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ENERGY vol.14(2024年夏号)掲載

PICKUP

アセスメントを活用した管理職育成の現場から

本稿では、客観的な評価を通してマネジメント人材を見極め、その育成に活かした管理職向けアセスメントの実例を、インソースのアセスメントの考え方とともにご紹介します。

(事例1)論文で評価~管理職としての仕事の捉え方ができているかを可視化する

論文採点、フィードバックによって自身の考えを捉える

ある製造業では、管理職としての考え方を再確認させ、その定着を確認する上で、研修と論文添削を組み合わせたプログラムを実施しました。まず、当社開催の公開講座で管理職向けプログラムを受講いただいた後、論文課題に取り組んでいただきました。
論文の内容は、「あなたは来月から、現在の所属部署の部長に昇格します。昇格後の初日、部下全員の前部署方針を説明することになりました。その原稿を1,500字程度の文章で作成してください。」といった、比較的自由度の高い内容で、作成した論文に対して評価項目にそって採点します。採点者は当社の講師が担当し、採点に加えてフィードバックを加えてお返ししました。(図1参照)

図1:論文評価の評価シートの例

実力の差が開きやすい

知識を問うテスト形式だと、これまで候補者間で有意な点差があまり開きませんでしたが、論文形式にするとその差が大きく開く結果となりました。また、アセスメントのために候補者を拘束する時間も短くて済む点も評価をいただいております。

(事例2)360度評価×階層別テスト×研修の組み合わせ

積極的に部下育成に関わらない組織でのアセスメント実施

また別の製造業では、若手や中堅社員の離職率が高いことが問題となっていました。「習うより慣れよ」の職人気質の風土で、積極的な部下育成が根付いていませんでした。
そこで、管理職を対象とした360度評価の実施、管理職は階層別テストを受検し、両方の結果をもって研修を行いました。(図2~4参照)360度評価結果と、自身のマネジメントスキルを同階層の全国区平均と比較し客観的に把握することで課題を見極めます。

図2:360度評価の評価結果の例、図3:階層別テストの測定ロジック
図4:階層別テストの評価結果の例

客観的な評価結果は行動変容につながる

研修受講後のアンケートでは、「客観的な評価の結果を踏まえた研修は、自身を振り返るのに非常によかった」など、行動変容に向けた前向きな意見が見られました。

(事例3)アセッサー派遣型研修~研修受講態度からリーダーシップ力を評価する

研修内のワーク時の言動を観察して評価する

こちらはある小売業の例ですが、経営理念をベースにしたリーダーシップの実践度を測るために、研修中のワークを通して見えてくる発内容や行動を観察し、それをアセッサーが評価するサービスを提供しました。(図5参照)
受検者は、通常の研修を受けるのと同じように講師の話を聞き、その指示の下でグループワークを行うのですが、その様子を別に派遣したアセッサー(評価者)が観察し、採点していきます。

図5:アセッサー派遣型研修のワーク実施方法と内容

管理職に求めるリーダーシップやスキルを観察する

ワークの最中は、課題に取り組む姿勢やグループ内の他者との関わり方を観察することによって、管理職に求められる議論の進め方やリーダーシップ、コミュニケーションスキルなどを見ることができ、ワーク後の発表内容からは、与えられた課題の理解度やそれに対する論理的な解の導き方、さらには当事者意識の濃淡などを見ることができます。
また、あらかじめ設計した採点表にそって評価するため、アセッサーの主観によってばらつくことなく、客観的にアセスメントを行うことができます。(図6参照)

図6:アセッサー派遣型研修の評価項目

研修受講も兼ねるため育成にもつながる

単にアセスメントのためだけのプログラムではなく、研修効果も期待できる内容となっているので、育成と評価を同時に行うことができる動的なアセスメントとして実施できる点も本プログラムの大きなメリットです。

「管理職」に求められる評価要件は多種多様

ご紹介した3つの事例のように、管理職に対する評価要素は事業内容や組織の考え方によって様々です。
求められるスキルを測る場合や、組織運営に携わるうえでの考え方を把握する場合もあります。見るべき要素によって、「テスト形式」での実施や、360度評価のような「第三者からの視点」で判断する場合もあります。より深い考え方を見たいという場合は、論文や討議中のアセスメントで評価することも考えられます。
評価したい要素を明確化し、適当なアセスメントを活用することが管理職育成のカギとなります。

図7:管理職育成に活用できるアセスメントサービス一覧

文/澤田 晋一

株式会社インソースコンサルティング コンサルタント。東京外国語大学外国語学部卒。大手コンビニエンスストアチェーンに入社し、FC加盟店の経営相談に従事。2018年インソース入社後、新規公開講座の企画・販促や法人営業、システム営業を経て現職。民間企業や公的機関の組織開発に携わる傍ら、人的資本経営の研究に取り組む。

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Vol.14 使えるアセスメント

vol.14は「アセスメント」がテーマです。 人的資本経営の注目により「人」の価値を引き出すことが重視されるようになりました。 客観的に評価・分析することができるアセスメントを活用することで多様な人材が活躍できる人事戦略に役立てることができます。 本誌では、採用、管理職育成など様々な場面でのアセスメント活用方法についてご紹介しております。

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