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インソースの研修からみると、40代後半がおぼろげな悩みを抱えているのに対して、50代後半はパソコン操作や最新の仕事のルールに関してなど、具体的な不安を持っている点が特徴です。
給与減、上下関係の変化、業務の変化、業務内容の変更に対するご本人と周囲の人々との間にはギャップがあります。それを前提に課題を整理すると、3つの要素が成り立ちます。
①意識と行動を変えるための気づきの場を設けること
②必要とされるであろうスキルを早期にご本人に身につけていただくこと
③組織による環境作り
の3点です。
以下に、これら3点に対応した解決策をご説明します。
第一に、本人の意識と行動を変えるための一例として、「再雇用・再任用者向けの心構え研修」に参加いただく、という方法があります。研修を通じて、他の受講者と意見交換しながら役割認識を行っていただきます。特に、他社・異業種の人々との意見交換が有効です。
弊社でも、「再任用研修 ~「心構えの確立」と「ノウハウ伝承」(半日間)」など、再雇用・再任用の方に向けた研修を各種取り揃えています。
次に、働き続けるために必要なスキルを明示・提示し、ソフトランディングを図ることが重要です。例えば、50代からの「管理職から事務職への転換」に際してスキルマップを作成し、該当者に提示します。事務職のベースとなるスキルを早期に身につけておくことで自信がつき、職場が変わっても安心して働いていただけます。
第三に、シニアに向けた職場環境作りが大切です。よく言われていることですが、小さい文字が読みづらい、ぼそぼそとした声が聞き取りにくい、階段の昇り降りに時間がかかるなど、身体的な能力はどうしても年齢に勝つことが難しいです。そのため、シニア世代に向けた環境構築をしておかないと、共に働く人々もストレスを感じるケースが増えることが考えられます。
また、若い人にとって"できて当然"のことが、シニアの方にはやりづらかったり、できなかったりすることもあるでしょう。そんな時、「まだ終わらないのかな」「誰にでもできる仕事なのに」と、思ってしまう方がいらっしゃるかもしれません。シニアの方とコミュニケーションを図る際には、世代による考え方や価値観の違いなどを考慮するとスムーズに進みやすいです。ここで、そういった注意を払ったり、シニア世代の立場に立った考え方をすることを通して、加齢に伴う心身の変化を具体的に知ることは、将来、自分たちが同じような状況に置かれた時に貴重な経験として役立つはずです。