介してユーザーヒアリングを繰り返し、明日、正式契約というところまで漕ぎ着けたが、突然M次長より「今回はご縁がなかったということに・・・」という連絡が。事情を聞いてみると、社内稟議の段階で財務担当のN専務が費用面で納得しなかったとのこと。
M次長の根回し力不足を恨んだが、それ以上に、これまでN専務との面談機会を設けていなかった自分の責任も痛感されてきた・・・。
企業は組織として運営されています。BtoCとBtoBの違いは、意思決定が個人(つまり1人)で行われるか、組織で行われるかということです。お客さまは複数の意思決定プロセスを経て、最終的な結論に至るわけですが、「社内調整は当然行われているもの」と考えるのは早計です。
直接お話ししている担当者の要求が、お客さまの全社で見た場合の最適解であるとは限りません。その対策として、できる限り、関係者にコンタクトを取っておくことがリスクヘッジとなります。
その機会がなければ、こちらからリクエストします。また、提案資料等は、社内のどんな人でも理解できる内容にすることが大切です。
大前提として言えるのは、まず自社の都合はまず「置いておく」ことです。
また、お客さまの要望が全てだと思わないことです。その大前提を踏まえてニーズを洗い出します。
仕事には、一緒に仕事をしている社内の人や取引先の人、その先のお客さま、という具合に「相手」が必ずいます。
全ての関係者に不便をかけていないか、手の立場になって考えることが、問題を発見し解決するために重要なことです。自分がお客さまだったら、してほしいと思うのは何かという視点でも考えてみましょう。
仕事がやりにくいなぁ、と思うのはどんな時でしょうか?
そこには必ず、ムリムダがありませんでしたか?ムリやムダがあるとミスも起こりやすくなります。自分の今までの経験を振り返ってみましょう。それをなくすことが「ソリーション」です。
<ムリ・ムダ・ムラの例>
仕事というものは、会社という組織で達成していくものです。組織の目標に照らし合わせ、改善できるものはないか、一つずつ検討します。
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