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研修効果の測定方法には色々あります。行なう研修の目的によって、有効な効果測定の手法が変わります。
・知識付与型研修→研修後の知識の定着度を測る確認テスト
・技能習得型研修→研修後の技能の定着度を測る覆面調査
・能力向上研修
→成果物へのアウトプット力を測る発表会を通じた審査
・意識変化型研修
→考え方や行動の変化を測る本人・上司へのアンケート
・実務応用型研修
→実務での判断力を測るシミュレーション型ケーススタディによる解答と評価
→自部署への展開力を測る自由記述式の課題回答に対するアセスメント
研修の効果を測る方法は様々あり、研修内容によって適切な手法を選ぶことが大切です。
ハラスメント防止研修、コンプライアンス研修、財務基礎研修、などの知識付与型の研修には、確認テストが効果的です。
研修で伝えた内容がどの程度理解できているかを筆記テストなどで確認します。理解度の測定とともに、受講者本人の定着度チェックにもなります。
接遇研修、電話応対研修、セミナー講師養成研修、などの技能習得型の研修には、覆面調査が効果的です。調査では、研修前と比べて技能がどのくらい向上したかを客観的に調べます。重要なのは、あらかじめチェックするポイントと審査基準を明確にしておくことです。また、研修前と研修後で、同じ審査基準に基づいて採点しないといけません。
問題解決力研修、企画力研修、などの能力向上研修は、発表会を通じた審査で能力向上を測ります。
研修前と比べて、成果物がどれくらい改善されたかを確認します。覆面調査と同様、事前にチェックポイントと審査基準を明確にしておくことと、事前と事後で同じ審査基準に基づいて採点することがカギです。
リーダーシップ研修、コミュニケーション研修、キャリアデザイン研修、モチベーション向上研修、などの意識変化型の研修には、アンケートが効果的です。研修後にどのような行動変容があったかを回答させて、評価します。自己評価に加えて、上司による評価を組み合わせると、客観性が高まります。本人の評価と上司の評価との差異を見ることも有意義です。
管理職研修などの階層別の実務応用型の研修には2つの測定方法があります。ひとつは、限られた時間内で解答させた内容から、リスク認識や判断力の妥当性を確認する、シミュレーション型ケーススタディです。具体的な設定のもとで作成したケースに対して、どのうな行動を取るかを答えさせ、その判断力を審査します。研修後の効果測定の役割以上に、実務への応用力を試すフォローアップとしての効果が高いです。
もうひとつは、研修内容を踏まえて、自部署に関する設問(例えば「環境分析」「戦略立案」「計画策定」に関する問い、など)に自由記述形式で回答させ、その内容を評価基準に従ってアセスメントする方法です。研修で伝えた視点で回答が展開されているかどうかをチェックし、その結果を個人別にフィードバックします。
上記の手法を適切に選ぶことで、研修効果が測定できます。さらに研修効果を高めるためには2つのアンケートが効果的です。
1.事前アンケート
研修の企画段階で、受講者の課題やニーズの把握をするために実施します。設問設定の方式は、記述式で実施するのが原則です。研修テーマに沿った設問内容を選びましょう(自身の課題や研修テーマに関して知りたいこと、など)。
この事前アンケートにより、得られる効果は次の2点です。
①受講者の課題やニーズに合ったプログラムを提供することができるので、満足度がアップする
②事前アンケートに取り組むことで、受講者自身の研修に対する心構えができ、理解度・吸収度が増す
2.リマインドアンケート
研修後、一定期間経った時点にアンケート調査を行います。これにより、「効果測定」と「意識喚起」が同時に行えます。また、ある一定期間を空けて数回実施することで、行動変容の定着化が図れます。研修で学んだ内容を忘れかけたくらいのタイミングで行うのがポイントです。