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セレンディピティ

セレンディピティ(serendipity)とは、「偶然の幸運を手に入れる力」を意味します。日頃から知識を蓄え、物事に対する観察力を鍛えておくことで、偶然の出来事から思いがけない発見ができる、という考え方がセレンディピティの概念です。以前から科学者の間で偶然生まれた発明や発見を指す言葉としてよく使われていましたが、近年では破壊的なイノベーションを起こすために必要な力として、ビジネスの分野でも注目されています。

似た言葉に「シンクロニシティ」があります。シンクロニシティとは、「意味のある偶然の一致」、「共時性」という意味ですが、シンクロニシティは偶然という現象そのもの指す言葉であるのに対し、セレンディピティは「素敵な偶然」を引き寄せる「力」を指している点に違いがあります。

セレンディピティという言葉は、セレンディップ国(現スリランカ)の3人の王子にまつわる寓話から、18世紀のイギリスの小説家H・ウォルポールによって造り出されました。3人の王子は、実際に見てはいないラクダの姿を、ラクダが通ったあとの道の様子から推察して正確に言い当てることができました。

このように、一見何の変哲もないような情報でも、丁寧に観察することで、有益な情報を見出すことができます。また、「目の付け所」となる視点を多く持てるようになるには、知識の引き出しの数を増やしておくことが欠かせません。多様な知識を上手に組み合わせて発想を広げていくには、先入観や固定観念にとらわれないゼロベース思考を身につけることも重要です。

さらに、その状態に「偶然」という不確定要素が重なると、我々の予想をはるかに超えるようなイノベーションにつながる「気づき」や「ひらめき」が生まれやすくなります。「気づき」の機会を増やすには、これまであまり身近でなかったジャンルについて学んだり、偶発的に人と出会うチャンスを作ることが有効です。

アメリカの心理学者グランボルツが提唱したキャリア形成理論「プランド・ハップンスタンス」でも、偶発的に与えられた任務を「自分の新たな可能性を試す機会」として積極的に受容する姿勢が重要だとされています。たとえ自分が望まない異動でも、これまでのキャリアで培ってきた知識と観察力は決して無駄にはなりません。新たな出会いを通じて思いがけないセレンディピティがもたらされる「偶然」を、自身の成長につなげていきましょう!

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