- 01 ビジネスにおける議事録とは?
~上司が唸る議事録を書くポイント! - 02 議事録を上手に書くテクニック
- 03 議事録文例集
※「3.議事録文例集」では、議事録の書き方を詳しく解説しています。
※「3.議事録文例集」では、議事録の書き方を詳しく解説しています。
「議事録」においては、読み手(ほとんどの場合、上司やお客さま)が知りたい事を書いてある文章であることが求められます。何よりもまず、誰がどのような目的で読むかを意識して書くことが、「ほめられる」議事録を書くためには重要です。
簡潔とは、端的に言うと「1文50字×4行=200字程度」で書くことです。この内容なら一目で読めます。ただし、議事録には、端的であると同時に詳細な内容も要求されますので、要旨を200字程度で書く事を心がけてください。
上司は文書をまずは中身より「美しさ」で判断しています。紙の上でのバランス。文頭、文末のそろい方などが文章が美しいと判断される基準です。なぜ、美しさを最初に見るかと言えば、「読むに値する」かどうかが、「細部まで気が遣われている」事から判断できるからです。
※見栄えのポイント
①適度な余白があること
②文字が一方に片寄っていないこと
③できるだけ一文の長さが揃っていること
議事録には形式があります。後ほど書きますが、日時、場所などを自らの組織で定められた順番に並べれば合格です。その理由は、上司など読む人の「理解の流れ」が決まっており、それと同じであれば、理解しやすいためです。
議事録は上記の項目で構成されていますが、これらのうち、(※)のついた、「標題」「内容要旨」「詳細内容」は、実は大きな3つの階層の様を呈しています。それを図に表すと以下の通りになります。
この図の、「詳細内容」の部分が、会議での発言をまとめたものに当たります。その上の「内容要旨」は、その「詳細内容」をまとめたものになります。そして一番上の「標題」が、「内容要旨」を一言で表す、会議の内容を総括したものになります。
さらに先ほどもお話しましたが、「詳細内容」の部分も、以下のような3つの層に分けることができます。
「見出し」は「小見出し」の要約、そして「小見出し」は「説明文」の要約になっています。
このように、上に行くほど内容が要約され、下に行くほど内容が詳細になります。これは議事録だけに限らない、ビジネス文書全体に当てはまることです。
議事録を書くコツは最初から「かっこよく」書こうとは思わない事です。最初はまず、記録することから始めます。情報を集めるのが先決です。
よく、雑誌などに「有名人のメモ」が出ていますが、最初からそれを真似るのはおすすめできません。
自分のスタイルで自分のメモを作っていくのをおすすめします。
~会議のその場でノートに一字一句のがさず記録(を心がける)
ノート(ばらばらにならないタイプのものが良い)に1行飛ばしで、会議の最初から最後までを全部記録します。
とにかく、笑い話であれ、余談であれ、すべてを記録しましょう。全身を耳に集中させて記録します。会議が終わるころにはヘトヘトになっている事でしょう。それでいいのです(「少なくとも仕事に真剣に取り組む優秀な姿勢」はアピールできました!)。これが、議事録作成の第一歩です。
なお、「日付」「金額」の情報は極めて重要です。
「重要でないな」と自分で勝手に判断せずに、残らず記録しましょう。
また、「誰が言ったか」は後で分からなくなります。忘れず記録(サイン)をつけておきましょう。
書くのは面倒だし、漏れると怖いから「録音をして、後で直そう」。これはNGです。時間がかかりすぎるためです。録音から文字におこすのは、30分の会議で2時間ぐらいかかります。よっぽど重要な会議以外、おすすめできません。
①主語を加える
