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参謀力
参謀(さんぼう)とは、古くは軍師として著名な諸葛亮孔明や黒田官兵衛などのようにトップを頭脳で支える、組織内における「最高のフォロワー」のことをいいます。トップの信任が厚いだけではなく、現場の細部に精通していて、組織内はもちろん社会全体を見通す視野をもち、情報収集や分析、その情報に基づいた判断、交渉や調整、戦略・戦術の策定などに秀でた人物のことです。
企業内には参謀という役職はありません。しかし、経営者や上司・リーダーの補佐を行い、忠実でいざというときに頼りになる「参謀役」と言われる人物がいる企業も多いでしょう。参謀に求められる力、すなわち「参謀力」を全ての従業員が身につけ、自分の直属の上司・リーダーを支える体制を整えることで、組織全体の力の底上げにつながります。
■参謀と呼ばれるビジネスパーソンの特性
参謀のポジションを得ることは容易ではありませんが、参謀を目指すことでビジネスパーソンの力量は大きく進展します。自己成長のためのポイントともいえます。
① 自律性
社会・経営・現場などに関して十分学び、自身の見識を持つ。参謀は無条件で従順なイエスマンではなく、ここぞという時には進言する。
② 現場重視
先見から逆算して現在を見るバックキャスティングを行う。現場の声や状況を現場の立場で聴きとり、細部まで見落とさず、その情報を基に実践的な方策を考える。
③ 経営者とビジョンを共有
自身や自部署の利益のためでなく、組織のあるべき姿、リソースの配分などを考える。部分最適ではなく、全体最適を優先して経営者視点でビジョンを具体的に描く。
④ 仲間との連帯感
参謀は特権ではないことを自覚し、現場の仲間とともに働く楽しさを共有する。さまざまな立場の率直な意見を、偏らずに交換できる円滑な人間関係を保持する。
一般的に、トップ・リーダーの多くは熱意と気概で自分の描くビジョンを推し進める「大将タイプ」、補佐役は堅実なコントローラーとして完璧を期す「参謀タイプ」が多いとされます。こうした違いがあって息の合う信頼関係が続くと、組織は快調に回り始めます。
参謀は最高のフォロワーです。まずは、直属の現場の上司、チームリーダーに対してフォロワーシップを発揮し、最終的にはトップ・経営層の参謀と呼ばれるような人物を目指すことが、自己の成長・企業の成長につながります。