今回は,「自分の頭で考える」にあたり,さらに有益なテクニックについてお話ししましょう。それは,ずばり「いきなり中身について考えない」ことです。少し哲学的に表現すれば,中身(コンテンツ)ではなく,その考える対象の存在それ自体をまず問うてみることです。
アイデアを発想する方法 ~経営・マネジメントのコツ
著者:インソースマネジメント研究チーム
- ■いきなりコンテンツに入らない!
- 複雑な問題を考える際、有益なテクニックとは、「いきなり中身について考えない」ことです。中身(コンテンツ)ではなく,その考える対象の存在それ自体をまず問うてみるのです。
- ■存在を問うこととは
- 例えば,年功制を敷いている会社が,「成果主義賃金」を導入しようとしているとします。人事担当者は,他社事例やビジネス書から,成果主義のコンテンツの中で、自社に採り入れるべきいいアイデアは無いか探そうとするでしょう。しかし,このようにいきなりコンテンツから入ってしまうと,かえって混乱してしまいます。まずは,成果主義とは何か,それを導入することにどういう意味があるのかという、制度の存在そのものを問うてみることが必要なのです。中身ではなく,形や体系を考えることが肝要なのです。
- ■形を考えることで何がわかるか?
- 中身ではなく存在そのものを問うてみることの最大の利点は,より冷めた眼でその事象を相対化し,考えてみることができるということです。成果主義導入の事例で言うと,まず成果主義という事象を客体化し,その必要 性を議論することができます。あるいは,「成果主義というシステムを誤解していた」などの新たな発見があるかも知れません。
- ■形を考えることは立ち止まって考えること
- 今、皆さん自身が取り組んでいる課題を振り返ってみると、それらはすべて,本当に必要なことばかりでしょうか?存在そのものを問うてみることなく,やみくもに取り組んでいることが,あるのではないでしょうか?新しいアイデアを出そうと思うのであれば,前へ突き進もうとするだけでなく,少し立ち止まり,やろうとしていることの「存在そのもの」を問うてみる癖をつけましょう。逆説的ですが,立ち止まることこそが真の前進へ繋がるのです。