カスタマイズ動画制作事例
社内ニーズを呼び起こしたトータルリデザイン
集合型研修の負担を軽減し、学習効果を高めるeラーニング教材制作を支援
企業
日本たばこ産業株式会社
業種
製造業
従業員数
5,000〜9,999名
01事例概要
description
概要
ミテモはさまざまな企業への研修の実施や、研修教材の制作などを数多く手掛けている。研修の実施においては、インストラクショナルデザインの代表的なプロセスモデルであるADDIEモデル*1をベースに、研修を企画するための現状分析、それをもとにした設計、開発、実施、その後の評価を行っており、そこで培ってきたノウハウを生かして、企業の研修・人材開発部門の研修内製化の支援も手掛けている。
今回は、国内のたばこ事業で日本を代表する企業であり、医薬事業、加工食品事業も営む日本たばこ産業株式会社様(以下、JT)の、新任管理職向け研修のeラーニング型研修導入の支援をした。
*1:ADDIEモデルとは、学習の目標を達成するために必要な学習活動を分析・設計・開発・実施・評価の5つのフェーズとして定義したモデル
goal
目的
集合型研修で実施していた新任管理職向け研修を、eラーニング型研修へ移行するために、これまでの研修教材をベースに、デザインによる演出を施しつつ、受講者が「自分ごと」として学べる学習効果の高い教材にする
service
ご支援
内容
・制作期間3か月というタイトなスケジュールの中で、7教材分の企画構成・デザイン・編集各フェーズのディレクションおよび全体のプロジェクトマネジメント
・講師ごとにバラバラだった研修教材を、統一感のあるものにリデザイン
・今後のeラーニング教材の展開も意識した、シリーズデザイン提案
・円滑なプロジェクト進行のための、コミュニケーションプランの立案
02事例詳細~Succes Story
「ひとのときを、想う。」をコミュニケーションワードに、たばこ産業の代表的企業として製造販売、啓蒙活動を行うJT。同社では新任管理職を対象に、ダイバーシティ、人権、コンプライアンス、労務管理、安全衛生、人的危機管理など合計8種類のテーマに関する集合型研修を行っていました。
今回のeラーニング型研修への移行プロジェクトのオーナーは、JTコーポレート人事部の永井主任。ミテモのチーフディレクター 宇田川とチーフデザイナー 望月が、ミテモの導入支援について感想を聞きました。
左から、永井主任(コーポレート人事部)、宇田川(ミテモ チーフディレクター)、望月(チーフデザイナー)
現場社員の負担軽減から「eラーニング」という選択へ
宇田川
今回、「集合型研修からeラーニング型研修への移行」でお声がけいただきましたが、その背景を教えていただけますか?
永井主任
従来の新任管理職向け研修では、対象の新任管理職に研修会場へ集まってもらい、丸1日かけて講義形式で実施していました。講師は研修テーマに該当する部署の管理職が、それぞれに教材を制作して登壇していたんです。
参加人数は1回あたり最大30名、年間で5、6回、東京で開催され、そのたびに現場から管理職が動員されることになります。講師と受講者の両方への負担や拘束時間の長さが、大きな課題でした。
弊社では2019年4月にeラーニングの実施に必要なLMS(学習管理システム:Learning Management System)を導入し、他社からコンテンツを借りる形でeラーニングの導入事例がありました。いつでもどこでも学習できる環境をさらに整備しようと思い、自社制作のeラーニング教材への移行を決めました。
宇田川
ミテモにご依頼いただけた理由について改めてお聞かせください。
永井主任
弊社のコンプライアンス統括室が、これまでにもミテモさんと一緒にいくつかのeラーニング教材を制作していました。同部署でも私たちの悩みと同様に、全社的な啓蒙活動をするのに集合研修ではリソースが不足すると感じていました。
彼らにeラーニング教材を作ることを相談したら、ミテモさんの名前が真っ先に上がったんです。実際に、ミテモの営業担当の高橋尚美さんから提案資料をいただいた時も、eラーニング教材として学習効果を高めるためのさまざまな演出方法やオプション、コンテンツ作りまでの流れなどを丁寧に説明いただきました。
これまでの実績と提案内容、それがミテモさんへお願いした理由です。
バラバラだった研修教材をトータルデザイン先を見越した「統一感」を演出
永井主任
プロジェクトは2019年6月19日にキックオフを迎え、9月には制作を完了するという非常にタイトなスケジュールでした。チーム内でスケジュール感を共有し、2教材ごとに順次、並行して制作を進めるという体制を取りました。お盆休みの長期休暇も加味して、どの教材をどのように進めていくかを綿密に計画、調整しました。
3ヵ月で7本の教材制作を成功させるために、ガントチャートでタスク計画をし、逐次進捗管理を実施した。
永井主任
私はプロジェクトオーナーとして、ミテモさんと講師である管理職のハブ的な立場で動き、制作スケジュールが遅れないよう徹底していました。
講師はいずれも現場にいる管理職なので、フルコミットでeラーニング教材の制作に携われるわけではありません。スケジュールを調整しながら、教材に反映すべき部分や対面の講義で残したい部分、どんなビジュアルにしたいかなどを講師と協議しました。
宇田川
集合型研修で使っていた教材は、講師が口頭で補足して伝える内容も多いため、講義の全ての内容が網羅されているわけではありません。限られた情報の中で、このテーマの場合はどの内容を強調すべきか、どのように再構成したら学習効果が高まるのか、企画構成案を練る段階でなるべく時間をかけました。それをチェックいただく調整は永井様へお任せしました。
望月
