★モチベーションが落ち気味の営業担当者のお悩み
お客さまの所に行った際に、必ず売って帰ろうと思っているのですが、全然売れません。私はメーカー勤務の営業です。都市周辺と比べて、不利な地方エリアを担当しています。
上司からは、コストがかかる割に成果が小さいということで、無駄な訪問は減らすように言われています。その方針に従って、私は頻度を落として「必ず売って帰るぞ」と根性の営業を行っていますが、なかなか受注はできないし、成果は落ちる一方です。
私は営業に向いていないような気がしてきました。
★営業成功のヒント
商談は目標を持って、細く長く、ニーズが見えたらスピーディーに決める!
営業の基本は、長期的な取引関係の中で収益を極大化することです。よって、営業を行う際には、「お客さまにニーズが生まれた時に一番近くにいる」ことをまず心がける必要があります。
私自身、営業担当者として、売上が欲しいときは、「一発で決める!」と気合を入れて、商談に臨んでいました。
時には成功しましたが、ほとんどの場合、お客さまが怖がって、思ったより成果が上がりませんでした。逆に、実績が出ないと疲れてしまい、逆に意欲が落ち、訪問回数もどんどん落ちていきました。
そこで、「売る」ことに焦らず、「お客さまに会社や自分の名前を知ってもらう」「お客さまと仲良くなる」などの商談の目的を立て、営業訪問をはじめると少し気が楽になりました。
その結果、お客さまからどんどん商品に関して相談されることが増え、売上がどんどん上がっていきました。訪問1回で商談を決める気合は大いに賞賛しますが、それよりは、「細く」「長く」取引を続かせることを考え、訪問回数をこなせる営業をしたほうが簡単です。
初回には、自分に好感をもっていただき、顔や名前を覚えてもらうことに加え、自社と商品を知ってもらうことが一番の目的となります。
2回目以降には、情報収集(お客さまニーズの把握)を主たる目的として訪問します。もちろん、こちらからの情報提供も行いますが、気持ちよくお客さまにお話しいただくことを一番に心がけます。
数回の訪問を通じて、お客さまのニーズを確認したら、提案書を作り、ご提案します。
さらに、お客さまの購入意思を感じ取ったら、契約・購入していただくことを目的に訪問します。
お客さまにニーズが発生しないと商品は売れませんので、情報収集の訪問が増えるのは仕方ありません。ただ、お客さまの潜在ニーズを発掘して、提案に持っていくのは、営業担当者の腕です。
話し好きの営業担当者は、コミュニケーション強化と称して、無駄話で時間を潰してしまうことが多々あります。商談時間が長いことは、営業効率を妨げる最も大きな原因です。
また、話が長いと、お客さまは「早く話が終わらないかな」というように内心飽き飽きしており、それが続けば、次第にお客さまから敬遠されるようになってしまいます。
クロージング以外の訪問は粘るより、目的を達したらあっさり帰りましょう。
商談の時間を短くするとアプローチ先を倍増できます。営業は、いかにアプローチ先を増やすかが勝負ですから、一件あたりの商談や電話は少しでも短くするべきです。
商談の時間をきっかり「30分」に設定するのはいかがでしょうか?長くなっても「45分」とするのです。そうすることで、訪問時間が「60分」の時よりも、格段に訪問数が増加します。結果は数ヵ月後の営業成績に必ず表れます。
商談の時間を「30分」と短くした場合、特に商談の際のシナリオ作りが必要です。
「質問事項」「同行者との役割分担」、「お願いすべき事柄」、「次回訪問の理由づけ」などを事前に決めておきましょう。成り行き任せの訪問は不可です。
ヒューマンスキル頼みの「お願い営業」だけでは大きな仕事はできません。
★好き嫌いのある営業担当者のお悩み
私は元々、人の好みがはっきりしており、営業をする際にも話を盛り上げることが苦手です。会話のスタートできっかけを失うと、ぎこちないまま商談が終わってしまうことがよくあり、困ってしまいます。合わない人ともうまく会話を進めるにはどうすれば良いのでしょうか。
★営業成功のヒント
主語を相手にして話し始めます。商談相手を「話題の中心」にすることが、最も簡単に話をスタートさせる方法です。
営業の経験と常識力の違いで、ベテランと新人の差が大きく出るのがこの部分です。
まず、お客さまのことを心の底から認めましょう。相手の良いところを見つけて、それを話題の中心にします。つまり、相手が主役かつ、楽しい話題を中心にして、会話を展開していきます。
