新入社員を対象に、DX教育(IT教育)を行うことを通して、全社のDX推進を進めた。 新入社員へのDX教育が、世代間の会話のコミュニケーションツールとなり、デジタルに縁遠かった社員にまで、DXに関心を寄せるようになった。
経営戦略として、工場のスマート化・デジタル化を掲げていた
社内でDXの先行事例があり、それをさらに拡大させるための施策として検討していた
潜在的な素質の高い新人達がもっと活躍できるフィールドを考えていた
新入社員からDX教育を始め、選抜社員、DX研修の受講希望者と、順々にデジタルリテラシーを持った人材を増やす施策を検討。
新入社員へのDX教育が、上司と部下など世代間の会話を生み出し、職場全体でも、改善活動などをはじめとした、DXに関する会話・行動が増えた。
生産管理部門の新入社員14名(+選抜者15名)
時間に余裕がある新人の方と、社内での成功事例を作った選抜者を対象
新人は2020年5月~9月、選抜者は7月~11月
DX推進のための知識やスキルの習得を目指す、9講座計15日間(AI、RPA、プログラミング(Python)、統計解析など)を実施した。毎回研修後に課題を課し、知識やスキルの定着を図った。実際に、IT部門やITコンサルタントに配属されるような対象者が受講するカリキュラムで学ぶことにより、データやシステムを利活用できる人材を大きく増やした。
①システム開発と業務改善への理解を深め、実際にRPAツールをさわる(2日間)
②在庫管理システムのWEBアプリ開発を通して、デジタルリテラシーを高める(10日間)
③ビジネスで使える統計とAIを学び、データを現場で活用できるようになる(2日間)
④要件定義書を作成できるようにし、実際に現場でプロジェクトを進める(1日間+現場)
各研修テーマについて、次のステップで習得し、知識の定着を図っていただきます。
研修実施の前に、取締役から新入社員に向け期待を込めたメッセージを発信。研修への取り組む姿勢を高めました。
新入社員を対象とした背景には、デジタルネイティブ世代であり、もともとITリテラシーも高いこと、そして時間に比較的余裕もあったことが挙げられますが、、最大の理由は「今行っている仕事」に対しての固定概念に縛られない柔軟な発想力と、将来のDX人材の中核となることを期待したためです。
システムを実際に開発するSE(システムエンジニア)などではなく、システム開発を依頼する側として、知っておくべき知識として、システムの種類や良いシステムの要件、開発の費用対効果、開発の手順やポイント、業務改善や業務フロー作成についてなどを学びます。また、実際にWinActor®を使ってRPAを作成することにより、業務と業務フロー、システムの連動もあわせて学んでいただきます。
※「WinActor®」はNTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。
→事後課題(1週間):
研修の流れに沿った4つの業務フロー図(現状の業務フロー、改善後の業務フロー、RPA導入後の業務フロー、システム化後の業務フロー)を作成
RPA/WinActor®研修 初級編~データ転記からRPAを始める(1日間)
→事後課題(1週間):
WinActor®を使って架空の業務を自動化するシナリオを作成
応用範囲の広いPython言語を用いて、10日間かけて実際にWEBアプリケーションを作成します。また、研修テーマごとに事後課題を行うことにより、研修で学んだスキルの定着化を図っています。
1日目は、Figmaを用いて在庫管理システムのプロトタイプを作成できるようにします。2~3日目には、システムへのデータ登録・抽出を行うためのSQL言語を学びます。4~7日目には、設計したプロトタイプから画面を作り、動かすためのHTML/CSS/JavaScriptを学びます。最後に8~10日目には、Python言語を学習したうえで、学んだすべての内容を活かして、WEBアプリケーションを作れるようになっていただきます。
プロトタイピング研修~Figmaによるシステム画面設計編(1日間)
→事後課題(1週間):
架空の業務(在庫管理)を効率化するための在庫管理システムのプロトタイプを作成
→事後課題(1週間):
在庫管理システムで必要な、データベースへのデータの登録・抽出するためのプログラム(SQL)を作成
→事後課題(1週間):
前課題で作成したプロトタイプを元に、HTML/CSS/JavaScriptを使った在庫管理システムの画面を実際に開発
(プログラミング初心者向け)Python入門研修~Excel操作とWebアプリケーション開発体験編(3日間)
→事後課題(1週間):
前課題で作成した在庫管理システムの画面を用い、WEBアプリケーションをPythonで開発
ビジネスデータの分析研修では、「標準偏差」、「相関関数」、「回帰分析」といった統計の基本について、Excelを使用した演習に取り組みながら進めます。
Pythonで学ぶ機械学習では、機械学習の手法の基礎的な理解を深め、簡単なモデルで実践することを目指しています。機械学習の中でも、回帰分析とディープラーニングという2種類のアプローチで分析を行い、結果を比較対象することで、それぞれの持つメリット・デメリットや適した利用シーンについてもご理解いただけます。
ビジネスデータの分析研修~職場で活かせる統計の基礎とデータ活用法を学ぶ(1日間)
→事後課題(1週間):
架空の旅行会社のデータから統計数値の算出・読解後、施策を立案
Pythonで学ぶ機械学習~回帰分析とディープラーニング(1日間)
→事後課題(1週間):
オープンデータを使った住宅価格の予測、モデルの評価
業務改善や事務ミス防止を目的としたシステムを開発するための「システム要件定義」のやり方(特に業務フロー作成の仕方)を、演習中心に学びます。
「システム開発の位置づけ」や「開発手順」「工程管理」など、システム開発基礎の理解度を確認し、簡易要件定義書の作成を行うため、スキルを実践的に身につけていきます。
→事後課題(1週間):
自部署の業務を効率化するために必要なシステムの要件定義書を作成
インソースの社内事例に興味を持っていただき、取り組みを評価いただいたため。当社の社長に直接問い合わせいただいた
研修自体がかなり大がかりであったが、安価で十分な量の教育を行うことができた点
一連の研修を行ったことで、仕事の自動化のアイデアが浮かんだりするようになった
学生時代にプログラミングをしたことがなくても、説明が分かりやすく、進んで事後課題などに取り組めた
初心者にもわかりやすい研修内容だった。自分でプログラムを作りたいと思うようになった
プログラミングを独学で学ぶことはハードルが高い印象だったので、基礎中の基礎の部分を、プログラミングを扱ってきた経験のある講師の方から直接学べる機会は貴重だった
→DX教育は上司と部下「世代間をつなぐ意味で」世代間の会話を生み出し、研修の事後課題の提出が想像以上に早かった。
さらに、職場内で「非効率な業務をデジタル技術で改善」や「先輩社員から新入社員へ業務の改善したい点を要望」や「新入社員とベテラン社員が一緒にRPAを使った効率化に取組中」などのDXに関する会話・行動が増えている。
→今後、DX人材の裾野を拡大するため、追加で希望者3クラス45名、新人1クラス10名を全社から募り、2020年9月より同様の内容で実施を計画している。
さらに、希望者に対して簡易アンケートを実施し、DXに関する知識・理解によって、レベル分けた後に、人材開発支援助成金を活用して、新人には特定訓練コース(若年人材育成訓練)、希望者には一般訓練コースを利用する予定。