更新日:
メタ認知
メタ認知とは、自己の「認知」を認知すること。自身の認知(記憶・思考・認識・行動基準など)を、一歩引いて客観的に知ることをいいます。
本来は、「メタ:高次(meta)」と「認知(cognition)」を合わせて「メタ認知(Metacognition)」と呼ばれる認知心理学用語です。1976年アメリカの心理学者、ジョン・H・フラベルによって定義されました。古くはソクラテスの「我知らざるを知る」の言葉にあるように、自身の認知状態を、不備な点を含め、高次の視点から冷静に把握することから成長が始まる、とするものです。
メタ認知能力が高い人は、「何ができて、何ができていないのか」または「どの程度ならできるのか」といった、自身の弱点や不足部分を、冷静に振り返ることができます。客観的に傾向を分析し、改善して次の行動につなげます。しかし、メタ認知能力が低い人は、異なる意見には耳を傾けず、自身の短所や苦手なことから目を背けるので、成長機会を失いがちです。両者の違いから、近年、「メタ認知」は教育やビジネスなどの分野でも、重要な概念として注目されるようになっています。
メタ認知機能を向上させるには2つのプロセスが重要です。
メタ認知的モニタリング:常に俯瞰で自身の行動や感情を振り返り、不足しているところや偏ったところがないか確認する
メタ認知的コントロール: モニタリングで確認したことを理解し、感情コントロールや行動改善を考える
以上のプロセスを繰り返し、メタ認知機能は鍛えることができます。
メタ認知能力は、常識や通説の変化などにより、低下することもあります。偏った認知を持っていると、相手に話が伝わりにくくなる、無意識のハラスメントを起こすなど、リスクとなります。適切なメタ認知ができるよう、モデリングとコントロールを習慣的に繰り返し、認知情報をアップデートしていくことが重要です。
メタ認知機能を常に鍛えることは、変化の激しい時代に柔軟に適応し、冷静に行動変革を起こしていく助けになります。また、自己分析が習慣になり、仕事や周囲のことに対しても、より高い視座で考えられるようになるでしょう。
※関連ワード アンコンシャス・バイアスはこちら