以下、相手の長所をみつける参考例をご紹介します。
【例1】環境をほめる
部屋や眺めは、相手の「富」や「センス」に直結するものです。ほめられる限り、ほめておきましょう。私自身は、美術品が好きなので、良いものがあれば、その謂れを聞き、ほめるようにしています。自分も楽しいですし、会話もはずみます。
【例2】受付の応対をほめる
「すばらしく丁寧な応対ですね」「ご挨拶がいいですね」というように、受付の方の対応が良い場合もほめておきましょう。
「お金持ち」は特に応対に気を遣っているものです。逆に言えば、受付が汚い、受付の応対が悪い会社は与信上問題がある場合が極めて多いです。
営業対象としては再考を要すると考えて良いと思います。また、個人の場合には、ご家族の応対が良ければそれをほめます。電話の出方、玄関の庭木、玄関の清掃状態などです。
【例3】新聞記事、雑誌記事、社内異動通知、相場などを話題にする
これくらいの話はすぐできます。新聞を読むだけで話題には事欠きません(各業界の業界紙を読んでいれば最高ですが)。
まず、「相手の会社のことを知っている」、「調べた」と思わせることが重要です。ホームページを良く見ておくのも重要ですが、あまり更新頻度が高くない場合はフレッシュな話題にならないので、新聞の方が有効でしょう。
新聞に自社が掲載されることは、相手の会社の方にとっては非常に嬉しいものです。「貴社の会社のことを十分に知っている」ということをアピールします。
【例4】売上高、利益額、社員数、そして各々の伸びを話題にする
公開企業であれば、新聞・インターネットからこれらの情報はすぐ入手できます。まず、これらを話題にするのは非常に有効です。デキル営業担当者が演出できます。
会社の規模にもよりますが、「どれだけ長くその仕事をやってきたか」「どれだけその仕事の売り上げが高いか」を説明します。 現時点で会社にアピールするだけのものがない場合には、業界をアピールします。業界が伸びていて、その中で当社が真面目に頑張っている、ということをアピールしていくのです。
自社も知られていない、他社も知られていない、そういう業界もありますね。たとえば企業研修業界なら、「マーケットは3,000億円規模なんです」「他社も使っています」と、アピールしていきます。
次に自己アピール、ということになります。嫌みなくアピールするポイントは、出身地、年齢、などでしょうか?ただ、お客さま中心の話題にするためにはさりげなくで十分です。
★とにかく話好きの営業担当者のお悩み
70歳代のご婦人から高額商品に関するお問い合わせがあったので、「やった!お金持ちだ!絶対に売ろう!」と思い、とにかく商品説明を一生懸命しました。 お客さまはよく聞いてくださり、私は気持ちよくお話ができました。雰囲気はすごく良かったのに、購入はしてくださいませんでした。がっかりしました。
★営業成功のヒント
話すよりもお客さまの話をきく。そうすれば、お客さまの信頼とニーズが手に入ります。
営業にとって、お客さまと親しくなったら、次はニーズの調査です。何が欲しいのか、なぜ欲しいのか、いつ欲しいのか、などを探ることが仕事になります。 時には、お客さまには気づいていない「ニーズ」もあります。そのためには、お客さまの話をきく必要があります。
お客さまの話は、お客さまがどんな背景、気持ちでお話しされているのかも想像しながらきくことが求められます。 お客さまが「御社の商品はいらない」と言った場合、今、経済的余裕がないだけで、近い将来ニーズが発生する場合も多々あります。 自分の中で仮説を立てて、自分の知っている様々な情報を加味して、総合的に判断することがまさに「きく」なのです。
お客さまの話を楽しそうにきくのは当然ですが、できる営業担当者は、表情に強弱をつけます。 自分の聴きたいセールスに関係する話のときには、目や表情が輝くのです。お客さまは、それに釣られて、営業担当者のききたい事をどんどん話してしまいます。 きき上手な先輩がいれば、表情をよく観察してください。必ず、このような顔の変化があります。
★ナレーター部出身の営業担当者のお悩み
セールストークをどんな内容にすればいいか迷っています。
私の売っている商品はライバル各社と比べて、高いメリットがあると思います。
ですから、私は自信を持って、自社製品のアピールを行っています。でも、なぜか社内で私だけ全然売れません。
学生時代、ナレーター部にいたし、説明も結構上手だと思うのですが・・・もう、セールストークがだんだんわからなくなってきました。
