今回は、管理職の方々が抱えている問題点の1つである「部下の視野が広がらない」というお悩みに、どうしたらいいかの処方箋を紹介いたします。
部下の視野を拡げるには(1)
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.「部下の視野が広がらない」というお悩みには、中国古典「そうじ荘子」が有効です。
2.「荘子」は事象や物事を普通とは逆から捉えて、一般に常識と考えられている考え方が唯一の正解ではないは説き、ネガティブ精神をプラス思考へ転換してくれます。
- ■部下育成上の悩み
- 管理職の方々が抱えている問題点の1つに、「部下の視野がなかなか拡がらない」という悩みがあるようです。一概に「視野を拡げる」といっても、様々な意味が含まれます。ここでは、物事を捉える基盤となる視点を、自分が普段捉えている視点以外に立って考えられることを目指しましょう。
- ■疑いを持つのは難しい!?
- これまでも、そのためのいくつかの方法を提案してきました。まず"疑い"を持つこと、事象の構成要素を考え、各要素間の関係がどうなっているかを考えることなどです。ただ、"疑い"をもつには自分が当たり前と信じている枠組みをいったん崩す必要があるため難しく、かなり精神的にハードな作業を伴います。以下では、こうした「当たり前のことを疑う」ための、そして視野を拡げるための実践的なテクニックを紹介しましょう。まず皆さんに紹介したいのは、「中国の古典」を読んでみることです。
- ■中国古典の効用
- 企業の経営者の立場にある方々にとって、中国の古典といってひとまず思いつくのは、孔子の「論語」あるいは「孫子」ですね。ただ、忘れ去られた中国古典の名著があると私は信じています。それはずばり「そうじ荘」です。その中で、私自身がいちばん読みやすいと思うのは、福永光司著『荘子 内篇』(講談社学術文庫、2011年)です。中国語の原文と読み下し文、日本語の解説・解釈が付されていて、分かり易くお勧めです。
- ■管理職になる前に視野を拡げられる!
- なぜ私が、「荘子」を紹介したいかというと、中間管理職の皆さんや、これから若手の方々に是非読んで頂き、視野を拡げるのに役立てて頂きたいからです。荘子は、事象や物事を普通とは逆から捉えて、一般に常識と考えられている考え方が唯一の正解ではないということを説く論者です。徹底したポジティブ・シンキングを貫き、ネガティブ精神をものの見事にプラス思考へと180度転換してくれます。次回、その例を具体的に紹介することにしましょう。