メモを取り終わったら、次にノートの文字に主語と述語をつけ加えていきます。話し言葉では、主語が省略される傾向にあります。「誰が」「何をする」を意識してつけ加えます。そのために一行飛ばしで書くのをおすすめします。
②文を意味が通る様につなぐ
メモだけでは文章になりません。そこで関連性のあるメモをつなぎあわせていく作業を行います。ここまで終わると、なんとか、文章になってきていると思います。
ここまでで、1時間の会議終了後、さらに1時間ぐらい作業する事になります。これで、議事録の素材が完成しました。
議事録は仕事を覚える上でもっとも有効な方法です。 なぜなら、多くの組織で「若手の仕事」になっている議事録は、自分の仕事に対する理解度を上司や先輩に確認してもらう場になるからです。今回は書き方講座ですが、本来、議事録作成時の最大の問題は、内容と密接に関係する「業務理解」と「自分の立場の理解」であると思います。ここからは、文章を内容の固まりにまとめて要約していく部分です。
内容の理解もさることながら、会話をまとめる事が難しいのは、交渉の場面では、何度も同じ事を言ったり、前に戻って言い直したりしているからです。ですから、ここでは、会話を簡潔にまとめるために、発言を分類し、再構成して、話の筋道を整理する事が必要です。
前回作った文章を並べ替えて、意味の通った内容に分類します。今回のテーマごとに並べ替えていきます。そんなに難しくはないと思います。
ここで、自分の能力が試されるのは、分類方法です。2~3の大きな意味の固まりを作ります。
下記3つが出てきたとします。
(例)
新規マーケット(首都圏以外)開拓の件
営業管理システム更改の件
来期重点目標決定の件
※書き方としては、「~の件」で終わっておくのが一般的です。
この次に、これをどんな順で並べるかが勝負です。一番簡単なのは、時系列に並べる。 会議の最初、次、最後という様に並べるのです。だいたい、会議は大切な順に話しますから、これは、これで無難です。
ただ、基本原則は「最も偉い読み手にあわせる」のがポイントです。つまり、「誰に出すか?」を意識する事です。例えば、営業部長に出す場合、営業部長の興味が3(目標)→1(新マーケット)→2(システム)の順であれば、
(例)
来期重点目標決定の件
新規マーケット(東海地区)開拓の件
営業管理システム更改の件<
とすべきです。
マネージャー以上の方は、こちらをおすすめします。営業部長が読めば、「この人は仕事が分かってるな!」となります。
何故かと言うと、記録すべき内容が理解されていると感じるからです(だから、機械的な仕事ではないのです)。
議事録のツボは「業務理解」です。これを覚えておいてください。読み手を意識する事から始まるのです。
ここでのポイントは、各参加者が何と言ったかを正確に整理する事と、意味が通る文章にするために、その際省略された「単語」などを追加しておく事です。発言をそのまま文章に使うのではなく、業務知識を踏まえ、補記していきます。
営業部長:「来期重点目標は東海地区で売り上げを3倍にする事だ。ところで、山本君、名古屋での取引先は何社あるのかな」
山本主任:「現在、主要な取引先は8社です。三重県には5社ありますが」
営業部長:「じゃあ、最低限、取引先数は、39社、えーと切り上げて、40社」
と発言した場合の議事録文章は以下の様にします。
来期は東海地区で、今期の売上3倍増を目標とする。(営業部長)
現在、【東海地区の】取引先数は13社(名古屋8社、三重5社)。(山本主任)
【来期、東海地区の取引先数は】40社【を目標とする】。(営業部長)
※【 】は議事録作成者が補記したもの。この部分がないと意味が通りません。
※発言者は( )で囲んで、後ろにつけておくこと。役職などもつけておくのが一般的です。
※「補記する」のを躊躇しないでください。大丈夫です。後で上司や参加者に確認してもらいますので、問題はありません。自分で考えて、分かりやすく、補記しておきましょう!