★営業成功のヒント
『教えてもらったセールストークが言える』ようになった後、次の課題は「自分で自在にセールストークを展開すること」です。お客さまのニーズをセールストークに反映させましょう。
セールストークで最初に教えられるのが、「自社」や「自社商品」の優秀さのアピールです。その際には、必ず、自社や商品・サービスを「主語」として、アピールしていると思います。
たとえば、
このようなセールストークばかりでは、「なんか自慢話ばかりだな」「もっと、役に立つ情報が欲しい!」と、お客さまは飽き飽きしてしまいます。
お客さまを主語にして、話題を形作ってみると、活きたセールストークができます。
・・・などのようにです。
また、お客さまの関心は多様です。ですから、その関心に応じて、セールス内容を変えていかないと、効果的なセールスにはなりません。 例えば、同じ商品でも、多様な魅力がありますが、お客さまの関心によって、アピールする点を変えなければ、活きたトークにはなりません。 つまり、自分の言いたいことではなく、お客さまの聞きたい話がセールストークなのです。
たとえば、パソコンの販売を例にすると・・・
「この商品は、昨年のモデルより、価格性能比半値になっております。昨年パソコンを購入されないで良かったですね」
「この商品は3年間保証となっております。一般的には1年保証ですから、3倍安心ですね」
「この商品はイタリアの有名なデザイナー○○××の作です。飽きの来ない商品です」
営業担当者は、お客さまに「買う理由」をご呈示することが必要です。 お客さまがわずかに気づいたニーズをだんだん大きくして差し上げるのです。 そのためには、セールストークの中に、買う理由がすっきり3つぐらい入っていないと、なかなか購入にまで結びつかないものです。
例:「この蛍光灯を購入いただければ、電気代が年間1,000円削減可能です」「儲かります」
もっとも合理的かつ明快な理由です。理由の中で最強です。ただし、この場合は、費用対効果を明確に説明できないと印象が弱くなります。ベストはそれらの金額を具体的に数字にすることです。
例:「当社定価より、30%OFFです」「他社より、10万円は安いです」
もっとも簡単にアピールできるのがこのポイントです。安いことは、とても説明しやすいことです。
例:「インソースの研修は受講者の90%以上から高い評価を得ております」
品質の高さもアピールポイントになります。同じ買うなら「良いもの」をお客さまは購入します。
例:「『個人情報保護法』や『J-SOX法』にもちろん適応しております」
新しい法律に対応する必要があるお客さまにとっては、罰せられたらたまらないですから、「買う理由」としては、極めて有効です。
例:「エコロジー化の進展の中...」
みんながなんとなく納得してしまう内容(エコロジー、少子化など...)
例:「震度6強の地震にあっても大丈夫です」
リスクヘッジ効果があるというのも有効です。費用対効果は明確に出しにくいものですが、心理的効果は高いのではないでしょうか?
例:「冬の動物園では雪の中をペンギンが行進する姿を見られます」
新しい魅力があると、好奇心を呼び、高い評価が得られます。
繰り返しになりますが、お客さまにとってメリットとなること、お客さまが興味を持つこと・・・などがセールスポイントです。最もアピール力のあるのは、「お客さまが気に入っている点」を繰り返し、こちらがセールストークとして言うことです。
お客さまは営業担当者に気を許していれば、たいてい、気に入った点を機嫌良く教えてくれるものです。 それを繰り返し、こちらが言うのです。それが最も簡単なかつ有効なセールストークです(お客さまが考えていることと同じなので必ず、お客さまは喜びます)。
営業担当者はあくまでも、お客さまと相対して、それに応じてセールスを組み立てるものと考えてください。
★変額商品販売に苦しむ窓口担当者のお悩み
私は銀行で金融商品を販売しています。先日、投資信託を買っていただいたお客さまから、「1年前に買った投信を売却すると損が出るとは何事か!」とお叱りがありました。
そこで私はお客さまに「ご購入時に説明させていただいたと思いますが、値段が下がる場合がございます」と丁寧にご説明しました。
しかし、お客さまは「私はそんなこと聞いていない!」の一点張りでご納得いただけませんでした。お客さまとの認識の違いをどのように防いだらよいのでしょうか?
