低気圧による気象病が話題になっているが、梅雨であればさらに体調不良の人が多くなる。若くて健康な人でさえそうなのだから、ましてや高齢者は、と案じられることも多い。
何しろ私も高齢者になるのは初めての経験なので、よくある話なのか私固有のことなのかわからないが、最近は不調が突発的に起きやすい気がする。
1年ほど前のある日、いつも通り気分良く目覚めた。出勤して仕事を始めると、キーボードを打つ右手が非常に重くなった。時間を追って首筋から肩への痛みが激しくなり、昼には指を動かすだけ、首をほんの少し傾けただけで激痛が走った。すぐに整形外科に行き、頸椎捻挫と診断された。ブロック注射と痛み止め、抗炎症テープと安静で数日後には跡形なく治った。
また半年ほど前のある夜、寛いでいると突然肩が重くなった。「あらら、肩こりかしら」と思う間もなく激痛が襲って息が詰まった。救急車を考えるほどだったが、救急レベルかどうかの判断を下してもらうために「救急相談センター」に電話した。命に別状なしとの判断で、痛みで眠れない夜を過ごして週明けに病院に行った。右肩石灰沈着性腱板炎だった。腕の付け根の関節にカルシウムが溜まって神経に触れていたらしい。こちらもブロック注射と痛み止め、抗炎症テープと安静により数日で治まった。
どちらも尋常ではない痛みだったが、原因も予防法も不明。激しい運動など思い当たる節もなく、仕事環境や作業内容との因果関係もないらしい。突然の発症で怖かったが、簡単な治療で平和な日常に戻ることができた。
だんだん驚かなくなってきたけれど、ほかにも小さな不調は日常的・断続的に起きる。トマトをベランダ栽培しようと、ホームセンターで土を買って運んだ。それだけで家に着いたら脚も腕もワナワナして力が入らない、前年は軽くできたのに。ベランダの脚立から落ちた。これで死ぬのかと思うほど痛かったが、しばらくすると立てた。わが身の丈夫さに感謝して眠ったが、翌朝は体中が痛くて起き上がれなかった。肋骨4本骨折、2本にヒビが入っていた。
その他、ペットボトルが開けにくい日があったり、視界がスッキリしない日もある。手指の第一関節に起きる変形性関節症ヘパーデン結節はとっくにできているし、声も低くなって髪の毛も薄くなった。あ~あ。
こう書き連ねると、高齢者に明るい未来はないようだが、私はそう思っていない。高齢者の不調の多くは、事件ではなく変化。これから自分がどう変化するのか、それに私はどう対処するのが賢明か、サンプルとして面白い。できないことは増えていくが、できることもまだたくさんあるのだ。今までと同様、「できないかも知れないからやらないより、できるかも知れないからやってみる」ことにして過ごそう。
私が当社のスタッフ採用に応募したのは一昨年だった。当方70歳・会社勤務経験なし、にも関わらず入社し、社内最高年齢になった。私も厚かましい勇気をもって応募したが、すごいのは当社が私を採用した勇気だ。その勇気に、時代と社会に対する企業としての誠意と自信を見る思いがして、心から敬意を表している。
そうした社会や企業に対して、高齢者が持つべき最も大事な心構えは、「変化にたじろがないこと」と「仲間になる勇気」だと私は思う。
2019年 6月 26日 (水) 銀子