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ENERGY vol.15(2024年秋号)掲載

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日本組織の強みを引き出すシステムが作りたかった

日本企業・組織の特徴

日本と海外、いずれの地でも従事した経験から感じたこととして、日本の企業・組織は、従業員の教育や成長に関して、人事部や経営陣はもちろん、上司や同僚までが関心を持つという独特の文化があります。

例えば、日本では4月に新人が一斉に入社・入職して、すぐに研修が行われます。そして、その新人研修での態度や姿勢、あるいは習熟度などが配属先の上司にまで共有されます。入社・入職半年後には「新人・フォローアップ研修」として、配属後に困っていること、あるいは嬉しかったことなどを共有する場を設けて、さらなる成長に後押しをすることは、ごく普通のこととして想像できるかと思います。そして、管理職に昇進する際には「管理職研修」として数日間の教育を実施することも珍しくないことです。

これらの文化が昨今では少し薄れていると言われる方もいらっしゃいますが、それでも「入社・入職してからもビジネスパーソンとしての成長を促し、それを見守る」という想いをもつ組織が多く存在します。

海外企業・組織、そしてビジネスパーソンの特徴

一方で、海外ではどうでしょうか?例外はあるかと思いますが、海外では「育成をしないと使えない従業員は必要ない」「もし、入社後に足りないスキルがあれば、それは従業員自身のコストで教育を受けて補完してもらわないと困る」という考え方が浸透しています。

事実として、多くの国では「その年に大学を卒業した人の大多数が4月に一斉入社する」という、いわゆる「4月一斉入社文化」ではなく、「通年採用」が一般的です。

例えば、大学院に通いつつどこかの企業でバイトとして従事し、スキルが認められたらその企業で正社員になる、あるいは資格をとったら別の会社で採用してもらうなど、いつ就職できるかはその人次第です。ですので、海外事業所で若手の採用を行っている際には「海外の若手は何て優秀で、成熟しているんだ」とびっくりしたものです。

ただ、そうした「一見、成熟した若者たち」と働いているうちに大きな落とし穴も体験しました。それは、一般論には強いが各論に弱く、特に自社・自組織の置かれた環境、強み弱み、競合の情報に合わせて具体的に考えられないということです。自身の知っている「一般論」でうまくいかない場合は退職するという人も多くいました。

この20年、国内でも若手の離職率が高まっているとは思いますが、転職が一般的な海外のそれとは比にはなりません。日本のビジネスパーソンの粘り強さ、レジリエンスの強さは「入社・入職してからも成長を促し、それを見守る」という文化に依るものだと思い知らされました。

海外のLMSを見て感じたこと

当社での私の最初の使命は、教育のプロフェッショナル企業としてLMS(Learning Management System)をオリジナルで作ることでした。これが現在の「研修・教育管理システムLeaf(リーフ)」となっています。

この使命を与えられた私は、まずは市場に出回っているLMSを調査しました。

その結果、市場に流通しているほとんどのLMSは海外のシステム会社が作成したものを日本用にアレンジしたものでした。日本語への翻訳もどこか不自然で、例えばアンケートに回答するボタンの名前が「答えろ」となっていたり(恐らくは「answer」という英単語を直訳したのでしょう)、マニュアルすらも英語のままで、とても使いやすいものとは言えませんでした。

オリジナルLMS開発の根底にある想い

さらに、何よりも違和感を覚えたのが「スキルの補完は自己責任」という価値観がシステム仕様に現れていることです。当然、eラーニングが中心であり、いわゆる「集合研修」や「セミナー」の運用などは全く考慮されておらず、何より、上司が教育に介在する機能がほとんどありません。

また、eラーニング用の教材に関しても動画ファイルをそのまま使えることは少なく、SCORMという形式にしなければならない。そしてSCORMの仕様もLMSごとに異なるために、LMSを他社に乗り換えると使えなくなるなど、作り手側の既得権益を押し付けるような仕様のものがほとんどでした。

従業員の成長を促進して見守りたいという想いで、タイムリーな教育を数多く実施したいと思っている日本企業・組織にはそぐわないことが分かり、だからこそ、そんな日本企業・組織を支援するためのシステムにしよう、そして、それこそがビジネスチャンスだと強く感じました。

教育のプロ・インソースのLMS「Leaf(リーフ)」が実現したこと

「入社・入職してからもビジネスパーソンとしての成長を促し、それを見守る」という良き文化は、きっと日本企業・組織の強さを取り戻すと感じた我々開発チームはLeafに様々な工夫を施しました。(図1参照)

他のLMSベンダーが実施していないことを実現するために、開発においては様々な苦労もありました。しかし、社内エンジニアたちの努力もあり、日本の企業・組織の教育に必要な機能を176種類(※1)搭載することになりました。 そして、アクティブユーザー数は400万人(※2)を超えることになり、教育のプロ・インソースとして、教育に強みを持つ日本企業・組織の皆さんに自信をもっておすすめできるLMSとなりました。

しかしながら、従業員の教育というのはまだまだ奥深く、まだシステムでは実現できていないこともあります。

教育のプロ・インソースは、176種類の機能で満足せず、さらにお客さまの教育を充実させるために開発を続けていきます。ご期待ください。

(※1)1,101社のLMSベンダーを調査したところ日本No.1の機能数
(※2)2024年8月末時点。累計ではなくアクティブユーザーの合計数

文/田中 俊

株式会社インソース執行役員ITサービス事業部 部長。大阪大学理学部卒。食品企業の営業・マーケティングやコールセンター役員、インキュベーターとして海外事業の立ち上げ等を経験。2013年9月インソース入社。人事サポートシステム「Leaf(リーフ)」の事業責任者として、初期開発からストレスチェック機能、評価シートWEB化等の新機能や関連サービスの構築に広く携わる。2016年8月から執行役員に就任。

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2024 AUTUMN

Vol.15 日本最大級のLMS

Vol.15は、eラーニングシステム/LMSの「Leaf」がテーマです。 当社最新のLMSである「Leaf Lightning」に焦点を当て、なぜこのシステムが日本企業の教育に適しているのかを、 導入企業のインタビューと、約10年前に描いた、当システム開発の背景を基にお伝えします。 LMSの活用事例も多数紹介し、教育のDX化を行うための情報が詰め込まれています。

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