★営業成功のヒント
お客さまとの理解度・認識の違いを考えて商談にのぞむ
お客さまと営業担当者である自分の認識をすり合わせるのは絶対に必要です。それは商品・サービスについてのお客さまと自分の知識が異なるからです。
銀行員である自分は投資信託が変額商品(途中でその商品の価格が変わるもの)であり、値段が変わるのを知っています。
しかし、初めて投資信託をご購入されるお客さまは「銀行で売っているものは値段が下がらない」というイメージを持っていて、投資信託も値段が変わらないと考える可能性が高いと考えられます。
このようにお客さまと自分が商品について知っていることは違いますので、認識の差をすり合わせる必要があります。お客さまがその商品を初めて買うときなどは、特に注意が必要です。
お互いの「思惑」も当然違います。売る側は、基本的には売ったら終わりです。しかし、お客さまは、買った後、自分のために何をしてくれるのかを見ています。「釣った魚にはえさをやらない」というのが一番良くありません。
なぜなら、お客さまとのお取引は長期的に考えるのが営業担当者の基本です。買っていただいた後、新しいセールスが始まっているのです。
営業担当者は「これから買っていただくお客さま」を大事にしがちですが、「一度買っていただいたお客さまをどれだけフォローしていけるか」で、後々の売上が変わってきます。
★今はデキる中堅営業担当者のお悩み
私が営業として、単独で訪問し始めて間もないとき、価格交渉に慣れておらず困りました。
価格交渉のルールやパターンがあれば事前に知っておきたかったです。これから動き出す新人たちのために、価格交渉のパターンやルールがあれば教えてください。
★営業成功のヒント
標準価格販売が営業の基本。ただし、価格交渉になれば、相互利益を目指す。
価格交渉はできればやらず、標準価格販売で済ませたいものです。しかし、競合他社が存在する業界では、価格交渉なしでは済まされないのが実情です。
実は「標準価格」とは、商品やサービスを安定して提供できる価格のことです。
ですから、値引き販売を続けていると、企業は安定した品質の商品やサービスを長期的に提供できないことになり、お客さまにとっても、結局は損なお話になってしまいます。
商談はまず自社のサービスや商品のメリットをご説明するところから始まります。
お客さまがそれを理解し、購入したい気持ちが高まったことを確認してから、価格について説明を始めるのが望ましいです。
まずは、自分から機を見て、標準価格を提示します。お客さまがそれを受諾すれば、当然ですが価格交渉にはならずに商談は終わりです。 それに対してお客さまが「もう少し何とか・・・」というような返答をした時に、価格交渉が始まります。
価格交渉をお客さまから求められた際には、まずは価格以外のメリットを強調し、ご納得いただくのが基本です。 安易に値引きをするのではなく、できるだけ、価格以外のメリットに気づいていただき、価格は守るのが営業担当者としての基本です。
しかし、商談の中でお客さまから「価格を下げないと他社から購入する」というような言葉がお客さまの口から出た時には、価格を下げることも検討すべきです。 取引は長期的に継続することが大前提なので、誠意を持って対応します。
価格交渉に備えて、以下のことを事前に調査したり、意識しておきます。
最低ラインを超える要求をされたときの「相手が理解できる値引きができない理由」「相手の情に訴える言い訳」を用意して、価格交渉に臨みましょう。
営業担当者にとって、価格交渉の「成功」とは、どのような決着を見ることでしょうか。こちらが希望する価格で納得していただくことでしょうか。
そうではありません。お互いにとって良い決着金額に落ち着き、お互いが納得した取引ができることが最高です。
Win-Winの関係を保ちつつ、「こちらは、単価を下げるので、そちらでは取引量をもっと増やしてください」というようなギブアンドテイクの条件を出していきましょう。
当然、こちらの要求ばかり主張するとうまくいきません。また、具体的な価格や取引量の線引きを提示しましょう。「ここまではできますが、これ以上は難しいです」という点です。
商談の中で注意したいのは、競合他社がいるにもかかわらず、「もう少し価格を下げて・・・」と要請してくれないお客さまもいることです。
すなわち「交渉の余地がある」ということを自分からアピールしないと、お客さまも交渉に入ろうとせず、標準価格で判断して、断られてしまう恐れもあります。
これは競合他社の存在を考えた場合、非常にリスクの高い商談となります。値段が高い会社と判断され、価格の安い競合他社が選ばれるからです。
まずは、「価格はご満足いただいていますか」と聞くことです。
★比較的無口な営業担当者のお悩み
私は提案書をちゃんと作れるし、お客さまの話もよく聞いているほうだと思います。しかし、押しが強いタイプではないせいか、お客さまにご納得いただくのがどうも苦手です。どうしたら良いでしょうか。
★営業成功のヒント
まず費用対効果で説得。それでもダメなら他人の評価を持ち出す。さらに、それでもダメなら泣き落とし?