上記のままでは、山本主任の発言がやや簡易的に過ぎます。ここは省略可ですが、書く場所がある場合には、せっかくですから、記載しましょう。もし、上司が「1ページにまとめよ」という場合には、削除しても可です。
以下の文章は、実際の会議の場での発言をドラゴンスピーチというツールで記録し、テキストデータ化して作成したものです(このソフトは自分の言った事を文字化してくれる優れものです)。
【例1】ある営業会議の議事録~話の内容が整理されず、不明確な場合
営業部長:
「今月の売り上げをどうやって作るのか?」「新規先を回るのか?」
「それとも既存先にいくのか」「そうそう新規先といえば、例の大曲商事の方はどうなってるのかな?」
「最近訪問した、あの何て言ったかな?日本ベースボールの案件は取れたのかな?」
「日本ベース商事はどうなっているのか?最近売り上げが落ち込んでいるようなんだが・・・」
というように、整理されずに話されるのが一般的です。これを議事録で書くとすると、以下の様になります。
当月営業拡大策について (←内容を要約して、タイトルをつける)
当月の売上目標達成の為に対象ターゲットを新規先、既存先かかわらず検討すべきである。
特に、新規先の大曲商事、最近訪問先の日本ベースボールの進捗確認が必要と考える。
加えて、日本ベース商事の売り上げが落ち込んでいる件は調査が必要である。(営業部長)
※実際に行った事は、
①言葉を言い換えて文章らしくする
「今月の売り上げをどうやって作るのか?」→当月の売上目標達成の為に
②言葉に表れていない部分を推測して補記する
「日本ベース商事はどうなっているのか? 最近売り上げが落ち込んでいるようなんだが・・・」
→日本ベース商事の売り上げが落ち込んでいる件は【調査が必要である】
【例2】あるユーザーインタビューの議事録~切れ目無くつながっていく場合
ユーザーAさん:
「アウトバウンド業務の特徴としては、実際に電話をこちらからかけるわけですから、こちらが伝えたいことをきちんと伝えるスキル、それと、お客さまのおっしゃっていることをきちんとお聞きするスキル、特にお客さまがお話されているのにかぶせて、お話するなんてことはが多々みられます。実際に営業電話をかけて、目的を達成するためには、言葉のキャッチボールをうまく延々やっていく必要があります。
特にお客さまにとって、アウトバウンド電話は必要ないものであり、聞いていただくためには延々お客さまにとってのメリットを強調したり、それからお客さまの心に沿わないようなお話をしないスキルが必要になります」
というように、切れ目なく、話されるのが一般的です。これを議事録で書く場合、以下の様になります。
アウトバウンド業務について (←内容を要約して、タイトルをつける)
アウトバウンド業務で必要となる特徴的なスキルは以下の3点です。
(ユーザーA氏)
・当社が伝えたいことをきちんとお客さまに伝えるスキル
・お客さまのおっしゃっていることをきちんとお聞きするスキル
~お客さまの話にかぶせて、話す場合が散見される
・お客さまと言葉のキャッチボールを上手に実施できるスキル
~お客さまのメリットを強調し、心に沿わないようなお話をしない
※実際に行った事は、
主語を追加し、不要と思われる部分をカットする
「<実際に電話をこちらからかけるわけですから、こちら>が伝えたいことをきちんと伝えるスキル」
→【当社が】伝えたいことをきちんとお客さまに伝えるスキル
議事録の難しさは業務に対する自分の理解に基づいて、「言い換え」たり、「補記」したり、「省略」したりする点にあります。
話し言葉は、残念ながら、そのままでは、文章になりません。よって、出来上がった議事録には、どうしても、書き手の「作った部分」が入っています。ですので必ず、上司(場合によっては取引先、交渉相手)に回覧して、中身を確認してもらい、後から、「言った」「言わない」にならない工夫が必要です。
決まりきった型に流し込めば、それなりに見えます。議事録には、「決まりきった形式」があります。一般的にビジネス文書には、形式があり、少し慣れれば、誰でも書けるようになっています。ですから、そんなに難しいものでは、ありません(今だから言えることかもしれませんが)。この型に流し込めば、見栄えばっちりの議事録ができ上がります。
一般的には、以下の順で記載します。
顧客管理システム機能追加に関する会議議事録
標題については、ひと目でわかるようにつけることが基本です。上記のように、読み手に、ひと目で会議の概略がわかるようにするのが、望ましい標題のつけ方です。
日時:2006年8月14日 14時30分~16時25分
※西暦使用、24時間表示
