働き方改革時代、なのに残業時間は3年ぶりに増加!?
「生産性向上」と「働きやすさ」両立のため、管理職に求められる意識とは?
働き方改革時代、なのに残業時間は3年ぶりに増加!?<br>「生産性向上」と「働きやすさ」両立のため、管理職に求められる意識とは?

  

厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、一日の所定労働時間は、1企業平均7時間46分(前年7時間45分)、労働者1人平均7時間45分(同7時間43分)と、いずれも僅かですが伸びてしまっています。

同じく厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、平成29年の就業形態計の所定"外"労働時間、つまり残業時間は、前年と比べて+1.0%となり、3年ぶりにこちらも増加しています。

出所:厚生労働省 「毎月勤労統計調査 平成29年分結果確報」P5
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/29/29r/dl/pdf29cr.pdf

この調査から、長時間労働の是正に向けた動きは、まだまだ苦戦している実態が浮かび上がりました。

さらに最近ではハラスメント問題などの注目度もますます上がり、生産性向上だけでなく働きやすい環境づくりなども同時に求められる管理職は、まさに板挟みの状況です。経営層から「働き方改革だから残業を減らせ」と言われ、メンバーにとりあえず定時退社を命じるものの、具体策もなくやみくもに「帰れ!」と叫ぶだけでは立派な「ジタハラ」案件になってしまいます。

どうすればこの「生産性の向上」と「働きやすい環境づくり」の二つを両立させることができるのでしょうか。

組織の変革は、まず管理職の意識変革から

管理職、特に昇格して間もない新任管理職やプレイングマネージャーにまず求められるのは、以下のような役割です。

<新任管理職に求められる役割>
自分だけではなくチームの生産性向上を意識し、経営視点で業務を遂行する

組織の生産性を高めるためには、まず管理職の意識を変革することが重要です。

自チームを自社の中の「小さな組織」としてとらえ、その経営者として売上、利益、コストを見ながら率先してメンバーの仕事の進め方を決め、実行する必要があります。管理職やリーダーの意識変革からチーム全体への波及効果が生まれ、さらには組織全体へと広がります。

しかし実際、これまで現場ばかり見ていた新任管理職がいきなり経営視点を持てと言われても、ピンと来ないのは当然です。そんな時はただ「意識する」だけでなく、損益計算書の読み方など、経営者に必要な"基礎知識"を具体的に学ぶことが効果的です。また、数字の読み方を知ることで「小さな経営者」としての意識と能力が高まり、自社の経営数字からチームの行動に繋げようとすることで、管理職としてのマインドセットを行うことができます。

生産性向上と働きやすさを両立させる、管理職のスキルとは

基礎知識強化とマインド醸成の次は、スキルの習得です。視座を高め、生産性向上と働きやすさを両立させる「小さな経営者」になるために、新任や若手の管理職が特に意識して身につけるべきスキルは、大きく2つです。

<目標管理スキル>

管理職としてまず初めにすべきことは、「個人の成果がチームの目標達成につながること」を意識させるような目標を設定することです。「頑張ればできる」ラインの目標を個々人にうまく設定することで、メンバーの成長とチームの目標達成を同時に実現させることが管理職のミッションになります。

そのためには、やみくもにメンバーの業務量を増やすことのないよう、会社の経営数字を見て組織目標達成につながるチームの目標を逆算します。そのうえで、メンバーの能力を見ながら目標を適切に設定し、スケジュール管理をして効率的に業務推進できるようになれば、チーム全体の生産性向上が見込めます。


<労務管理スキル>

生産性を上げようと頑張りすぎると、時にストレスフルな状態になりかねません。職場で感じるちょっとしたストレスがメンバーの働く意欲を下げ、チーム全体のパフォーマンスを大きく損なう原因になります。このことを十分認識したうえで、管理職としてメンバー1人ひとりが、いかんなく実力を発揮できるような風土をつくることが重要です。

そのためにはまず、労務管理の基礎をしっかりと学んだうえで、指導とハラスメントの違いやメンタルヘルスに関する知識を深めることが求められます。新任の方だけでなくベテランの管理職の方も、多様性の時代の多様なハラスメント知識などを学びなおすことで、今の時代にフィットした組織作りに繋げることができます。

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