商談を進めるに当たって、まずは利益、コストなど費用対効果で説得するのが一般的です。
「この装置を買えば、燃料費が10%削減されます」のように「こうすれば利益が出ますよ」ということを示すことは、セールスの王道です。
テレビでの通信販売のセールストークを思い出してください。これをベースに具体的にかつ多面的に説明していくのがポイントです。
というような点に注意が必要です。
ただし実際には「儲かります」だけではなかなかセールスはできません。 人は安心感から「いつもの会社」や「いつもの人」にこだわったり、「いつもの製品」を買いがちです。 ですから、他人の評価を教えたり、感情に訴えたりしながら、お勧めしていきます。
「費用対効果」で説得できなければ、それに加えて、他の誰かを登場させましょう。 人は、「他人の評価」に弱いものです。他社での活用事例、ご近所でのご利用状況、評価サイト、ブログでの評価、なんでもかまいません。 このような事例紹介は非常に有効です。特に著名な機関などが評価してくれるとセールス上はありがたいものです。
それでも、動かなければ、泣き落としの出番です。「私の進退がかかっているのでお願いします」とか、「会社が持ちません」のようなもので、相手の感情を深く突くのです。
昨年の9月、中間決算前に、弊社でこんなことがありました。
私は営業が受注を取れない辛さに同情し、必要なお金はないと思っていましたが、「たいへんだろうなぁ」と思い、借り入れることにしました。
私は優秀な営業担当者のテクニックに負けました。
実際、この方はまったく嘘はついていません。事実をタイミング良く(決算前!)、感情を使って効果的に説明したにすぎません。苦労人(私のことです)は営業トークとわかっていても、この手には弱いものです。
ただしこればっかりやっていると、人格を疑われかねないし、だんだん効果もなくなりますので、毎回毎回使えるものではありません。 しかしピンチの時には、こんな手を使って売上げを上げるのも営業担当者の「たしなみ」です。
お客さまが商品・サービスに納得しても、「買いたい」と心から思わなければ、売れません。「セールスされて、買って良かった」と思ってもらうことが大切です。
口は達者だし、頭はいいのに売れない営業担当者が時にいます。大変残念ですが、大抵の場合、我を通しすぎるのが原因です。そういう人は自分のプライドや立場を守ることにこだわりがちですが、これがセールスの邪魔をします。
そんな方は、相手に喜んでもらうには どうすればいいかを考えるのが得策です。「正しい、間違い」で考えず、相手が求めているかどうか?がポイントです。
相手が「嬉しい状況」を考えて交渉すればいいのです。あくまで、「相手の論理」で、多様な説得を試みるのがセールスです。
セールスにおいて、絶対やってはいけないのは、自社のコンプライアンス(法令遵守)ルールを厳守することです。 嘘を言ったり、金品を贈ったり、その他、不公正な方法でお客さまに取り入ることは絶対にダメです。営業担当者は会社の長期的な利益のために動くことを肝に銘じてください。
★小心者の営業担当者のお悩み
お客さまとの関係作りもできます。プレゼンもまあまあ得意です。でも、クロージングが苦手です。
「○○円で買ってください!」が言えません。「いらない、無理」と言われて、せっかく築いたお客さまとの関係が壊れるのが怖いのです。
どうやったらきっちりクロージングができるでしょうか?
★営業成功のヒント
最後ほど勇気を持ってはっきりと!
価格、数量、納期、購入条件、不明点は何かを明確に
私自身、クロージングが苦手でした。最初の提案はわりと好きだったんですが、粘り強く、条件交渉をして、買っていただくというプロセスは集中力が保てず、失敗の連続でした。 ただ年を取るに従って得た教訓が2つあります。「あせらない、がつがつしない」と、「クロージングは勇気」ということです。
「あせらない、がつがつしない」
商品を販売するチャンスというのは必ず継続するものです。1回だけしかチャンスがないということは稀です。ですから、2回目以降も「チャンスはある」と考えて、あせらず、自分で納得できる説明を心すべきです。
「クロージングは勇気」
また別の面からいえば、クロージングは勇気です。「この一言でお客さまを失うかもしれない」、「嫌われるかもしれない」と思うことが度々あります。
ただし、「この内容、この金額、この条件で、買ってください」といわなければ、絶対に売れません。これも2回目があると考えて勇気を持って当たる方がうまくいきます。
「このお客さまとは、ずっとお付き合いするぞ」と思いながら商談を進めると相手もそう思っていただけるものです。
「○○だと良いですね」「○○の場合、ご希望の△△が実現しますよ」などと言えば、お客さまが商品を使用する具体的なイメージを持つことができます。
たとえば、保険会社の場合、
「60歳になったときに500万円を受け取るか、60歳以降ずっと毎月5万円ずつ受け取るのが良いか、どちらが良いでしょうか」と具体的に示すことで、
お客さまは二者択一で考えていただけるようになり、売れる確率が高くなります。
クロージングの時点で「買ってください」という言葉を使わないという方法もあります。
「実務的な事柄をお互いに確認しましょう」と、事務的にセールスを終了させていきます。
契約書の書き方であるとか、支払いの期日であるとか、そんな事務事項を確認しあうことで、お客さまは「買うのが決定した」という気になっていきます。
「いやいや、まだ、そこまで決めていないよ」とお客さまに言われるかもしれません。そうしたら、何が気になって買うことに踏み切れないか聞き出すのがポイントです。
人間関係を先に固めておいてから、じっくりとお聞きします。お客さまの買えない理由をすべて自分で切り返して解決する必要はありません。じっくりと聞くだけで良いのです。
お客さまは自問自答しながら、だんだん決断していきます。
お客さまはすべて、だれかに強制されるのではなく、「自分で決めたい」という基本原則を忘れてはいけません。
小さい子供にお母さんが「○○ちゃんはピンクのお洋服が似合うわよ」と言っても「私は絶対、青いのがいい」なんて言い張って、バタバタしている子どもを見たことはありませんか?
