企業を取り巻く環境の激変を受け、「戦略的な人材育成の重要性」が改めて取りざたされています。戦略的な人材育成とは、「企業の業績向上に貢献できる人材を、長期の視座に立って、計画的に管理しながら、育成・輩出すること」と定義できるでしょう。
特に、以下の3つの視点から現行の「教育体系」を見直し、戦略的な人材育成を行うことが求められています。
企業内教育は、学問ではありません。業績向上に貢献できる人材を育成・輩出することが重要です。そのため、経営方針(事業戦略)や人事戦略と教育体系とは一本の命脈でつながっている必要性があります。集合研修後の成果も、業績を向上させる人材の輩出に直結することが、最大のポイントといえます。
育成の目標を抽象的なままにせず、具体的な姿として明確化することが肝要です。求められる役割と、それを達成するための教育を体系的に構築することで、実務能力と業績の向上をリンクさせることができます。そのため、人材要件を明確にして目標を設定し、その目標に対する現状を把握しながら、必要な教育研修を行っていく人材育成が求められます。目標が明確になることで初めて、効果的な能力開発が実現されます。これが、業績向上へ貢献できる人材の育成につながり、ひいては組織力の向上につながります。
人材育成の観点からみれば、集合研修は能力開発の一手段にすぎません。いくら印象に残る研修を受講したとしても、その記憶は、忘却曲線に沿って失われていきます。効果的な教育を行う重要なポイントは、課目を段階的・計画的に配置し、研修を有機的に連携させながら教育内容の定着を図ることです。この時、研修後の受講者の実践度を基準として、到達すべき姿(目標)と現状の乖離を継続的に確認することが肝要です。目標となる成果行動の実務における実践度を観察・評価し、目標に対する現状をしっかりと把握するのです。これを、教育体系に柔軟に反映していくことがポイントとなります。