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キャリア・アダプタビリティ
「キャリア・アダプタビリティ」とは、個人のキャリアについて、環境変化に合わせた適応ができる能力のことを指します。不確実な未来に対して、その変化を前向きにとらえて自らのキャリアを切り拓いていける力は、先の読めないVUCAと呼ばれる現代を生き抜くビジネスパーソンに必須の能力として注目されてます。
1950年代、キャリア発達の理論を提唱したのが、アメリカの研究者ドナルド・スーパーです。その理論を継承し、「キャリア構築理論」として発表したマーク・サビカスによって、キャリア・アダプタビリティの概念が確立しました。
サビカスの理論によると、適応能力のある人の条件として、以下の「4C」を満たすことが必要だと定義づけられています。
1. Concern(関心)
2. Control(統制)
3. Curiosity(好奇心)
4. Confidence(自信)
この4つの条件を活用し、以下のような視点から人材育成を行うと、キャリア・アダプタビリティの向上につながると考えられます。
・自分のキャリアの将来について関心を持ち、必要なスキルを習得する
・自分の未来を他人に任せず、自分でコントロールする意識を醸成する
・常に好奇心を持ち、どんな変化にも対応できるよう新しい知識を積極的に吸収する
・環境が変わっても、自分の志を追求できるという自信を育てる
社員のキャリア・アダプタビリティを向上させることで、役割転換や異動といったトランジション(キャリアの転換期)に直面しても、上手く乗り切って組織で長く活躍できる人材の確保につながります。本人の希望かどうかに関わらず、新しい仕事に前向きに取り組む心構えを持ち、環境の変化を成長のきっかけとしてキャリアを構築していける人材は、組織力を持続的に高めるために必要不可欠です。
つまり、新しい環境でも柔軟に対応できるキャリア・アダプタビリティの開発は、企業における人材戦略の一環として、また変化の激しい時代の成長戦略の一つとしても大変有効だと言えます。