人の心は子供のころからそう変わらないものなのです。「自分で決めたい」を尊重することがクロージングの基本です。
ですから、「お客さまがご判断下さい。でも、○○した方がいいですよ・・・」が基本トークです。
トラブルの元にならないように、お客さまとの契約や購入の意思確認は、書面などで確実に行ってください。意思確認の方法は、企業ごとのルールや業種によっては特別の法律がある場合もあります。注意してください。
★気弱な営業担当者のお悩み
私は気が弱く、最後のひと押しができなくて契約のチャンスを逃してしまいます。
先日も、お客さまのところに出向いた際に、追加受注のチャンスがあったにも関わらず、先方に「結構です」と、ひとこと言われただけで萎縮してしまい、二の句が継げませんでした。
上司には「商魂が足りない!」と言われます。でも、断られてしまったら何も言えなくなってしまいます。
自分を捨ててでも案件をとるために食い下がるべきなのですか?
★営業成功のヒント
断られたら、当然、切り返す。しかし、だめなら、きれいに負けるそしてフォローを継続して、次のチャンスを待つ
私がインソースを創業した頃、1週間に300本以上の電話営業をしていました。しかし、ほとんどのお客さまが「お断り」でした。
・・・などなど、正直、へこみました。
たとえお会いいただいても、大抵の場合、同様の理由でお断りとなりました。大きな壁を毎日感じていました。
営業活動の基本は「お断り」への対処です。ほとんどの商談は「お断り」となってしまいます。この「お断り」から、一歩踏み出してアプローチしていくのが、「営業活動」です。
お客さまは「なんとなく嫌」とか「先に会った営業担当者の方が好き」「もう、先に決めた会社があるから」「なんとなく、怪しそう」などを理由として、断ってきます。
しかし、お断りの理由は希薄な場合が多々あるのです。そんな時は、自社とライバルを、一つ一つ比較してもらうと説得しやすくなります。そうすると、自社のメリットが見えてきて、逆転の可能性も高まります。
その場で判断するのではなく、可能であれば、お客さまに時間を頂戴して、会社の先輩や上司に知恵や力を借りて、逆転する方法もあります。
特に「価格」など、負けている点が明確な場合には、上司の判断を仰ぎます。場合によっては、好条件が出せる場合があります。
私自身、「お断り」後、ねばって切り返すことを、実際はあまりやりません。
その理由は、交渉コスト(時間、労力)が多大にかかること、場合によっては大幅値引きなどを要求され、結果的に粗利が低くなることが往々にしてあるからです。
また、激しくアタックしすぎて、お客さまの心象を悪くし、二度とお取引いただけなくなることも不安です。
「お断り」については、お客さまも実は「痛み」を感じています。また、後味の悪さを感じています。「もっと予算があれば、買ってあげるのに」「上司が反対しなければ、買ってあげたのに」と思ってくれています。
ですから、お断りの後は、こちらが努めて明るく、継続的に「その後いかがでしょうか?」とのフォローを欠かさないようにして、次のチャンスを待つのです。
フォローを欠かさなければ、一定の時間の中で、新しいチャンスは必ず現れてきます。そして、必ず売れていくものです。
実際、私のお客さまには、数年前にご提案した時には断られた方が非常にたくさんいらっしゃいます。お客さまは断った後もじっと営業担当者を観察してくれています。
「またアプローチしてきたら買ってあげよう」と考えているお客さまが実に多いのです。
私は、「長期戦」をセールスの基本にしています。
「お客さまの気持ちと事情は変わる」と肝に銘じて、電話などで継続フォローを欠かさないようにすれば、「にこにこしながら」お客さまは待ってくれています。
★安易に見積もりを提出してしまった営業担当者のお悩み
先日、毎年お取引のあるお客さまに頼まれ、今年の見積もりを提出しました。毎年のことなので、例年通りの見積書を提出したところ、今年は発注をいただけませんでした。
営業に配属されて5年目。仕事に自信がついてきたところで甘さが出てしまったのでしょうか?
