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リンゲルマン効果
リンゲルマン効果とは、「集団で共同作業をする場合、一人で作業するのに比べ、人数の増加とともに一人あたりの仕事効率が低下する」現象をいいます。意図する・しないに関わらず、個人の力を出し切らない現象で、「社会的手抜き」「フリーライダー(ただ乗り)現象」などとも言われます。
組織の中でリンゲルマン効果が起きる背景には、以下のような要因があると考えられます。
①個人の責任感・義務感の分散
「自分だけ手抜きしてもばれないだろう」、「自分以外の誰かが行動を起こすだろう」と考え、当事者意識が薄れる。
②多元的無知
課題意識があっても、「みんながやらないなら、やらなくていいのだろう」と思い込む。
③他者からの評価への懸念
「集団のなかで貢献しても注目されない。逆に失敗したら叩かれる」と考え、モチベーションが低下する。
リンゲルマン効果の発生を防ぐためには、集団を少人数のグループに分けることで健全な競争原理を働かせる、個々の役割を明確にして自分の仕事に対する当事者意識を持たせる、「頑張りを見てもらえている」という安心感を与える、報酬や処遇で評価を「見える化」する、といった対策が求められます。
具体的には、若手の主体性や中堅のフォロワーシップの醸成、業務分担の見直しを図る管理職のマネジメント力の強化、部下へのフィードバックを随時行う「1対1面談」の実施を進めることなどが挙げられます。また、一人ひとりのモチベーション要素の把握や最適な人員配置を行うために、社員の特性を可視化するアセスメントを実施することも有効です。
コロナ禍での社会変容により、リモートワークを行う組織が増えつつあります。勤務形態の変化で一人当たりの生産性を低下させないためにも、リンゲルマン効果を発生させない組織をつくることが重要です。一人ひとりが自律的に仕事を管理するセルフマネジメントの意識を高めるとともに、上司は部下との「程よい距離感」を保ちながら、時には注意し、時にはほめることで、互いに成長しあえる組織を目指しましょう。