組織を変革する3つの力
マネージャーというのは平社員から昇進した「地位」ではなく、あらゆる職種、部署に共通する専門職種です。どんな会社に転職しても、どんな部署に行っても、成果の出せるマネージャーが理想です。
外部環境の変化の中、日本を代表する企業の管理部門に在籍していても、投下資本利益率の向上を求める株式市場からの外圧で、今の仕事は「外部委託」となり消失するかもしれません。また、M&Aで他社に所属部門ごと売却される可能性もあります。どんな環境変化があってもマネージャーとして生き残っていくためには、環境変化によらず成果を出せる力が必要です。
例えば、人手不足や働き方改革による長時間労働の削減で労働力が不足する中、少ない人員で期待以上の成果を出すマネージャーは高く評価されます。そのためには、組織体制、仕事の仕方を分析し、ドラスティックに再構成する力が必要です。その際に求められるのが、計算の下、①仕事を分解し、②慣習を突破し、③部下を教育するマネージャーの3つの力だと考えます。
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①仕事分解力~マイクロチェックで業績を上げる
マネージャーのみなさんには多忙な日々ですが、一度立ち止まって、業務を因数分解することをおすすめします。業務を細かく分解したうえで、分解した要素をひとつひとつ評価し、課題があればたとえ小さなことでもひとつずつ改善していく。この積み重ねが直接成果につながります。部下の話を鷹揚に丸呑みしているように見えるマネージャーでも、成果を出し続ける人は裏で細かくチェックしているものです。
具体的には、業務を3つか4つのセグメントもしくはプロセスに分割し、目標、成果、問題を書き出してみてください。そうすれば、課題は容易に見えてきます。これを細かくつぶしていけば業績拡大は実現できます。マイクロチェックを実施し、スピード感を持ってできるところから片付けることが大切です。ChatGPTなどを使って、解決策のヒントを得るのも手です。解決手順ぐらいはすぐ作ってくれます。
②慣習突破力~前例を破り変化を起こす力
現場には、誰が決めたか分からない前例やルールがはびこっています。前例やルールができた当初は合理性があっても、時間が経ち、取り巻く環境は変化していますので、現時点で合理的かどうかは改めて判断すべきです。
例えば、部署ごとの仕事の分担は冷静に再検討してみましょう。業績をあげている同業他社や最も低コストで実施している企業を分析したり、ITの活用を検討したりするのもおすすめです。ただし、米国のIT企業での実施例など、前提条件の異なる組織の例を丸呑みするのは避けるべきです。
今のやり方で働いている人たちは必ず「変化は悪」とみなします。皆、慣れた方法が一番好きなのです。よって、マネージャーが慣習を突破し変化を起こすためには、新しい方法で「小さな奇跡」を自ら起こす必要があります。つまり、率先垂範して成果を出す。これしかありません。
③部下育成力~「個」を見る人材育成力
優秀な人材を選別して採用できればよいですが、なかなかそう上手くはいきません。100点の人がなかなか見つからない以上、育てていくことが前提条件となります。そこで、マネージャーに求められるのが、一人ひとりのスキルや特性に合わせてきめ細やかに育成・サポートを行い、必要とされるスキルを短時間で身につけさせる力です。私はこのような人材育成力は、マネージャーにとって不可欠だと考えています。
具体的には、部下一人ひとりとじっくり話し、彼らの能力を評価したうえで、成果のあがる「勝てる」仕事を見つけ出すか、作り出すのです。今までの仕事に上手くはまればよいのですが、それが無理なら作り出していくしかありません。「これをやってもらえたら、たくさん褒めてあげたい」ということを洗い出しましょう。
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