★営業成功のヒント
お見積もり提出に、例年通りは通用しない。毎年、発注を受けていても、油断しない。
毎年、同様の見積りの依頼を受けるケースがあります。たとえ、いつも発注をいただいているお客さまであっても、安易に昨年どおりの見積書を提出することは避けましょう。
実際に、自治体などでは、複数の業者に「参考見積」を取るケースが見られます。
そして、その「参考見積」を高くしすぎてしまってしまうと、入札に声がかからないケースもあるのです。少なくとも上位2社くらいには入っておくようにしたいものです。
参考のつもりで出した見積もりをふるい落とし(ほぼ本見積)に使われてしまうことがあります。理由は結構単純で、『改めて各社に見積を依頼するのが面倒』だからです。
「そりゃないよー」という声もあるかもしれませんが、真実です。もちろん、まじめにきちんとしたステップを踏む担当者さんもたくさんいらっしゃいます。
とにかく、後になって泣きを見ないように、既存案件については、「前任者や上司によく相談」してから提出してください。
新規案件については、失うものはないので思い切っていくのも良いでしょう。
★押しが弱い営業担当者のお悩み
私は、押しが弱いせいか、もう少しで受注というところで他社に切り替えられてしまうことが多々あります。
ライバルに打ち勝つ方法はないものでしょうか?
★営業成功のヒント
5分、30分、48時間ルール守り、ライバルを寄せ付けない
できる営業担当者は商談から帰ってから、お客さまとの間で持ち上がった懸案事項を即座に回答します。
問合せに対しても、同様です。お客さまからのご要望に対して、「すぐに対応します」と言ったら5分以内に対応、「後ほど対応します」で30分以内に対応「後日対応します」なら2日、
48時間以内に対応というようにすばやく行動します。
再訪問することになった時、間が空きすぎるのは厳禁です。お客さまに自分の印象が残っているのは48時間です。その間に、次のアクションをおこします。
次のアポイントを取って、翌週には再度ご提案させていただきます。アポまでの間も2日空けずに連絡を取るぐらいのスピード感とピッタリ感で食い込んでいかないと、チャンスを失ってしまいます。
とにかく早め早めに手を打つことが必要です。
お客さまは「無邪気」に営業担当者を裏切るものです。もっといい提案が他社からあれば、今までの関係、当社の思い入れは一切考慮せず業者を切り替えるものです。
それを防ぐためには、お客さまに考える暇を与えない、競合他社をお客さまの元に侵入させないことです。もちろん、お客さまに、「他社と会わないでください」と言うわけにはいきません。
こちらがいかにお客さまの興味を惹き続けられるかどうかがポイントです。そう考えると、48時間ルールは当然です。
★ライバル会社に負けたくない営業担当者さまのお悩み
競争の激しい業界で働く営業です。自信を持ってご提案した商品なのですが、先方は「見積り金額が他社より高い」と渋い顔をされています。それって、暗にお断りされているということでしょうか?
せっかくここまでこぎつけたのに! このまま私は黙って引き下がるしかないのでしょうか?
★営業成功のヒント
「他社より高い」と言われたら売れるチャンス!強気に交渉して、確実な受注に!
まずはお客さまの立場になって考えてみましょう。どのような場合に、こういった言葉を、営業であるあなたに伝えてくるのでしょうか?
