前回、課長や部長になってからではなく、年齢的に若くて頭が柔軟な係長時代にこそ戦略的に重要な「コンセプチュアル・スキル」の思考訓練を行うべきということを述べました。今回はその続きです。
できる係長になるために(2) ―係長の役割考―
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.ITの発達によって、意外にも係長の多種多様な雑務は増えた
2."できる"係長は、仕事の重要度のランク付け、力の抜き方が上手い
- ■IT導入による影響
- 私は「ITの発達が日本企業の中間管理職の職務をどのように変化させているか」を2つの仮説を立て、調査したことがあります。
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仮説1:日本の中間管理職はかつてよりも、ITを用いることで、より多くの職務に従事するようになっている
仮説2:日本の中間管理職はかつてよりも、ITを用いることで、管理的業務よりも高度な(戦略的な)業務に携わるように変化してきている
- ■種々雑多な仕事が飛躍的に増加
- 仮説1は実証されましたが、仮説2はその通りではありませんでした。実際には、相変わらず"雑務"や他部署との"調整業務"が大半で、そうした職務の分量が飛躍的に増大した、というのが実態だったのです。
- ■戦略的思考のできる係長
- では、種々雑多な仕事内容をこなす必要のある係長は、どのように対応すればいいのでしょうか。ここで役立つのが、以前にご紹介した「戦略的思考法」です。
- ■全体を見ながら優先順位付け
- まず、自分がこなさないといけない仕事をリストアップして、自身が置かれた状況や仕事の全体状況を、大きく俯瞰してみます。次のステップは、優先順位を付けることで。何がより本質的で、また何がその本質事項から派生した些末な事項であるかを整理します。あとは1つ1つこなしていくだけです。ただ、何でもかんでも全力投球というのはダメです。
- ■力を抜くことも重要!
- ビジネスでは、仕事によっては、たとえ中途半端であっても、あるいは宙ぶらりんの状態のまま、放置しておくことも重要な1つの仕事の進め方なのです。"できる"係長は、このように、仕事の重要度のランク付け、力の抜き方(戦略論でいえば「資源配分」に当たります)がよく理解できています。