「やる気がある」とはどういうことか
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「やる気がある」とはどういうことか
「今年の新人はやる気がある」
「今どきの若手にはやる気が感じられない」
毎年、春になるとよく聞くフレーズです。
ところで、そもそも「やる気がある」の「やる気」って、何なのでしょうか?
そもそも「やる気がある」とは?
特に、学生がアピールしてくる最大のポイント、それが「やる気」。
学生が主張する「やる気がある態度」には、たとえばこんなものがあります。
・とにかく元気であること
・大きな声であいさつができること
・ハキハキとした受け答えができること
・体力、知力があること ......など
このように、「元気であること」「何事にも前向きに取り組もうとする姿勢」を見せ、やる気を見せようとする学生はたくさんいます。たとえば「笑顔で元気にあいさつができる」「ハキハキ受け答えができる」ことは、気持ちよく仕事をするうえでは重要です。ただ、当然ながら、それだけでは仕事はできません。
採用側としては、時に求職者が主張する「やる気」が、こちらの採用意図とは食い違っている、と感じることがよくあるものです。
採用側の考える「やる気」=主体性!
採用担当者や人材育成・研修担当者が考える「やる気」と、求職者がアピールしてくる「やる気」。
この両者は、どこが違うのでしょうか?
最も大きなズレがあるとすれば、それは
求職者側が「やる気=元気であること、気合に満ちていること」と考えがちな一方で、
組織は「やる気=主体性をもって仕事に取り組む力」を求めている、という点にあるといえます。
普段の職場での様子を振り返ってみましょう。
言われたことをただこなすだけ、注意をされても言い訳ばかり......そんな仕事ぶりをしている人には、「なんだかやる気がないなあ」と感じてしまいますよね。
育成担当者は、新人(部下)が自分の意志と考えをもち、主体的に仕事に取り組むのを見てこそ「やる気がある!」と感じます。
「人を動かす」側が考える「やる気」の本質は、主体性にあるのです。元気と気合はもちろん重要ですが、それだけでは仕事はできません。採用では、自ら動く(やる)ことができる人材かどうかを見抜くことが重要です。
面接で、いかに「やる気」を判断するか?
こちらの問いかけに対して、「やります!」「できます!」「がんばります!」と一辺倒に主張する求職者は少なくありません。しかし、実際の現場で肝心なのは、「がんばったけど、できなかった」時にどうするのか、ということです。
注意されたら、素直に聞き入れて「やる」につなげられるか。
困難にぶち当たっても、粘り強く「やる」につなげられるか。
教えてくれる人がいなくても、手がかりが少なくても、自分の頭で「やる」ためにどうするのかを考えることができるか。
実際の現場では、有事の際、いかに「やる」につなげるか、ということこそが重要です。
採用活動では、「やります!」「できます!」といった元気のよさよりも、「その仕事をやりたい"理由"」を持っているかどうか、に着目すべきといえます。
職場全体の目で「一緒に働きたい人材」を見定める
採用では、たとえばOB・OG、インターン中の担当者、採用部署の上司など、複数の目で「やる気」を見定めましょう。その際には、評価者個人が「一緒に働きたい」と思える人材像を、はっきり描いておくことが重要です。
上司として育てることが好きなら、素直に話に耳を傾けられる人材を。
自由にやらせてみたいなら、少し"変わっている"人でも、気骨のある人材を選ぶのがよいでしょう。
"隠れた"やる気を引き出すために、何ができるかを考える
「この人は〇〇だから、やる気がない!」と、減点方式で切り捨てることは簡単です。
しかし、その人材は、ほんとうに「伸びしろ」がないと言えるでしょうか?
「やる気」を目に見える形で出せていないだけかもしれません。
どんな教育や人材配置、業務の割り当てをしたら、そのやる気を引き出すことができそうか。そのようなこちらからの働きかけにしっかり応えてくれる人なのかどうか。あくまで「入社した"その後"」を想像しながら、"隠れた"やる気を引きだすつもりで、人材を見極めることを心がけましょう。