多様性が重視される現代、部下指導の目的は「画一的な人材像」を想定して育成するのではなく、タイプに合わせて個々の能力を引き出すことに主軸が置かれています。そのような中、今の管理職世代は、かつて自身が見てきた上司の態度は参考にできず、部下とどう接すればよいか悩みを抱えていらっしゃいます。
さらに、定年が延長傾向にある現代の組織では、若手からベテランまで様々な世代がひとつのチームで働くこととなります。その真ん中世代にあたる管理職は、イマドキの若手や年上の部下とも協働する難しさを日々感じていらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、管理職が異なる世代の部下と上手く付き合っていくための方策をお伝えします。今回は、若手世代の「特徴」を理解したうえで、接し方、個々の活躍につなげられる、上司としての接し方や部下の活かし方のポイントをお伝えします。参考にしていただければ幸いです。
(1)他者と競り勝って上を目指そうとする「ギラギラしたメンタリティ」がない
子どもが少ない時代に育った彼らは、ベビーブーム世代のように受験や就職でライバルと争ってきたという感覚があまりありません。さらに、高度経済成長期が終焉し、すでに成熟しきった消費社会の中で育ってきた彼らにとっては、今以上の豊かさを貪欲に求める理由が見出しづらいのかもしれません。
また、個性を尊重するゆとり教育が、彼らのマイペース気質を助長してきました。競い合うことなく育ってきたこの世代にとって、同期とは、出世を争う相手ではなく、助け合うべき仲間という感覚が強いといえます。
(2)素直で真面目だが、精神的に打たれ弱く、幼い面もある
素直さや真面目さというのは、基本的には褒められる要素です。しかし彼らの素直で真面目な行動の裏には、「言われたとおりにしていれば楽」という発想があります。つまり、「文句を言われないように振る舞おう」「余計な説教をされないように従っておこう」という消極的な姿勢の表れとも言えるのです。
また今の若手は、個性を伸ばすという名目のもと、肯定されながら育ってきた傾向があります。そのため、指摘や批判を受けることに慣れておらず、ちょっとしたことで動揺して落ち込んだり、逆にキレたりすることもあるようです。
(3)大事なのは合理性、空気を読んで目立つようなことはしたくない
生まれた時から携帯電話やインターネットが身近だったデジタルネイティブ世代の彼ら。何を判断するにも、まずはネットで情報を集め、最短距離で「正解」に辿り着くのが「常識」です。合理性を重視する傾向が強いため、ただ慣習的に行っていることや、成果が不確実なことに力を注ぐのは避けたいと考えています。
また、SNS世代の彼らは、下手に不用意な発言をすると周囲から叩かれるかもしれない......など、潜在的な恐怖心を持っています。できるだけマイナスの評価を受けないよう、空気を読んで、求められている「正解」を答えようとする人が多くみられます。
(1)仲間としてのポジションを獲得する
ここでいう「仲間」とは、いわゆる「タメ口」で会話をするような、対等の立ち位置という意味ではありません。上下関係は意識させつつも、利害を共にする「仲間」として自分を捉えてもらうことが重要です。
仲間と感じてもらうためには、若手の気持ちや考え方を知り、理解を示すことが求められます。ただし、分かったふりをしたりする必要はありません。彼らの主張を否定せず、また、こちらの主張も押し付けないことが大切です。
■若手に「仲間」と思ってもらえる接し方の例
・「この業務に意味があるのか」と聞く部下に対し、「気持ちは分かるよ」と理解を示したうえで、その目的と本人がやることの意義を説明する
・「ここまでやればいいだろう」と思う部下に対し、「ここまでやるのが常識だろ」と切り捨てるのではなく、「このレベルまでやってほしい」理由を説明する
どんなに正論を並べても、「異世界の人」と思われていては彼らに響きません。「この人は自分と同じ仲間であり、かつ、自分の先を進む頼りにすべき人だ」との認識を持たせることで、褒め言葉や叱る言葉にも"説得力"が生まれます。
(2)「忙しいオーラ」で部下や後輩を拒絶しない
イマドキの若手は、想像以上に相手に気を使います。「忙しいから後にして」というと、遠慮して必要な相談さえも上がってこなくなる恐れがあります。
■拒絶のサインとなる例
・声をかけようと横に部下が立っているのがわかっているのに振り向こうとしない
・緊張してしどろもどろの部下に対して「話は整理してから来いよ!」と言う
(3)一度に全部教えようとしない
言われたことはきちんとやるのが、イマドキの若手の特徴です。しかし、当然ながら一度に覚えられることには限界があります。無用なプレッシャーを与え、自信を奪うことのないように、「急がば回れ」の気持ちで手順を踏んで指導しましょう。
■プレッシャーとなりやすい発言例
・「前に一回言ったよね?ちゃんとメモとってた?」
・「一度しか教えないからちゃんと聞いとけよ」
■プレッシャーを与えない指導の仕方の例
・「分からないことがあったら遠慮なく聞いてね」
・「初めて習うことはメモを取りながら聞くといいよ」
(4)部下や後輩の前で会社や上司の悪口を言わない
早期に離職する若手が口にする理由のひとつに、「会社に対する失望」があります。これは、社内の人間が会社や上司を悪く言うのを聞いて、その影響を受けた結果であることが少なくありません。
会社の話をする時は、ネガティブな面よりもポジティブな面を掘り下げ、若手の気分を下げないよう意識するべきです。仕事の苦労話も、ただ愚痴を聞かせるのではなく、自分がそこから何を学んだのか、具体的なストーリーを交えて話すと、仕事の勘所を伝えることができます。また、上司からの自己開示によって、部下は上司に対して親近感を感じるようになります。
(5)一度拒まれたプライベートな話は二度としない
SNS世代の若手たちの暗黙のルールとして、「一度質問をしてはぐらかされたことについては再度問い詰めない」というものがあります。そこを興味本位でしつこく追及してしまうと、心理的に距離を置かれてしまいます。
■しつこく訊くのは控えた方がいい反応例
・「普段、休みの日は何やってんの?」「いや、特にこれといっては......」
・「今、付き合っている人とかいるの?」「あ、いや、まあ......」
このような接し方を心掛け、彼らから愚痴をこぼされるような関係性を築けたらしめたもの。上司を「仲間」のポジションに位置づけた証拠です。もし「仕事がうまくできない」と相談されたら、一緒にボトルネックとなっている要因を探しましょう。部下の能力に問題があるのではなく、例えばチーム内で遠慮している、もしくは、仕事の意味を理解できていないだけかもしれません。それらを解決に導くことで、上司に対する信頼度はさらに高まります。
自分たちの世代と比べ物足りなさを感じることがあるかもしれませんが、採用面接で他の若者と違う何かを見出され、わが社の一員となった「可愛い後輩」です。「イマドキの若者」とひとくくりにせず、忍耐強く育てていきましょう!
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