連載「ビジネスに活かすリーダーシップ」シリーズの最終回。これまで見てきたさまざまな考え方を基に、包括的にリーダーシップを考えます。
第8回(最終回) リーダーシップは組織戦略に従う
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.リーダーシップは「個人に備わる資質や能力」のことではなく、「組織が持つ機能のことである」と考えられている。
2.確実に変化し続ける外部環境という視点からは、「変革よりも変化対応に強いリーダーシップ」が重要。
- ■リーダーシップは組織が持つ機能
- 連載「ビジネスに活かすリーダーシップ」で訴えてきたリーダーシップとは、個々のメンバーが持つ資質だけではなく、メンバーが自律的にリーダーシップを発揮できる組織機能のことも意図していました。かつては、リーダーだけが組織をまとめ、組織目的に向かってメンバーを導く機能を持つべきと考えられましたが、ある組織でリーダーシップを存分に発揮できたリーダーが、別の組織では上手く発揮できないケースは珍しくありません。リーダーシップは「個人に備わる資質や能力」のことではなく、「組織が持つ機能のことである」と考えられています。
- ■リーダーシップは習得すべきスキル
- リーダーシップが組織固有の機能であるといわれても、組織に有効なスタイルを選択するのは人間です。リーダーシップの発揮が「組織の長(リーダー)になることではなく、自分が正しいと考えることや情熱を感じることを組織の中で貫き、他者を巻き込んで成果につなげること」にあるなら、リーダーとしての資質や能力がないと考えるメンバーでも、視角を変えることで自分流のリーダーシップ・スタイルを発見することが可能なはずです。
- 近年ではインクルーシブ(巻き込み型)・リーダーシップが登場するなど、変遷するリーダーシップ論に振り回される必要はありませんが、リーダーシップに関しても、外部環境の変化にともなって変わる組織の在り方・戦略への適合は必然です。そして、リーダーシップを自律的に個々が発揮するためには、リーダーシップは手段であり、学習可能な用具であると認識するべきなのです。
- ■変革よりも変化対応に強いリーダー
- 自称、変革リーダーが「悪い戦略」を取ると、「創造的破壊」を勘違いした単なるデストロイヤーになりかねないため、本シリーズではカリスマ的リーダーシップを否定しました。しかし、戦略的にはリスクが高く成功確率が低くとも、このタイプのリーダーシップが驚くような革新的成果を導くこともあり得ます(ハイリスク・ハイリターン型)。また、比較的大きな組織の集団合議制は、劇的には変化できないが大きくは間違えないというメリットがあり、変化のない平時にまで、わざわざその強みを自ら破壊するような変革は必要ありません。
- 自称、変革リーダーが「悪い戦略」を取ると、「創造的破壊」を勘違いした単なるデストロイヤーになりかねないため、本シリーズではカリスマ的リーダーシップを否定しました。しかし、戦略的にはリスクが高く成功確率が低くとも、このタイプのリーダーシップが驚くような革新的成果を導くこともあり得ます(ハイリスク・ハイリターン型)。また、比較的大きな組織の集団合議制は、劇的には変化できないが大きくは間違えないというメリットがあり、変化のない平時にまで、わざわざその強みを自ら破壊するような変革は必要ありません。
- 実際、組織の持続的競争力を高めることを念頭に置けば、ミドルリスク・ミドルリターン近傍で折り合いを付けざるを得ません。確実に変化する外部環境という視点からは、「変革よりも変化対応に強いリーダーシップ」、つまり、自らのビジネス周辺に絶え間ないイノベーションを創出し、適切かつ速やかにトランスフォーメーションを実行できるリーダーシップが重要となるのです。