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カークパトリックの「4段階評価モデル」
4段階評価モデルとは、アメリカの経営学者カークパトリックによって提唱された研修の効果測定法で、「カークパトリックモデル」とも呼ばれます。研修による受講者の満足度・理解度だけでなく、行動変容・業績の向上度までを評価しようとするもので、企業にとっては費用対効果(ROI※)の確認にもつながります。
※ROIとは、Return on Investmentの略。投資対効果、投資資本利益率。投資に対する効果・成果の率を測る。投下資本利益率(ROI)=営業利益/投下資本×100
4段階評価モデルは、企業の研修担当者が限られた予算で、業績により良い影響を与え、社員の成長を促す研修にするためのツールとして活用されています。単に研修後の感想を集めるだけで終わらせず、教育の効果を数値化して測定することで、その後の研修プログラムの改善、効率向上につなげます。
■4段階評価モデルによる研修効果の測定プロセス
① レベル1 反応(Reaction) ・評価内容:受講者の満足度を測定 ・評価方法:アンケート ・評価時期:研修終了直後
② レベル2 学習(Learning) ・評価内容:受講者の知識やスキルの理解度を測定 ・評価方法:テストやレポートの提出、ロールプレイングの実施 ・評価時期:研修当日から数日後
③ レベル3 行動(Behavior) ・評価内容;受講者の知識やスキルの実践度、現場での行動変容を測定 ・評価方法:本人または上司・部下からの聞き取り、アンケート ・評価時期:研修後3ヶ月・6ヶ月など
④ レベル4 結果(Results) ・評価内容:業績の向上度を測定 ・評価方法:研修前後の売上、顧客満足度、生産性、ROI指標などの変化を見る ・評価時期:一定の期間が経過した後
業績向上には研修以外にも様々な要因があるため、実質的なレベル4の測定は行わない企業もあります。しかし、レベル4の「結果」を設定することは、費用対効果の高い研修を実施するうえで極めて重要です。どのような結果を得たいか、そのためにはどのような行動変容が必要で、そのために社員が身につけるべき知識やスキルは何か、逆算して研修プログラムを作ることで、企業目標に沿った、効果的な人材育成が可能になります。
研修効果を見て、一度にすべての研修を刷新するのは手間もコストもかかります。各研修の意義を認識して整理のうえ、自社の課題や目標に必要なものから、無理なく実施していきましょう。4段階評価モデルを上手に活用すれば、担当者にとって、眼に見える効果がある研修改革を実現することができます。