急な暖かさで開花も早まった。今年の厳しい寒さを越して、ことさら待ち遠しかった桜だ。が、美しい桜時を過ぎれば、すぐにまた凌ぎにくい夏へ向かう。年々季節変化の負荷が増しているように思うのは、私だけだろうか。心地よい日差しの今のうちに散歩を楽しもう。
◆油断している筋肉
最近、暑さ寒さが堪えるようになってきた。何事も当事者になるまでは他人事で、分かったように話していても本当のところは時が来るまで分かり得ない。
私も生まれつきの高齢者ではなくて、日々アンコンシャスバイアスを一身に浴びながら、この度初めての老齢経験を積んでいるところだ。毎日元気で病んでいなくても、加齢により体内の膠原質(コラーゲン)が減少または劣化して細胞間接着がしっかり定まらず、体中がデコボコしてきた。どんなに精巧な電化製品でも電子機器でも人間ほどの耐用年数はないのだから、多少のガタは仕方ない。
美魔女を目指すほどの資質も願望もないが、歳をとったら世間様に対してせめて不潔に見えないようにするくらいしかできないと思っていた。(内心「他人事の諸君!いつまでも若いと思うなよ!」と毒づきながら)
ある日、現在91歳、85歳でフィットネスインストラクターになって現役続行中の人のインタビュー記事を読んだ。世界に向けての彼女のスピーチ「Age does not mutter. Age is just a number. 年齢は重要じゃない。年齢はただの数字です」素敵。筋肉はいつでも成長できるというものね。
◆筋肉の性質
見た目はヨボヨボでもあまり健康不安を感じていないが、少し筋肉に興味をもった。筋肉には自分の意思で動かせる随意筋(骨格筋)と、自分の意思では動かせない(内臓などの)不随意筋がある。随意筋には、持続力に優れている遅筋(赤筋)と、瞬発力に優れている速筋(白筋)がある。遅筋はウォーキングなど有酸素運動で強化され長く歩ける。速筋は筋トレなどのレジスタンス運動で鍛えられ、即座に体のバランスを取り戻せる(つまり転びにくい)。どちらも大事だ。
日頃、歩くのは苦にならないのに、プルトップや瓶のフタに苦労するのはなぜだろうと思っていた。小さい時から今まで一度も「逆上がり」に成功したことがないし。多分、私は速筋がより劣っているのだろう。
◆精神の筋力
筋肉のバランスは個性にも影響を及ぼすのだろうか。急な指名でも一同の先頭に立って堂々とアピールできる人もいるし、私のように陰でコツコツするべきことに専念したい者もいる。リモートワークでも、一人では意欲が下がる人もいれば、逆に生産性が上がると感じる人もいる。細胞が集まって組織になり、組織が集まって人体を作る。
人が集まって企業が成立するなら、企業にもまた平和時に成長する遅筋と、危機に即応できる速筋があるのだろう。もちろん健全な企業であるためには、どちらの能力も必要で、日々研鑽しているのだ。
日常の平和の紙一枚の向こう側には、誰の身にも無縁ではない老化・病気、天災・感染・戦争などの危機がある。他人事で済むことはひとつもない。どれも今何が起きているか、しっかり学んでおこうと思う。身体の筋肉に止まらず、精神の筋力も鍛えなければ、健康な判断・健全な選択がおぼつかなくなる。企業の細胞である構成員の私たちの筋力が、ひいては国の筋力になることに心を致そう。私に今できること。暖かくなったことだし、まずスクワットと2㎏のダンベルから速筋対策を始めてみようかな。
2022年3月23日 (水) 銀子