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学習意欲をスイッチオンする工夫と、成長に楽しさと誇りを見出させる環境
社会に出てからも学習を継続させるには強い意志と向上心が必要です。しかし、日々の業務に追われ、学習時間の確保がままならないのが現実ではないでしょうか。必要性は理解していても、年数を重ねるほど、学習習慣の維持がますます困難になっている人は多いはずです。
こうした状況でも、自律的に学習する人は確かにいますが、残念ながら一部の限られた人です。そのような人は、キャリアを自分自身で描ける人でもあります。また、キャリアを自分自身で描けない人でも、キャリアデザインについて学べば、問題解決に繋がります。
しかし、自律的な学習意欲が低い人は、キャリアデザインについて自ら学ぶことすら難しい場合もあります。そこで、組織が多様なキャリアパスを示すことで、学習意欲にスイッチを入れるなど、制度的な工夫が必要になってきます。
成長を促す起爆剤としては、次のようなことも重要です。
・社員・職員自身に、ひとつ上のステージを見据えた「将来なりたい自分」を想定
させ、そのためにはどんな学習が必要かを自分で考える機会を提供する。
・習得した知識に対して、適切な評価体系を構築する(努力に報いる)。
・各自の努力が本人の成長を促すだけでなく、組織の業務としてもメリットに
繋がるように、人事制度を工夫する。
さらに「人事が勝手に作った制度だから・・・」と制度が形骸化しないしかけも重要です。これには、社員・職員が下記2点を感じられるような職場環境作りが欠かせません。
① 仕事で成長している手ごたえ
② その成果によって組織の役に立っている(貢献している)実感
経営学者のドラッカーは、
「成長に必要なものは責任を持つことであり、責任に焦点を合わせるとき、人は自らについてより大きな見方をするようになる」
と言っています。
上司や同僚から成果が認められ、自らの成果に誇りが持てる組織では、自らの成長に責任を持つメンバーも自然に増えるのではないでしょうか。この実現に現時点で困難を感じている組織では、人事制度やマネジメントの変革が喫緊の課題となります。