日時の表記は、「西暦」と「24時間表示」で記します。議事録は多くの場合、お客さまとの交渉の経緯を記録するものですから、時には裁判の証拠になる可能性もあります。このことから、会議の時間は何時何分という細かなところまで記すのが基本です。
場所:株式会社インソース商事本社6F会議室
これも同様です。正確に記録します。上司に商談を報告する際には、特に重要です。対外的な会議では、会議開催場所によって会議のレベルが読み手に伝わります。相手が自分たちをどう扱っているか?など、伝わるものです(一般的に、大事な話はいい加減な場所ではやりません)。
主席者:先方 インソース商事 総務部 田淵部長、富田課長、人事部 星野次長
当方 営業部 金本部長、赤星課長、檜山
まずは、お客さまから、また、偉い順に書きます。この場合、××商事○○部△△部長というように書きます。役職も必ず入れておきます。また、原則同じ部署の人は順番に並べて記入します。
気をつけないといけないのは、部署の序列です。
あらゆる組織には、例外なく序列があります。これを間違えたら、いくら議事録の内容が良く出来ていても、「甘いね」とか「まだまだ若いね」と笑われてしまいます。プロのビジネスパーソンは序列を間違えないで下さい。間違えていいのは新人だけです。
要旨:
①売り上げ見込み自動計算機能の追加開発のご要望
売り上げ見込みの自動計算ができる機能を1月末までに顧客管理システムに追加開発する。
②セキュリティ機能に関して
WEBセキュリティ対策として、アクセス制限機能を追加する。
③開発費用とスケジュール
費用は500万円程度であり、納品は1月末予定で合意。
基本は、要旨は「3つ」です。なぜだか分かりませんが、「3つ」は座りが良いのです(当然、2つでも5つでもかまいませんが・・・)。日本経済新聞、朝刊の「経済教室」をお読みになる方も多いと思いますが、やっぱり、難しい論文の要旨も3つになっています。例にもあるように、ビジネス文章では、一般的に「具体的な数字」「方法」「事実」が明記されているのが普通です。
(1)売り上げ見込み自動計算機能の追加開発のご要望
①顧客管理システムの機能で、営業担当者が「交渉経緯」の部分に「確度」と「金額」を入れれば、週単位や月単位で自動的に売り上げ見込みの数字が計算される機能は技術的に追加できるか(田淵部長)
②また、本社のホストコンピュータに売り上げ見込みの数字が送信され、本社の営業部で営業担当者の売り上げ予測が立てられる機能にしたい(田淵部長)
③来期(2025年10月期)のスタートに間に合うようにシステム開発をしたい。追加費用に関わらず必要と考える(富田課長)
詳細内容を書く際には、「打ち合わせ要旨」の部分を受けて、さらに詳細に打ち合わせの内容を説明するところです。「見出し」→「小見出し」→「説明文」の3つの階層をつけて書くとわかりやすくなります。「見出し」の説明が「小見出し」、「小見出し」の説明が「説明文」という構造になっています。
次回会議日程
日程:2025年8月25日(月)14時~16時
場所:株式会社インソース商事 本社6F会議室
内容:「議事録の書き方研修」の内容、研修で使う事例について
出席:今回と同じ
次回の日程についても、具体的に表記します。ここでも、「西暦」「24時間表記」を用い、「曜日」や会議室の場所まで、詳細に記入しましょう。また、併せて参加者についても言及しておきましょう。
今回の研修費用一人あたり○円との先方要望は当社定価の30%引きであり、厳しい条件であるが1000名もの大口受注であり、当社として、応諾やむなし。
議事録で唯一自分の意見を言って良いのは、「所見」の部分です。これも2~3行で簡潔に書きましょう。ただ、相手(他社)に提出する議事録の場合には、所見は記載不要です(書いてはいけません)。また、新人は先輩、上司の許可を得てから書きましょう。場合によっては「差し出がましい」と怒られる場合があります。
「議事録を1枚にまとめなさい」という話を、よく聞くかもしれません。ここで大事なのは、重要なポイントを明確に書き、瑣末なことは省略することです。よく、1枚に要約した「つもりになった」議事録を見かけますが、要約の体をなしていないものも多くあります。例えば、重要な日時、数量等が抜けているものや、単語だけ(特にカタカナ語)を並べたものなどが、その典型例です。
※議事録における「要約のポイント」は次のとおりです。
こんな風に文章を直しながら、本文(あんこの部分)を順次作っていきます。また、約30分というところでしょうか。
議事録の作成例として、プリントアウトをした文書で回付する場合と、Eメールで報告する場合の文例をご紹介いたします。
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