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MBO(目標による管理)
「MBO」とは、Management by Objectivesの略で、日本語では「目標管理(制度)」と言います。組織や部署目標に基づいて達成すべき目標を社員自らが立て、自己統制によって目標を達成する方法のことです。1954年、アメリカの経営学者ピーター・ドラッガーによって提唱されたMBOは、個人の目標とともに部署の目標を達成し、個人のモチベーション向上にもつながるマネジメント手法として世界中に広まりました。
日本では、特にバブル崩壊以降、年功序列から成果主義に転じた組織の新しい評価制度として注目されました。目標達成のプロセスで社員の能力開発が進み、職場の活性化や生産性の向上といった効果が企業の成長に資するとされ、現在では多くの企業がMBOを導入しています。
■MBOの手順
①定量的かつ達成可能な目標設定
期首に上司と十分な意見交換を行い、部署目標を基にして達成可能な個人目標を自ら考える。できるだけ定量的で測定が可能な目標を設定し、期限を定めて実行する
②PDCAサイクルによるプロセス管理
P(目標に対する成果のイメージ)→D(実践可能な実行方法)→C(目標と結果の差異の検証)→A(過不足や不備を修正、新たな目標設定)のサイクルで継続的な改善を行う
③定期的な「進捗状況」の報告・確認
期中に上司が日報・週報などを通じて進捗状況をチェックする。定期的に面談し、進捗状況や目標そのものが適切か、新たな課題はないかなど、部下に振り返りと目標の修正を促す
④目標達成度の評価と改善策などのフォロー
期末に目標達成度をチェックする。部下と上司の評価をすり合わせ、今後の課題・改善点を洗い出す。上司は部下のサポートを約束して新たな目標を策定する
業績評価と連動したMBOでは、期首に目標を設定し、期末に評価を行います。しかし、近年では加速する環境変化の中で、半期や通期ごとの目標達成ではスピードに欠けるという指摘もあります。そこで、期間を問わず常にリアルアイムで評価を行う「ノーレーティング」や、部下の自主性を育むコーチングの手法を取り入れるなど、さまざまな試みが行われています。
時代に即して変化し続ける評価制度のメリット・デメリットを正しく理解することで、自社に適合するアレンジも可能になります。今後予測される環境変化・人材の多様化などを見極め、自社に最適な評価制度の確立を目指しましょう。
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ダイバーシティ時代における目標管理の意義
「目標管理」とは、社員一人ひとりに自ら目標をたてさせた上で、その達成に向けた主体的活動を促し、組織目標の達成につなげようとするもので、マネジメント手法として知られています。バブル崩壊後のリストラ期には、多くの企業が成果主義にシフトしていきましたが、そこでの人事評価ツールとして目標管理を採用する動きが相次ぎました。その結果、目標管理に対して、ネガティブなイメージを持つようになった人も少なくないのが現実です。しかし目標管理はあくまで経営管理手法であり、人事評価のためのツールとは別物として理解させる必要があります。
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