新連載「ビジネスに活かすリーダーシップ」の第1回テーマは、「いまなぜリーダーシップなのか」です。「論者の数だけ理論が存在している」といわれる「リーダーシップ論」についてお伝えいたします。今後もビジネスパーソンへの示唆に富んだ話を連載してまいります。
『ビジネスに活かすリーダーシップ』第1回いまなぜリーダーシップなのか
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.不確実性や環境変化に耐えるために、「できるだけ多くの人が、それぞれの立場でリーダーシップを理解すること」は、極めて重要なテーマである。
2.権限の行使ではなく、組織の壁を超え、「リーダーシップで他者や組織を動かす」人材が求められている。
- ■それぞれの立場でリーダーシップを理解する
- 組織が健全に強くなり、不確実性や環境変化に耐えるために「優れたリーダー」が必要であることは言を俟たないと思います。しかし、その要件については、必要とされる資質が、時代とともに変化しているのではないでしょうか。
- 社会全体、世界全体を見渡すと、知識社会の発展とともに組織のフラット化が進む一方、グローバリゼーションの波がボーダーレス化を推し進めています。大きな環境変化を前に、過去を振り返りつつ、今日的なリーダーシップの要件を整理し、「できるだけ多くの人が、それぞれの立場でリーダーシップを理解すること」は、困難な課題に立ち向かう組織にとって極めて重要なのです。
- ■「リーダー」と大きく異なる「リーダーシップ」
- 多くの組織は「メンバーが主体性を持って考え、自立的に動くこと」を求めています。指示待ちではなく、管理職も一般職も「自分の考えに基づき、行動を起こし、周囲の人に影響を与えていくこと」が必要となっています。求められるのは、上下の力関係に基づく権限の行使ではなく、「リーダーシップで他者や組織を動かすこと」です。
- 組織に組織図がある限り、組織の壁はなくなりません。この横方向の壁をも軽々と超え、向こう側にいる人たちとシームレスにコラボレーションできる人材が今、求められているのです。
- リーダーとは、指導者、先導者、統率者、指揮官などの地位を指しますが、リーダーシップとは、指導者の(地位を含めた)職務能力、統率力、資質などを指します。要するに、組織の状況に対して、あるいは組織内で相互に、「影響を与えるもの」といえます。
- ■「リーダーシップ論」とはなにか
- 「リーダーシップ論」の概念はいくつかの領域で議論されています。アカデミックの世界で論じられている他、組織でのリーダー養成用に独自に開発されるものがあります。また、ビジネスで成功した経営者や、政治やスポーツの指導者などが持論を展開するものもあります。何れの領域を取り上げるにしても、本連載ではビジネスパーソンへ示唆を提供することを優先します。
- 次回は、知識社会におけるリーダーの姿を早くから指摘していた経営学の大家ピーター・F・ドラッカーの予言についてお話します。