元の研修教材はデザイン面でも講師の方ごとにバラバラだったので、企画構成フェーズで設計する時間を設けました。見出しや文章、カラーリングなどのデザイン演出と、JT様の研修教材としての統一感を意識してリデザインしました。
永井主任
企画構成案を提示いただいた段階で、ほぼ問題のない内容まで仕上げていただきました。こちらもeラーニング教材の制作ノウハウがないため、プロジェクト初期の段階からお任せできたのは、とてもありがたかったです。
教材の統一感を出すデザインのプランニングについても、今回の制作は新任管理職向け教材シリーズですが、今後新入社員向けのシリーズや、全社向けのシリーズの企画が出ることを私達よりも先に見越した上で考えていただいたので、受講者の体験をデザインするという視点で、eラーニング教材のデザインを考えることができました。
望月
イラストのテイストも含め企画構成フェーズでデザインの方向性が決定したので、あとは、スケジュール通り進行させることに集中できます。デザインチームは私以外に3人のチームで取り組み、設計段階でカラーパレットの統一や図解化によるわかりやすい構成を意識しました。
eラーニングの展開を意識して、新任管理職のテーマカラーは「紫」にしています。それに合わせて、目にはうるさくないけれど強調したい部分がわかる配色にしています。「新入社員研修なら、フレッシュさのある水色。全社研修なら、コーポレートカラーの緑をベースにするのはどうかな」と。この段階でシリーズ化に向けた構成を意識しました。
永井主任
講師陣に確認してもらった時に、これまでは強調したいことを口頭で補完していたこともあり、「視覚的に見せるとこうなるんだね」と、新たな発見になっていたようです。
デザインを統一することで、違う講座であっても「新任管理職向け研修シリーズ」であるということがわかる。また、伝えたい情報を構造的にとらえ、的確に図示することで受講生にとって理解しやすいデザインになっている。
宇田川
eラーニング教材はすでに研修でご活用されていますが、受講者様の反響はいかがですか?
永井主任
アンケートでさっそく反応を確認しましたが、受講者のみなさんには、すんなりとeラーニングで学ぶことを受け入れてもらえたようです。eラーニングによって、当初の目的だった「時間・場所を問わない基礎知識の付与」を実現できています。
法制度が改定された場合も、デジタルアップデートによってカバーができるため、新任管理職だけでなく、既存管理職へのフォロー教材としても有効だと感じているところです。
その上で、リアルな場で学ぶべき内容に関しては、従来の集合型研修を引き続き活用するケースもあります。このデジタルとリアルな場の2つの住み分けができるようになったことは、大きな成果と言えます。これまで集合型研修の講師をしていた管理職も、eラーニング導入によって負担がかなり軽減されたと喜んでいます。
プロジェクトをきっかけに社内の「eラーニングニーズ」が顕在化
永井主任
今回、ミテモさんにお願いしたおかげで、特に教材内容についても問題を感じることなく制作を進めることができました。私自身、これまでオブザーバーとして研修に参加していたテーマをはじめ、それ以外のテーマについても、ミテモさんが再構成した教材内容は、情報の取捨選択やフィードバック内容が、とても信頼できるものでした。
宇田川
ありがとうございます。最後に、今後の社内研修の方向性についてお聞かせください。
永井主任
将来的には、新入社員向けや全社向けなど、eラーニングのシリーズ化に向けた検討を進めていきたいと考えています。
特に、2020年はオリンピックがあり、7月、8月、9月には集合型研修を企画できませんでした。インタラクティブなコミュニケーションが必要な研修はリアルな場に残し、インプット系の研修をどんどんeラーニングにシフトしていきたいです。
宇田川
必要に応じてeラーニングを積極的に活用していくということでしょうか?
永井主任
実は社内で、私が「eラーニングの人」という認識が広まっているみたいなんです。
今回のeラーニング移行の話を聞いて「うちの部署でもeラーニング教材を作りたい」という相談が、いくつか私のもとに寄せられています。これまで面識がなかった部署の人からも問い合わせがあります。企画構成の重要性など、私自身が感じたポイントを各部署へ伝えているところです。
社内研修に限らず、喫煙マナーの啓蒙などにもeラーニングを応用するニーズがあり、私の想像以上に反響があったのは、うれしい驚きです。
でも、今回のプロジェクトがゴールではありません。例えば、社内には700講座のeラーニングを公開していますが、現在の受講率が芳しくありません。今回のプロジェクト経験を生かして、社内のeラーニングをどのようにしていくのか、今後も取り組みを進めていきたいと思います。
JT 人事部 永井様、取材のご協力ありがとうございました。
03インソースからひとこと
ディレクター
JTさんとひとつのチームになってプロジェクトを進めることができました。
誰にもストレスがかからないように、こまめな情報共有と明瞭なやりとりを心掛ける。
もともと研修を担当されていた方々の伝えたいことや思いを、 与えられた情報から正確に読み取り、分かりやすく表現する。
丁寧で迅速なプロセスのその先に、研修の効率化の達成や、皆さんからの嬉しいお言葉がありました。
これからも、プロセスと結果の双方にご満足いただけるように、教材制作プロジェクトに臨みます。
デザイナー
今回複数教材を一度に制作すること、今後別の階層や全社向けの教材作成も視野にあると伺っていたので、この教材だけでなく、今後を見据えた案をさせていただきました。
少しでも担当者様や受講者さまにとってよい形に、と考えたアイデアを喜んでいただけて大変嬉しく思います。
今後もお客様と一緒に、ニーズに合わせた最適なプランをご提供できるように、日々精進いたします。