「そもそも商品を買う気がない」「商品は他の会社の方が良い」のであれば、わざわざこのような言葉は選びません。
「買いたい。商品についても他社よりも良い。しかし、値段をもう少し下げて欲しい」時にお客さまはこのようにおっしゃるのです。
黙って引き下がるなんてもってのほかです。また、言われた通りに見積もり金額を下げてしまう必要もありません。むしろ自社の商品を評価してもらえているのだと、自信をもって価格交渉を行いましょう。
価格交渉を行うにあたって確認すべき事柄は、必ずその場で確認しておきましょう。値引きを行うにあたって、社内に持ち帰り、価格の調整を行う必要があります。
適正な価格を提示するため、そして社内で上司の了承をスムーズに得るためにも、現状をしっかり把握しておきましょう。
特に重要な確認事項は、
確認事項1は直接そのまま聞くことはできないまでも、「何社ぐらい見積もりをとっているのか?」「どちらから見積書をとっているのか?」「どこが最も安いのか?」などを質問し、それとなく確認するといいでしょう。
時には、最初の見積もり金額だけは安く、あとあと追加費用が加算され、結局、自社の見積もりよりも高くなってしまうケースもあるので、「自社と他社の見積内容は同じか」どうか(確認事項2)についても、しっかり確認しておきましょう。
なお、購入希望金額(確認事項3)は、あくまで目安として聞いておきましょう。ほとんどの場合、言われた金額そのままに値下げをする必要はありません。
先述のとおり、お客さまは皆さまの会社の商品を『買いたい』と思っています。多少高めの価格を強気に提示し、お客さまの反応を確認した上で、必要とあれば再度値引きを検討する、といったスタンスで価格交渉を行うと、利益の確保が可能になります。
★広告代理店営業担当者のお悩み
お客さまからご依頼のあった「中途採用50名」という目標を達成するため、様々な広告を打ち出しましたが、残念なことに採用数は未達でした。
やむなくお客さまは、追加広告を実施し、採用者数の拡大を図ることに。結果的に追加発注をいただきましたが、その際、「現在の価格から30%」という大幅な値引きもあわせて要請されました。
元々受注金額は採算ぎりぎりの水準なので値引きはもう無理です。
★営業成功のヒント
即座に「無理です」と言わないのが営業としての誠意。時間をかけ、小刻みな価格提示を行う。
お客さまは、営業担当者の「誠意」を見たいと考えています。 その表現として「値下げしてくれ」と言うのです。ですから、まず、誠意の表現として、「検討してみます」や「がんばります」とお伝えします。 間違っても、「無理な要求を出しやがって!」なんてお客さまのことを悪く思ってはいけません。 万一、対応できない場合でも、後々の取引につながる負け方をしておきましょう。誠意を持ってお客さまと接することです。
「応じられない」としても、あるいは「多少なりとも値引きに応じることが可能」としても、不用意にその場で承諾すると、のちのちトラブルの元になってしまいます。 ですから、まずは一旦、社内に持ち帰るようにします。その理由は、基本的に、会社として、最終的にいくら値引きできるかの方針を上司とすり合わせる必要があるからです。
多少なりとも値引きに応じられる場合は、採算を見つつ、着地の金額を決めて、万円単位で値引く⇒千円単位で値引く⇒百円単位で値引くというように、徐々に金額を下げていきます。 最終的には十円単位での値引きとなります。細かく刻んで金額を提示することで、交渉が決裂するリスクを減らすことが可能になります。
私の経験では、交渉時間が長くなれば、お客さまは「時間をかけたんだし、この会社で購入しよう」という心理になりがちです。ですから、時間を味方にして、交渉していくのが得策です。
どうしてもご要望に応じられなかった場合は、「この価格が限界です。今回は何とかこれでお願いします」「せっかく、ご提案の機会をいただきながら、力が及ばず残念です」などとお伝えし、お客さまの反応をみます。 後に悪い印象が残らないように注意しましょう。
ただ、度々、無理なご要望をいただく場合には、長期的な利益を考え、お取引を辞退させていただくことも考えましょう。
私は、「一定の利益が取れない取引のお客さまは続かない」と考えています。結局、利益が低過ぎると、会社として積極的な気持ちで取引できません。
そのため、小さな事でお客さまとぶつかったりして、結局、取引が長続きしないことが多々あります。ただし、取引をこちらから解消する際には、上司との相談が必要です。
さて、冒頭にご紹介したお客さまの値引き要請に対する対処法としては、はじめにご提供価格は元々値引きされており、「限界」近くの値段である事実を伝えます。
そして、誠意を込めて、「がんばる」意志を伝え、上司の確認を取るため持ち帰ります。社内でねばり強く交渉した後、「上司に掛け合いましたが、ご希望には届きませんでした」とお話し、若干の値引きを提示します。
加えて、お客さまには「これ以上、自社では値引きが無理」である旨を伝えます。
それでもまだご納得を頂けない場合は、上司と再度相談し、さらに100円単位で値引き交渉をします。
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